69 / 152
第4章 ギルド拡充
第63話 面接
しおりを挟む面接当日。
俺はこの日の為に拵えたオーダースーツを身に纏い、やる気満々で会場入りした。
「やっべ。俺、かっこよすぎない?」
「スーツが良いんだよ~」
またまたー。素直に俺を褒めてくれていいのよ?
こんなカッコいい顔に産んでくれた母親に感謝だな。昔過ぎて記憶がほとんど無いけど。
「桜がキッチリした服装してるのはなんか新鮮だな」
「流石に面接官が派手な服を着てるのは常識的にあり得ないでしょ~?」
桜もスーツを着ている。格好はキッチリしてるけど、ピアスはいっぱい付いてるし、アクセサリーもジャラジャラと。常識とは?
「まっ、いいや。探索者なんだし。無理にスーツとか着る必要もないよね」
俺は一度着てみたかったから、今日お披露目した訳だけど。
いつもスラックスは穿いていたけどそれとは違う、なんか自分が賢くなった感があるよね。
「今日は何人面接するの?」
「30人ぐらいだったかな~?」
面接は三日間かけて行われる。
応募は万を余裕で超えていたが、桜さんがどう調査したのか分からないけど、選抜して大体合計100人ぐらいの人を面接する事になる。
「でも、大体合格にする予定だろ?」
「そうだね~。だんちょ~が貸してくれた魔道具を使ってスパイとか工作員じゃなかったら採用で良いと思うよ~」
ふむふむ。資料をペラペラとめくっていき、面接者の情報を見ていく。
能力者持ちとそうじゃない人で半々ぐらいか。
「生産系能力持ちも結構いてくれてるな。助かる助かる。せっかく工房も作るのに能力持ちが居ないんじゃ意味ないからね」
「面白い人が居ると良いね~」
まぁ、現代っぽい能力者もチラチラいるよね。
ハッキングの能力者とかいるからね。そういうのは政府に管理されるらしいけど。可哀想に。
「次の人どうぞー」
面接を開始してから2時間が経過した。
まず最初の質問で、スパイの有無を確かめる。
今の所それで弾かれたのは3人も居るんだよね。
いくら、桜さんが厳正に選抜してくれても抜けてくる人はいるって事だ。
万を超える応募者を選抜しただけでも凄いけど。
「えーっと、あなたの志望動機は…。ん? 料理?」
「はい! 八重さんに美味しい牛丼を食べてもらいたくて!!」
「採用~!!」
「ありがとうございます!!」
待て待て。早すぎる。即堕ちじゃねぇか。いやでも、凄いなこの人。
今は高級レストランで働いてて、自分の店を持ってるらしいけど。それを捨ててまでうちに入ると? どれだけ桜に命かけてるんだよ。
「お店の方はどうするつもりで?」
「幸い、料理の能力持ちを何人か雇えてますので! その誰かに譲ろうかと考えてます!」
ほえー。成功者なのに。うちに料理を作る為にくるとは。凄い人もいたもんだ。
「ね~! だんちょ~! 早く採用って言いなよ~! うちのギルドの専属料理人にするべき人材だよ~! ね~!」
桜さんがうるさい。正気を失ってないだろうか。
牛丼なんて吉野さんに食べに行けばいいじゃん。
「オリジナル牛丼を一緒に考えるんだ~! 吉野さんの社長も交えて企画を進めていかないと~!」
採用が確定事項になってるじゃん。
そういえば、吉野さんと共同でオリジナル牛丼を作るとかなんとか言ってたな。
まっ。いっか。はい、採用。
「んふ~! 楽しくなってきたね~」
「そうだね」
桜さんが楽しそうなら良いでしょう。いつもは俺に付き合わせてるしね。
次の人は魔道具師の能力者。
この人は面接でプレゼンしてきた。
「ふーん? 面白い事考えるな」
「これを作れたら世界が一変するよ~」
ボサボサの髪だけど、一応服装だけは取り繕いましたみたいな、いかにも研究にしか興味が無さそうな女性なんだけど。
目をギラギラさせて資料片手にプレゼンする姿はお化けみたいだった。
「ですよね! でもです! 素材と魔石の質のせいで! 実用出来そうに無かったんです! しかし! 織田さんが持ち帰ってきた素材なら! 可能性はあるのじゃないかと!! 私は思ってるんです!!!」
とにかく熱意が凄い。
この人が作ろうとしてるのは、狭間が誕生すると即座に察知出来る魔道具。
理論は説明されてもちんぷんかんぷんだけど。
まぁ、成功したらお金はウハウハ間違いないだろうな。
「じゃ、採用で」
「ぴゃー! ありがとござます! ぴゃー! ぴゃー!」
うん。面白そうな人でなにより。今までも色んな企業を回って資金援助やら素材援助をお願いしてきたらしいけど、中々相手にされなかったらしいからね。嬉しさもひとしおだろう。
踊りながら退室していった女性を見送る。
あの人で今日の面接は終了だ。
「なんで企業の人達はあの人の話を取り合わなかったんだろうね~? 成功すれば莫大な富を得られるのは間違い無しだと思うけど~」
「滅茶苦茶金がかかる」
分からないなりに話を聞いてたけど、必要魔石量や素材を勘案すると50億は間違いなくかかる。
そりゃ足踏みするよね。それに、素材はどうしても無理だ。1級素材でもギリギリなんじゃないかな。
「え~? 1級素材でも微妙なの~? じゃあ無理じゃ~ん」
「いや、俺のアイテムボックスの中に入ってる素材を使えばいいだろ。異世界産の。1級なんて余裕で超える素材が山ほどあるぞ」
売る事は出来ないけどさ。
使うならバレないっしょ。
あの女性には秘密を守ってもらう必要があるけど、大丈夫だと思う。研究にしか興味なさそうだし。
あ、そうだ。向こうの魔道具を見せて量産出来るかも聞いてみたいな。
魔法と科学が合わさるとどうなるかも気になる。
これも地球の女神が望んでた事だし、やってみる価値はあるだろう。
11
お気に入りに追加
750
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
無限の成長 ~虐げられし少年、貴族を蹴散らし頂点へ~
りおまる
ファンタジー
主人公アレクシスは、異世界の中でも最も冷酷な貴族社会で生まれた平民の少年。幼少の頃から、力なき者は搾取される世界で虐げられ、貴族たちにとっては単なる「道具」として扱われていた。ある日、彼は突如として『無限成長』という異世界最強のスキルに目覚める。このスキルは、どんなことにも限界なく成長できる能力であり、戦闘、魔法、知識、そして社会的な地位ですらも無限に高めることが可能だった。
貴族に抑圧され、常に見下されていたアレクシスは、この力を使って社会の底辺から抜け出し、支配層である貴族たちを打ち破ることを決意する。そして、無限の成長力で貴族たちを次々と出し抜き、復讐と成り上がりの道を歩む。やがて彼は、貴族社会の頂点に立つ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる