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第5章 海外遠征

第84話 出発

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 「なんか調子に乗って買いまくったけどさ。こういうのって、フランスでも出来るよな。むしろパリとかの方がオシャレな気がしない?」

 ○ラダ、グ○チ、ヴ○トンを回った所で、ふと我に返ってしまった。
 なんか一気にお金使って冷静になったよね。俺もポテショックから抜け出せてなかったのかもしれん。

 「いや~散財したね~」

 「な。セレブとかはこんなんが当たり前なんだろ? 俺に目指せるかな?」

 なんか、もう当分買い物はいいかなって。
 今日買った色々で十年は過ごせるぞ。
 こういう富裕層では、流行りに乗らないとダサいのかもだけどさ。

 「いや、俺が着た物が流行りになるんだ。そういうスタンスでいこう」

 インフルエンサーに俺はなる!!



 家に帰ってきてから早速荷造り。
 何日滞在するか分からないけど、とりあえず十日分の着替えやら、日用品を持っていけばいいだろう。

 「こうやってスーツケースに詰めてると旅行って感じがするよね~」

 「アイテムボックスとかに入れるのは味気ないだろ。やっぱり買って良かったぜ」

 今日買った品々を適当に入れていく。
 この新品の匂い。たまりませんな。

 「明日は朝から羽田だよね~?」

 「そそ。プライベートジェットだぞ。フランスが俺にくれる予定のジェットで迎えに来てくれてるらしいぜ」

 むははは。至れり尽くせりな事ですな。
 楽しみで仕方ない。フランスは国家規模の危機だろうけど、俺からしたら旅行ついでに狭間に寄るくらいの感覚ですし。

 「旅行に行くだけで、お金とジェットが貰えるって。探索者はボロい商売だぜ」

 「ほとんどの探索者を敵に回す言葉だね~」



 翌日。二日連続の早起きで少し眠たいものの、荷物を乗せ車で羽田まで。
 自家用機専用ターミナルまでやってくると、そのままジェットまでまた車で案内された。

 荷物を渡して積み込みをしてる間に、これからの予定の説明を受ける。
 協会の朝倉さんもわざわざ見送りにきてくれた。

 「フランスでのご武運お祈りしております」

 「あははは。なるべく早く帰ってきますね」

 そんな大袈裟な。ただ遊びに行くだけなんですけども。ちょっとこの温度差に申し訳なくなっちゃうね。

 そのまま案内されるがままに、ジェットに乗り込んだんだけど、その内装の豪華さに度肝を抜かれた。

 「いや、もうホテルじゃん」

 「すっご~い!」

 機内はもう高級ホテルの一室って感じだった。
 ってか飛行機ってこんなに大きいんだな。もっと小さいのも貰えると思ってた。フランスさん奮発しすぎでは?

 「やべぇって。飛行機の中に風呂って。無駄機能すぎない?」

 「シャワーは聞いた事あるけどお風呂って初めて聞いた~」

 ちょっと、おっかなびっくりになりながらも機内を探索。
 やばいよ。ソファもふかふかだし、ラウンジもある。ベッドも完備されてていつでも寝れるしさ。

 「俺、全然ここに住めるんだけど」

 「あたしも~」

 フランスの本気を垣間見たな。これはさっさと攻略して安心させてあげなきゃって気持ちにさせられるよ。上手い手を考えたものだぜ。
 俺が単純なだけ? そうとも言う。

 「織田様。よろしいでしょうか?」

 桜とテンションを上げながらわちゃわちゃ機内ではしゃいでたら二人の女性CAさんがやってきた。
 金髪と茶髪のとても美しい外人さんだ。

 「本日『シークレット』のお空の旅をお手伝いさせて頂きます。ソフィーとマリオンです。よろしくお願いします」

 「あ、よろしくお願いします」

 「よろしくね~」

 桜で美女耐性がついてなかったら、コロっとお姉さん達に遊ばれてたかもしれない。
 笑顔がとっても美しいです。

 その後に機長と副機長を紹介された。この二人は日本人のまだ若めの青年だった。もっと壮年な人を予想してたんだけど、どうやらこの二人は『操縦』の能力持ちらしい。そりゃ凄い。

 「ってか、外人さんが日本語ペラペラだとびっくりするよな」

 「違和感があるよね~」

 話を聞いてみるとソフィーとマリオンはマルチリンガル? とか言うやつらしい。
 そんな横文字を並べられても、天魔君には分からないんだが。どうやらいっぱいの言語を話せますよって事らしい。

 で、この美女二人『接客』って能力持ちらしい。
 CAの仕事はかなり捗るだろうな。

 「ふむん。ジェットを貰うって事は運転手とかも雇わないといけないのでは? 相場ってどれくらいなんだろな」

 「専属にするならそれなりの額を出さないとね~。だんちょ~がいつ海外に行きたいって思っても行けるように待機しておかないとだし~」

 なるほど? その辺はまた考えよう。
 CAさんとかは雇う必要ないよな? 今日はフランスからのおもてなしを受けてるけど、これからは違う訳だし。俺たちしか乗る予定ないのに、CAさんは居なくてもいいよね。

 「織田様。私達を雇って下さっても良いんですよ?」

 ソファに座りながらぐでーっとしてたんだけど、ソフィーとマリオン二人に挟み込まれて、しなだれかかってきた。

 「よし。採用」

 わはははは! こんな美女に言われちゃうと仕方あるまい! 鼻の下も伸びるってもんよ!

 「まぁ、冗談ですけど」

 「そうですな」


 桜さんが耳打ちしてたの見えましたし。
 おちょくられてるんだろうなってのは分かりました。その証拠に冗談ですけどって言った時の顔は、さっきの妖艶そうな顔と打って変わって真顔だったし。女性って怖いな。

 「織田様。八重様。まもなく出発です。ベルトの着用をお願い致します」

 いよいよ。海外遠征だぜ。
 初のフランス。楽しみにさせてもらおう。

 
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