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第5章 海外遠征

第103話 完成

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 北海道の海鮮を満喫して東京に帰ってきた。
 これにて国内学校巡りは終了である。

 「いやぁ。頑張った。今日からギルド事務所が完成するまでは引きこもるぞー!!」

 「いっぱい買い溜めして来たもんね~」

 絶対に外に出てやらないという意思表示の為にお菓子やらジュースやらをしこたま買ってきた。
 お酒はラウンジに置いてあるしね。一回も使ってないが。

 「ご飯は宅配で良しだし完璧だな」

 「あたしはこの機会に少し料理でもしてみようかな~と思ってちょっとだけ材料を買って来ちゃったよ~。折角立派なキッチンがあるしね~」

 すぐに飽きると思うけど。
 桜もそれが分かってるのか、1食分しか材料を買ってない。俺達の1食分だから結構な量だけど。

 さてして。頑張って学校巡りをしたご褒美期間として引きこもりを楽しませてもらいましょうかね。



 そしてそれから約一ヶ月。
 我が家のビル全体が完成した。

 「長らくお待たせしました」

 「いやいや『地震に負けない』には良い仕事をしてもらいましたよ。社宅の方も既に始めてくれてるみたいで」

 「はい。そちらも順調に進んでおります。なんとか皆さんが上京してくるまでには間に合うかと」

 「それはそれは。報酬もしっかり上乗せしておきますね」

 ギルド長の芦田さんとの世間話もそこそこに、早速ビルの中に入ってみる。

 まず入ると、品の良い受付が目に入る。
 デザイナーさんも素晴らしい仕事をしてくれてるな。文句の付け所がない。

 「1階から10階までが事務所になってます。2階からは経理や広報など、部門毎の階層になってますね。9階は食堂に、10階は応接室やギルド長室等も」

 「ほうほう。あ、設備系も既に入れてくれてるんですね」

 「はい。織田さんからはお金に糸目をつけずに最高級のモノをとお願いされてましたので。私達のギルドが提携してるインフラ関係のギルドにお願いしました」

 すぐに仕事を始められるようにパソコンやらコピー機やらその他インフラ関係もしっかりやってくれている。俺はこの辺はちんぷんかんぷんだから、後で桜に見てもらおう。

 食堂も料理人を何人か雇ったからね。
 基本的にはここで働いてもらう。勿論、ギルド員にはお安く提供する予定だ。
 俺は無料でも良いと思ったんだけど、桜にそれはよくないって言われたので、なるべくお安くという事になった。俺達も飯を食べに行くのが面倒だったら、ここを利用する事になるかもしれない。

 「では次は11階と12階へ向かいますね」

 お次はギルド員が息抜きに使えるようにと用意したジムである。11階は各種マシンが用意してあり、体を動かしたい人はここでどうぞって感じだな。
 12階は階段でもエレベーターでも行けるようになっており、プールと大浴場を用意してある。
 俺達は特に使う予定はないけど、気が向いたらプールとかに入りたくなるかもしれないって事で、ノリで用意した。
 ここは無料で使用可能である。

 「次は14階ですね。ここからは専用のカードキーが無いと入れないようにしてあります」

 エレベーターにカードキーを翳して更に上に向かう。俺の家のカードキーと同じ感じだな。このカードキーでも我が家までは来れないけど。

 「おお!」

 「すっご~い!」

 14階から18階は所謂生産部屋である。
 各種生産系能力者の為の生産設備が階層毎にズラリと設置されている。

 「こちらも現状最高級の設備を用意させて頂いてます。研究室の各種設備も同様です」

 うむうむ。大満足ですな。
 正直、ここが一番お金が掛かった。
 研究用の設備とか目玉が飛び出るぐらいのお値段だったからな。
 まぁ、これは先行投資ってやつだな。
 これから投資分を回収出来る程の発明やらをしてもらうとしよう。勿論、俺の異世界知識も提供する予定だ。魔道具とかを実際に見せたりな。

 いやぁ。俺に収集癖があって良かったな。
 とりあえず見た事ない魔道具は買ったりしてたから。一時は魔道具の収集の為にダンジョンに潜ってた事もある。

 「ふむん。これだけ大きいならもう少し人を雇ってもいいかもしれんな。第二回面接を開きたいところだけど」

 「もう少し間を空けないとね~。前回、書類段階で弾いた人しか応募してこないよ~。もう少し生産関係で実績を上げれば良い宣伝になって個人でやってるような人が応募してきてくれるかもだけど~。だんちょ~は戦闘関係で目立ってるけど生産系はまだ未知数だからね~。様子見してる人達も居ると思うんだ~」

 それもそうか。なら仕方ない。もう少し待つとしよう。あ、生産系能力者の学校を作ろうとしてたのを忘れてた。後で素案をまとめておこう。協会に相談しないといけないしね。

 因みに13階はわざと空けてある。何か他にも設備を入れたくなった時ように一階だけ空けてもらったのだ。だから13階はがらんとしてあり、マジで何も置いていない。

 「ふむふむ。俺としてはパーフェクトなんだけど、桜さんはどう?」

 「う~ん…。設備とかに関しては文句ないよね~。問題は私達かも~?」

 むっ。何か俺達に問題が?
 性格とか言わないでよ? それは俺も分かってるけど治らないんだから。

 「ほら~。警備の人達がいるんじゃないかな~って思って~。戦闘系の能力者はいらないと思ってたけど~。私達は自衛出来ても他の人達はそうじゃないでしょ~? これから発明とかしたら強硬手段で情報を抜きにくる人達が絶対出てくるし~」

 あーなるほど。
 確かに他のギルド員の安全の事を考えてなかったな。研究員とか生産系能力者が襲われたりする可能性もあるのか。護衛とかが必要だなぁ。
 うーん。学校巡りも終わって、スカウトが出来ない。在野のフリーの探索者に声を掛けるべきか。

 「また配信で呼びかけるか」

 「そうしようか~。ついでに事務所紹介とかお家紹介とかもしちゃお~。んふふ~。なんだか配信者っぽくて楽しくなってきた~」
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