異世界帰りの憑依能力者 〜眷属ガチャを添えて〜

Jaja

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第4章 ギルド拡充

第68話 猫

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 「ふぃー。遊んだ遊んだ」

 「上位ランキング入りも見えてきたね~」

 配信をした翌日。
 俺と桜はいつものように、ゲーセンで遊び回った。今やってるゲームの全国上位ランキングも見えてきており、かなり順調だ。

 「晩飯は? 吉野さん?」

 「ん~。今日はラーメンが食べたい気分かな~」

 おや、珍しい。吉野さんを拒否とは。
 俺も言われてみれば、ラーメンが食べたくなってきたな。
 よし。家系ラーメン屋に殴り込もう。
 あのニンニク増し増しのラーメンは定期的に食べたくなる魔力があると思います。




 「大満足! これで値段が安いんだから、日本の食文化は凄いよな!」

 「大将さんはあたし達の食べっぷりにびっくりしてたけどね~」

 ホテルへの帰り道。
 ゲーセンまで車で行くほどの距離でもなかったので、歩いて行っていた。
 だから、帰りも歩いてるんだけど。
 ラーメン屋から軽く野次馬がついてきている。
 有名人って辛いね。本当にプライベートが家の中ぐらいしかないよ。

 「全マシを3杯も食べたらそうなるよな」

 「流石のあたしもお腹いっぱいかな~」

 俺と桜で計6杯。フードファイターばりに食べ散らかしてきてやった。
 なんか現代に帰ってきてから、食欲が増えてるような気がするな。
 異世界で魔の森に引きこもってた時は、飯を抜いてダラダラするのもザラにあったんだけど。

 「異世界より圧倒的にこっちの方が食文化は進んでるからなぁ。実は俺、食べるのが好きな人間だったのかもしれん」

 「あたしは食べるの大好きだよ~」

 それは知ってる。吉野さんラブなのも知ってる。
 これで食べるのが別に好きじゃないとか言われたら逆に驚くって話よ。

 「あ、コンビニ寄って帰ろうぜ。スイーツを買いたい」

 「すっかりハマっちゃったね~」

 「甘い物はいいよな。人類を幸せに出来る力を持っている」

 「生クリームは人類最高の発明だよね~。ん~? だんちょ~! あれあれ~!」

 ホテルへの帰り道。
 コンビニに寄る為に少し方向転換しようとしたところで、桜が何かを見つけた。

 「ほう。野良猫」

 「可愛い~!!」

 道の隅であくびをして座っている野良猫を発見。
 桜は動画サイトで猫の癒し動画をたまに見てるからな。好きなんだろう。

 「茶虎猫ってやつ? 警戒心がないな」

 「飼い猫が散歩してるのかな~? 可愛いね~!」

 あくびをしつつ毛繕いしてる野良猫を桜はスマホでかしゃかしゃと写真を撮る。

 「にゃ~ご」

 写真を撮られまくっても、全く気にした素振りを見せない野良猫だったけど、一声鳴くと、桜に擦り寄ってきた。

 「きゃ~! もうあなたはうちの子だよ~!」

 「まてまて」

 桜さんが暴走してしまっている。
 可愛さのあまり、テンションがグレンラガンしちゃってる。

 「ホテル暮らしの俺達が野良猫を連れ込めるわけないだろ」

 「あたしは家が完成するまでこの子と野宿するよ~!」

 なんでだよ。極端すぎる。何が桜さんを狂わせてるんだ。

 「それにまだ野良猫って決まってないだろ? 首輪はしてないけど、人慣れしてるし。誰かの飼い猫かもしれないじゃん」

 「んふふ~。ここが気持ちいいんだね~?」

 「ごろにゃー」

 聞いちゃいねぇ。完全に自分の世界に入ってしまっている。そんなに猫が好きなら言ってくれれば良かったのに。
 ペット一匹養うぐらいの甲斐性はあるつもりですけど?

 「えーっと。こういう場合はどうしたら良いんだ?」

 まずは病院に連れてって行って病気の検査とかしてもらわないと?
 予防接種やらノミとかの除去をしてもらうんだよね?

 「あ、こういう時にスマホを使うんだ」

 俺氏。ちょっぴり機械オンチっぽいんだけど。
 流石に検索ぐらいは出来ますとも。

 「ふむふむ。ほえー。ペットって『物』扱いなんだ? って事は警察に拾った事の報告も必要と」

 物扱いってなんだかなぁって思うけど、そこに文句を垂れても仕方ない。
 とりあえず方向性は決まったな。

 「あ、ホテルに連絡しておかないと。ペット可じゃないだろうし、ペットも泊まれるホテルも探さなきゃ」

 「んふふ~。名前は何にしようね~?」

 「にゃごにゃご」

 いつもは色々やってくれる桜さんが使い物にならない。桜さんはだらけてるように見えて、結構細かい事をやってくれてたんだな。

 「おい、桜。とりあえず動物病院に連れて行くぞ。夜間でもやってる所はあるらしいからな」

 「だんちょ~が魔法使えば良いんじゃないの~?」

 「魔法で予防接種出来る訳ないだろ」

 知らんけど。とりあえず俺は出来ない。
 それにこういうのは初めが肝心なんだぞ。
 専門の人にしっかり診てもらわないと。

 「だんちょ~。顔がだらしないよ~」

 「お前に言われたくねぇ」

 俺も乗り気なんだ。猫ちゃん可愛いね。
 桜と戯れているのを見ていると、心が浄化されるような気がする。

 「ポテちゃ~ん。病院行くよ~」

 もう名前つけてるのかよ。
 どういう由来でその名前になったのか気になるぞ。

 「ほら~! 見て~! 歩き方がぽてぽてしてるでしょ~?」

 「にゃーご」

 ネーミングセンスよ。確かにぽてぽて歩いてるけど。そのまんま過ぎませんかね。
 軽く歩かせた後は、桜が抱き抱えて地図アプリを起動して病院に向かう。

 「警察は明日で良いか」

 「もうこの子はうちの子なんだってば~」

 そういう訳にもいきませんよ。
 法律で決まってるんだし。とりあえずルールは守らないと。
 野次馬も結構見てるし、揚げ足を取ってくる奴はどこにでもいるもんだぜ。
 

 
 
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