98 / 152
第5章 海外遠征
第89話 カジノ
しおりを挟む天使に憑依してアイテムボックスを開く。
「えーっと。異世界で着た奴がある筈なんだけど」
アイテムボックスをゴソゴソと。
あ、あった。これこれ。
「タキシード~?」
「後、これは桜用ね」
タキシードとドレスをアイテムボックスから出す。これ、なんとダンジョンからのドロップ品なんだぜ。低難易度の宝箱報酬だったけど。
「これから行く所はドレスコード必須だからな。日本でも正装はいくつか買ったけど時間がかかるし。今回は間に合わせのこれで」
間に合わせって言っても、サイズ自動調整と温度自動調整、防汚の機能がついてるらしいけど。
向こうでお偉いさんと会う時に来てました。
「あ~。あたしどこに行くか分かっちゃった~」
「流石にあからさますぎたか」
フランスでモナコって言ったら行く所は一つしかない。
「カジノじゃー!!」
「いえ~!!!」
モナコ側にあらかじめ行きたいって伝えてたからな。車とかの用意をしてくれていた。
ベント○ー。カッコよかったな。車に興味なかったけど、この海外遠征で少し興味持っちゃったかも。日本に帰ってからコレクションも検討しようかな。
一応カジノに入る時は、エントランスの係員にパスポートで身分確認されるんだけど。
早速VIPルームに通されそうになって焦った。
俺はまずは一般でカジノの雰囲気を楽しみたいのだ。素人だし。
「うわー。すげぇな」
「豪華~」
異世界で何度も王宮に行ってなければ、この内装に圧倒されてたかも。
耐性があってもすこし呆けちゃったし。
「さて、桜さん」
「言わずとも分かるよだんちょ~! ここからは別行動してどっちが多く稼げるか勝負だね~?
「流石だな。その通りだ」
ただカジノを楽しむだけじゃ勿体ない。
せっかくだし桜と勝負して更にひりひりさせてもらおう。
「最初の持ち金はお互い日本円で1000万。これをどれだけ増やせるかで勝負だ」
因みに天魔君は賭け事は詳しくありませぬ。
ポーカーとかBJとかもあんまりやり方が分かってないんだよね。ルール説明してもらいながら頑張ろうとは思ってるけど。
「負けた方はどうするの~?」
「なんでも一つ言う事を聞くってのはどう?」
「乗った~!!」
よーし!! やってやるぜ!!
早速チップに交換してスタートだ!
桜と別れて俺がまず向かったのはルーレット。
馬鹿でも出来るしな。これで手持ちを増やしてやる。
「よろしくお願いします」
俺が卓に座るとディーラーの人の顔が引き攣った。そんなに心配しなくても素人です。
狭間でどれだけ活躍しようが、ここでは唯の人ですゆえ。
俺が素人なんで軽くルール説明をお願いすると、ディーラーの人はあからさまにホッとした顔をしていた。
インサイドベットやらアウトサイドベットの説明をされてとりあえずスタート。
とりあえず難しい事を考えずに赤か黒かの二択を当てるゲームを楽しむとしよう。
当たればベットした額の二倍になって返ってくる。
「どちらにしようかな。天の性悪女神様の言う通り~」
どうせ二択なんだしと神頼み。
でも俺は性悪女神様を信用してないので。
敢えて逆を選ぶ。
「黒で」
持ってるチップの半分を黒の場所に置く。
そして俺はルーレットの行く末を見守る。
コロコロと転がり、最終的に入ったのは黒だった。
「やったぜ」
ふはははは! 性悪女神を信じなかった俺の勝利!! 倍になったぜ!
「おめでとうございます」
「ありがとうございます」
このカジノに居る人達は落ち着いている。
俺が有名人って事は分かってるだろうが、過度な干渉はしてこない。金持ちは余裕がありますな。
その後も赤か黒の二択で楽しみ、偶にダズンベットっていう12個毎に区切られた当たれば三倍になるのに賭けてみたりもした。
一回だけ当たれば三十六倍の一点賭けもしてみたけど残念ながら外れ。
でもなんやかんや持ち金は増えて行き、1時間ぐらいの遊戯で1000万が3000万ぐらいになっていた。
俺はディーラーさんにお礼を言ってチップを少し渡し、その場を後にする。
ふむむむ。桜の方の調子はどうなんだろう。
今の収支で果たして勝てているのか。
もう少し増やしたい所だな。
うーん。ポーカーの方が騒がしいなぁ。
でもあんまりルールが良く分からんし…。
BJの方がまだ分かりやすいしそっちにしよう。
トランプの大富豪とかで勝負してくれる人はいないのかな? それなら俺はルールを熟知してるし勝負になる気はするぞ。勿論ローカルルールも込みだ。
冗談はさておきBJの卓へ。
これは簡単に言うと数字の合計で21を目指すゲームだ。
絵札は10扱いでAは1と11扱い。
これさえ分かってれば楽しめるらしい。
カジノに来る前に勉強しました。
カウンティングなる方法があるらしいが、やってはいけないらしい。出来るとも思わないが。
(ふぐっ。17って。なんて中途半端)
ヒットすべきか否か。
ええい! 頼むぞ性悪女神!
意を決してヒットして配られたカードは5。
バーストである。
「くそが。やはり性悪女神は信用出来ん」
でもルーレットよりもヒリヒリ感を楽しめるな。
もう少し楽しませてもらおう。
桜には負けてられん。何で遊んでるのか知らんが、勇者天魔に負けは許されんのだ。
魔王に何度も負けてるじゃんって話は受け付けてませんので悪しからず。
1
お気に入りに追加
751
あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。

千変万化の最強王〜底辺探索者だった俺は自宅にできたダンジョンで世界最強になって無双する〜
星影 迅
ファンタジー
およそ30年前、地球にはダンジョンが出現した。それは人々に希望や憧れを与え、そして同時に、絶望と恐怖も与えた──。
最弱探索者高校の底辺である宝晶千縁は今日もスライムのみを狩る生活をしていた。夏休みが迫る中、千縁はこのままじゃ“目的”を達成できる日は来ない、と命をかける覚悟をする。
千縁が心から強くなりたいと、そう願った時──自宅のリビングにダンジョンが出現していた!
そこでスキルに目覚めた千縁は、自らの目標のため、我が道を歩き出す……!
7つの人格を宿し、7つの性格を操る主人公の1読で7回楽しめる現代ファンタジー、開幕!
コメントでキャラを呼ぶと返事をくれるかも!(,,> <,,)
カクヨムにて先行連載中!

半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる