異世界帰りの憑依能力者 〜眷属ガチャを添えて〜

Jaja

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第6章 シークレット始動

第126話 お祭り

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 「見て下さい! ここは大阪湾のすぐ近く! そこには日本の名だたるギルドが続々と集結しています!」

 大阪観光を楽しんでから暫く。
 今日はとうとう1級の狭間を攻略する日だ。
 大阪湾の近くに出現した事もあって、周りにそんなに建物がない。
 そのせいか野次馬がいつもより多い。いや、日本のドリームスターが集結してるからってのもあるんだろうか。
 キャスターの人が興奮しながら生放送でリポートしている。

 「大阪を本拠地にしている『リア獣撲滅』はもちろん、協会のお抱え探索者の姿も見えます!」

 今回1級の狭間を攻略するギルドは前回のブートキャンプに参加したギルド全部だ。

 『シークレット』
 『協会』
 『暁の明星』
 『リア獣撲滅』
 『風神雷神』
 『夜明けの時間』
 『スキナー』
 『MMM』

 そりゃこれだけのギルドが揃ったらお祭り騒ぎになるわな。俺が現代に戻って来なかったら、1級の狭間はまだ攻略されてなかっただろうし、今回とは別の形で、悲壮感を漂わせた強制招集になっただろうが、今のみんなの顔はイキイキとしている。
 誰もが攻略出来ると信じて疑っていない。

 「へんな違和感もないし、禁忌領域じゃなさそうだな。良かった良かった。これなら俺が手出ししなくてもみんなで協力すれば攻略出来るかも」

 「魔物次第だよね~」

 今回は『シークレット』のメンバーも参加する。
 俺は大村さんのお守りだが、それ以外のメンバーは1級で戦えるか微妙だしね。
 いや、陽花なら勝てるかもだけど。
 とりあえず今日、この機会に是非成長して欲しいもんだね。

 「世界中で1級の狭間が大量発生するという未曾有の事態に陥っていますが、日本は悲観していません! 僅かな時間で名だたるギルドが集結して攻略の準備を整えました! そして世界に先んじて、今日!! 攻略を開始します!!」

 あのリポーターさん大丈夫かな。
 テンション上がり過ぎだろ。目が血走ってるように見えるのは気のせいだろうか。

 「唸る! 唸る! 筋肉が唸る!!」

 「マッスル! マッスル! マッスル!」

 公英と武田さんがうるさい。
 やっぱりこの二人は一緒にしちゃダメだろ。
 混ぜたら危険ってやつだ。あそこだけ湿気が凄いんだよな。公英やら『MMM』のギルド員達が汗のかき過ぎでほかほかしてる。

 「憑依ポゼッション:慈悲ミカエル

 「浄化」

 なんか無性に浄化したくなった。他意はない。



 「これが日本にとって、人類にとって大きな一歩になると確信しています。願わくば死者なく全員無事で帰って来てくれる事を祈ります」

 「おっちゃん。そのイカ焼き全部頂戴」

 「し、使徒様!? 喜んで!!」

 狭間の近くでは協会長の伊達さんが攻略セレモニーみたいなので演説をしている。
 そこには各ギルドのリーダーも参列してるけど、俺は参加せずにみんなで狭間周りに出てる屋台を回っていた。

 流石関西人。儲け話に機敏である。
 周りを見渡せばお祭りかというほどの屋台が並んでいる。

 「あらあら。キンキンに冷えたビールがあるわぁ」

 「この牛串! 美味しいであります!」

 「お祭りといえばたまごせんべいだよね~」

 俺達が屋台を回ってると、野次馬からはなんで式典に参加してないんだみたいな顔で見られてるけど。俺達の名目は付き添いなので。
 その理論で押し切って参加は遠慮させてもらった。決して屋台がどうしても気になった訳ではない。ないったらない。

 「あれ? 公英は?」

 「たんぽぽちゃんは『MMM』のみんなといるよ~」

 筋肉のところか。
 あんまり騒ぎになるような事してないといいけど。筋肉が感染したりしてたら大惨事だぞ。
 最近知ったんだけど、筋肉って感染するんだよね。『シークレット』のギルド員に筋肉信奉者が増えて来てるんだ。恐ろしい奴だぜ。

 「りんご飴か。美味しいけど口の周りがベタベタになるのがな」

 「織田さん、浄化の魔道具があるのでは? 一々憑依しなくてもワンプッシュですよ?」

 「おお。確かに」

 神田さんにそう言われて思い出す。
 山田さんが短時間で開発してくれた優れ物の存在を。ギルド員が増えて来たら売り出すつもりですっかり忘れてたよ。

 「りんご飴食べる人ー?」

 「「「はーい」」」

 全員でした。とりあえずこの苺と葡萄のやつも下さい。


 「お疲れ様です」

 俺は式典終わりの伊達さんに会いに行く。
 お偉いさんはこんな事しないといけないなんて大変だよねぇ。

 「いえいえ。織田さんは随分お楽しみだったみたいで」

 「そうですね。もう今日は帰りたいぐらいには」

 俺の姿を見て伊達さんは苦笑いする。
 頭にはお面をつけて、両手にはたくさんの食べ物。やってる事がそこらの野次馬と変わらん。
 いや、なんか懐かしく感じちゃって。
 今回の攻略が終わったらちゃんと浴衣を着て祭りに行きたくなったくらいだ。
 人が多いのが嫌なんだけどね。

 「ご武運を」

 「俺は基本的に観戦ですけどね」

 勿論死にそうにな人が居たら助けるけど。
 楽な魔物に当たると良いなぁ。
 オーガとかならほんとに楽なんだけど。

 「面倒なフィールドとか出ないと良いなぁ」

 おや。フラグみたいな事を言っちゃった。
 一級フラグ建築士の免許が取れるかもしれんな。
 あれは主人公属性には必須の免許だから、俺もそろそろ取得しようと思ってたんだ。
 これで本当に面倒なフィールドが出て来たら、俺が主人公って事でお願いしますよ。
 
 
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