異世界帰りの憑依能力者 〜眷属ガチャを添えて〜

Jaja

文字の大きさ
上 下
64 / 152
第3章 老害

第58話 性癖暴露

しおりを挟む

 
 老害の家にお話しに行った翌日。
 俺と桜は北海道に戻ってきて、ホテルで朝食を食べていた。

 「SNSでトレンドになってるよ~」

 「ぶふっ! 乗っ取りとか思われてるじゃん」

 桜がご飯を食べながらスマホを見せてくる。
 それは今朝ポストされた老害の書き込みだった。

 「急にこんな事をポストしたらそうなるでしょ~」

 「なになに? 『今日からわしの性癖を一日一つずつ暴露していく。記念すべき一日目はこれだ』」

 男の娘か。可愛い男性が女装してる姿にたまらなく興奮する事を文字数制限もあるのにいくつかに分けてポストしている。

 「まだ可愛いもんだな。もっとえげつないのを期待してたんだけど」

 「男の娘が好きなんて人は結構いそうだよね~」

 なんかもっと社会復帰が出来ないようなネタを求めてたんだけど。
 これじゃあ逆に男の娘好きから支持を集めてしまうかもしれない。

 「それにしても精神操作はとりあえず成功してるみたいだな」

 「今頃老害さんは訳分からない事になってそ~」

 俺がした精神操作その一。
 毎日、何かしらの方法で自分の性癖を一つは暴露する事。
 まぁ、普通の人なら一週間ぐらいで終わりそうだけど。流石に10個も20個も性癖はないだろう。ないよね?

 因みに、老害に精神を弄られた記憶はない。何故自分が性癖を曝け出してるのか分かってないだろう。何故か暴露したくなるように弄ったからな。
 今頃悶えて苦しんでくれてると嬉しい。

 「まだまだこんなもんじゃないぞ。少しずつ壊していってやる。最初から飛ばし過ぎると変に思われるからな」

 「急に性癖暴露もたいがいだけどね~」

 まぁね。それでアカウント乗っ取りを疑われてる訳ですし。

 「とりあえず数日の間はこれで楽しませてもらおう。俺達は北海道観光の続きでもしようぜ!」

 「ザンギ食べた~い」

 あ、俺も。唐揚げとの違いがいまいち分からないけど名物なら食べてみたい。
 石狩鍋も食べたい。北海道は美味しいものばっかりで困っちゃうな。



 それから三日後。
 俺と桜は北海道から東京に帰還した。
 もう一度ラーメン屋にも行けたし、他にも色んなのを食べれたから大満足な遠征になったな。

 「ふむ。思ったより反響が少ない」

 せっかく老害が恥を晒してくれてるのに、2級攻略の動画が上がったせいで、話題をそっちに持っていかれてしまっている。

 「傲慢な性格そのままに性癖を語るもんだから、クスリやってるんじゃないかって囁かれてるな」

 もっと騒ぎになる予定だったのに。大炎上とは程遠い。

 「露出癖があったり寝取られ願望があったりで結構やばいと思うけどね~」

 露出狂の男の娘好きで寝取られ願望。
 極まった性癖してるよな。それが騒ぎにならないんだから、2級攻略がどれだけ偉業か分かるってもんだよ。俺の1級攻略も大概だったけど、他のギルドでも一つ上の狭間を攻略出来たもんだから、日本はお祭り騒ぎだ。

 「だんちょ~どうするの~?」

 「第二波に期待だな」

 性癖暴露でジャブを放ち、次はストレート。
 自分のタイプの人間を見ると、口説かずにはいられなくなる。

 「男の娘を口説くって事~?」

 「どうだろうな。普通に女も好きっぽいけど」

 女性遍歴を見る限りではだけど。普通に結婚とかもしてたらしいし。離婚してるけど。

 「そこまで精神を弄れるもんなの~?」

 精神操作は嫉妬レヴィアタンの専売特許ですからねぇ。
 老害も自分がなんでこんな事をしてしまうのか、理解出来ないだろう。
 でもせざるを得ない。自分の評判が落ちる事は分かりきってるのに、やらないといけない強迫観念に駆られる。

 「俺なら自殺したくなるね。まだ性癖暴露程度じゃ、顔真っ赤にする程度だろうけど」

 これからは口説く。捕まるを繰り返すだろう。
 その度に恥を晒してもらう。

 「それだけ~?」

 「それだけとは? 俺的には充分じゃないかと思ってるんだけど」

 「いや~。暗殺者を差し向けられたりされてるのにこれだけじゃ生温いかな~って」

 え。そうかな。社会的な死だと思うけど。
 もう表世界ででかい顔をする事はないから満足なんだけど?

 「あたしはもっと追い詰めた~い。全国放送で靴を舐めるぐらいはしてもらいた~い」

 あ、それはやってもらいたい。
 テレビで出演者全員の靴を舐めないと気が済まない精神操作をかけてやろうかな。

 「人前で漏らすとか~もっと社会的に殺すにしてもやりようはあると思うんだよね~」

 おやおや。どうやら俺より桜さんの方が怒ってる様子? そんな風に見えなかったから意外だぜ。
 俺はなんかもう一回すっきりしちゃった感があるんだけど。

 「老害さんに結構時間取られちゃったも~ん。なんか物凄く時間を無駄にした気がするんだよね~」

 ふむ。ご機嫌斜めですな。ここは一つ吉野さんにでも行ってご機嫌回復してもらおう。
 そう思って、ホテルから出て歩いて吉野さんに向かう。
 まだプリプリしてらっしゃるけど、牛丼食べたら忘れるだろ。

 「織田天魔ー!!!」

 「んあ?」

 歩いてると、後ろから大声で名前を呼ばれる。
 厄介なファンかなと思って振り返ってみると、そこに居たのはなんと老害。

 「わしと一晩共にしてくれー!!」

 おおふ。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~いざなわれし魔の手~

高見南純平
ファンタジー
最弱ヒーラーの主人公は、ついに冒険者パーティーを100回も追放されてしまう。しかし、そこで条件を満たしたことによって新スキルが覚醒!そのスキル内容は【今まで追放してきた冒険者のスキルを使えるようになる】というとんでもスキルだった! 主人公は、他人のスキルを組み合わせて超万能最強冒険者へと成り上がっていく! ~いざなわれし魔の手~ かつての仲間を探しに旅をしているララク。そこで天使の村を訪れたのだが、そこには村の面影はなくさら地があるだけだった。消滅したあるはずの村。その謎を追っていくララクの前に、恐るべき魔の手が迫るのだった。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

無限の成長 ~虐げられし少年、貴族を蹴散らし頂点へ~

りおまる
ファンタジー
主人公アレクシスは、異世界の中でも最も冷酷な貴族社会で生まれた平民の少年。幼少の頃から、力なき者は搾取される世界で虐げられ、貴族たちにとっては単なる「道具」として扱われていた。ある日、彼は突如として『無限成長』という異世界最強のスキルに目覚める。このスキルは、どんなことにも限界なく成長できる能力であり、戦闘、魔法、知識、そして社会的な地位ですらも無限に高めることが可能だった。 貴族に抑圧され、常に見下されていたアレクシスは、この力を使って社会の底辺から抜け出し、支配層である貴族たちを打ち破ることを決意する。そして、無限の成長力で貴族たちを次々と出し抜き、復讐と成り上がりの道を歩む。やがて彼は、貴族社会の頂点に立つ。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

処理中です...