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第3章 老害

第47話 顔合わせ

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 「天魔さん!」

 海鮮を思う存分楽しんだ翌日。
 北海道の探索者協会で顔合わせだ。
 協会に行くと既に『暁の明星』を始め、全てのギルドと探索者協会からは大村さんとお抱え探索者が勢揃いしていた。

 「どうやらお待たせしたみたいで」

 「全員揃ったのはさっきなので、全然大丈夫ですよ」

 一応10分前に到着したんだけど。皆さんそれよりも早く来てらっしゃったみたいで。
 稲葉さんが俺と顔見知りって事で一人ずつ紹介してくれる。
 ふーむ。錚々たるメンバーだな。日本の上位ギルドが勢揃いって感じ。

 「ん?」

 「ん~?」

 稲葉さんが声をかけたギルドだけあって、どこも好意的で楽しく攻略が出来そうだなって思ってたんだけど。
 何人かに一瞬、刺すような視線を向けられた。
 桜も気になったらしく首を傾げている。
 どういう事だろうね。

 「だんちょ~」

 「とりあえずは様子見だな」

 桜が能力を使って糸電話の要領で話しかけてくるが、とりあえずは何もしない。
 分かりやすい害があった訳じゃないし、他の面々は気付いていない。そのまま泳がせておく方がいいだろう。


 今回参加するギルドは全部で五つ。
 『暁の明星』
 『協会』
 『夜明けの時間』
 『風神雷神』
 『リア獣撲滅』

 協会はちょっと違うがどれもこれも日本では名を知られてるギルドで、主に3級と4級を主戦場にしている。
 今回はメインのパーティーだけを連れて来てもらっているが、みんな良い能力を持っている。

 なんでこんな能力を持ってて、そんな所で足踏みしてるだと思うんだけど、それはもう諦めた。
 地道に育てていくしかないね。今回の合同攻略がいい刺激になってくれる事を祈る。

 「織田さん。明日はよろしくお願いしますね」

 「大村さん。いい画をお願いしますよ。最も、俺と桜は基本は補助に回る予定ですが。楽しい攻略になりそうです」

 一通り自己紹介が終わってから少しして。
 各ギルドが明日の連携について話しつつ交流を深めていたので、俺も混ざろうかなとしていたら、大村さんが話かけてきた。

 「ギルドの勧誘、お断りして申し訳ないです」

 「いえいえお気になさらず。あわよくばと思ってただけですので」

 大村さんを引っこ抜こうと思ったんだけど、断られたんだよね。ちょっぴり残念。他の撮影持ち能力者を探すとしよう。

 「知り合いの生産系能力を持ってる人は面接に応募したらしいですよ」

 「おっ、そうなんですか? 楽しみですね」

 今回、協会所属探索者のリーダーをしている真田さんも会話に加わる。
 この人は『超回復』というカナダの特級探索者と同じ能力を持っていて、将来をかなり期待されてる探索者だ。
 能力が発現してすぐに協会が囲い込んだらしい。
 まだ20代前半と若いので、まだまだ成長できるだろう。
 是非、天魔ブートキャンプに参加してほしいね。
 一ヶ月で一端の戦士に仕立てあげてやるぜ。


 「織田さーん。今日は会えて嬉しいです! 明日はよろしくお願いしますね!

 「しますね!」

 次にやって来たのは『風神雷神』の双子姉妹。
 毛利一花と毛利二葉。近くで見てもどっちがどっちか分かりません。
 二人は探索者学校を卒業してすぐにギルドを設立して僅か2年で上位に食い込んできた実力派らしい。
 一応年齢は桜と一緒で20歳。さっき同年代トークをしていた。桜は生まれて半年も経ってないんだけどな。なんで楽しそうに話せてるんだろう。

 能力は『風塵魔法』と『雷轟魔法』。
 こちらもまだ若いし、将来が楽しみだ。

 「イケメンが来よったで!」

 「塩や! 塩もってこい!」

 若い女性のきゃぴきゃぴにはついていけないので、早めに離れて『リア獣撲滅』の元に向かうと、何故が塩を撒かれた。

 「あははは」

 「くそっ! 苦笑いも絵になりよるわ!」

 どうして良いか分からず苦笑いで誤魔化すと、次は舌打ちされた。どうしろと。
 こんな扱いをされているが、自己紹介の時はかなり礼儀正しかった。
 そこから少し話すといつの間にかこんな関係性に落ち着いた訳だ。

 『リア獣撲滅』は主に関西で活動してて、ノリの良い人が多い。
 桜との関係をしきりに聞いてくるのはちょっと面倒だけど。

 リーダーの柴田さんは聖剣召喚という、勇者みたいな能力を持っている。
 関西弁の勇者…。ちょっと解釈が難しいです。

 「『風神雷神』は若い女性が多いですよ。この機会に仲良くなれば良いじゃないですか」

 「かーっ! これやからモテる男は! まず最初に仲良くなるハードルがあんねん! わいらのギルドは、みんなどうやって女に話しかけたらええかわからん奴らの集まりや! 天魔みたいに笑顔で喋りかけるだけで仲良くなれる思たら大間違いやで!」

 「そ、そうなんだ」

 一気に捲し立てられた。周りのメンバーもそうだそうだと怨嗟の視線を向けてくる。
 どうやら、ここにも俺の居場所はないらしい。



 「織田君。明日はよろしく頼むよ」

 「あぁ。落ち着く。こちらこそお願いしますね」

 最後にやってきたのは『夜明けの時間』のリーダーでイケオジの吉岡さん。
 雑誌のモデルなんかもしたりして、マルチに活躍している。
 俺も将来はこんなイケオジになりたい。300年成長してないけど。
 しかし、能力は乱射魔トリガーハッピー
 狭間素材で作った銃を使うらしく、銃を持つと性格が変わるらしい。
 パーティーメンバーに見た目に騙されないで下さいと注意を受けたくらいだ。
 イケオジが銃で狂ってるところなんて見たくないんだけどな。覚悟だけはしておこう。


 「どうだった~?」

 「うーん。微妙」

 さっきの視線の事もあり、交流しながら様子を伺ってたんだけど。
 誰から向けられた視線なのかは判明しなかった。

 「明日の攻略は少し注意しないとな」

 「あたしは常に糸を出しておくね~」

 なんとも楽しく波瀾万丈な攻略になりそうだ。

 


 
 
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