異世界帰りの憑依能力者 〜眷属ガチャを添えて〜

Jaja

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第2章 日常の日々

第44話 吉野さん

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 「総理とお話しちゃったぜ」

 「伊達さんだっけ~? まだ40代なのに立派だよね~」

 協会からホテルに戻り早速電話をかけた。
 いつでも良いって言われてたし、とりあえず一番偉いであろう総理大臣を選んだんだけど、結構フランクな感じで妻をよろしくって言われた。
 後日会食でもという事で、予定を調整してくれた。

 「てっきり、秘書さんとかの電話番号だと思ったんだけどな。まさか総理直通だとは」

 「だんちょ~はいつも以上に礼儀正しくて面白かった~」

 当たり前だろ。異世界では緊張しなかったんだけどな。あっちは完全に暴力でなんとかなったってものあるんだろうか。
 現代はなんでもかんでも暴力に訴える訳にはいかないからなぁ。

 「ねぇねぇ~。どうしても会いたい人が居るんだけど~。丁度貰った電話番号にその人がいるからかけてもいいかな~?」

 「ん? 珍しいな。他人にあんまり興味ないくせに」

 「うるさいよ~。この人にだけは会っておかないと後悔すると思うんだ~」

 「いいよ。かけたら? 向こうが会いたいって言って来てるんだし」

 俺が許可をだすと、桜は嬉しそうにスマホをぴこぴこして電話をかける。
 そんな桜が興味惹きそうな人いたかな?
 まだちゃんとしっかり見てないから、把握してないんだよね。



 それから翌日。
 向こうは俺達から連絡が来るのは予想外だったらしい。ダメ元で朝倉さんにお願いしてたらしく、まさかの次の日には予定を空けてくれた。

 「んふふ~。んふふ~」

 「朝からずっとテンション高いね」

 「楽しみだからね~」

 今日俺達が会うのは吉野さんの社長。
 牛丼大好きの桜がしたら、そりゃ幸せだろう。
 でも、社長に会って何するの? って話なんだけど。

 「あんな美味しい食べ物を作ってくれた会社には最大級の賛辞を送らないと失礼だよ~」

 「大袈裟すぎる」

 「あのお値段、量、質、どれを取っても文句無しじゃ~ん」

 桜さんの牛丼愛が炸裂してる。
 俺も桜に付き合う過程で大分吉野さんマニアにはなってるけど。
 社長さんに会いたいとまでは思わないね。


 「初めまして~! 八重桜です~!」

 「社長の大河原です。本日は本当にありがとうございます。ダメ元でもお願いしてみるものですね」

 「いつも美味しく食べてます~! どうしてもお礼を言いたくてだんちょ~に連れて来てもらいました~」

 「SNSで見させてもらってますよ。お陰様で売り上げが伸びてありがたい限りです」

 おお。すげぇ。桜が丁寧な言葉で喋ってるぞ。
 どれだけ嬉しいんだよ。俺も最初に自己紹介したけど、それだけで、後はずっと桜と社長さんが喋っている。
 主に牛丼談義なのが面白い。
 桜なりの味の評価とかを、社長が真剣に聞いてメモしたりしてる。
 桜さん、牛丼に関しては舌が肥えてますからね。

 「どうです? 八重さんオリジナルの牛丼とか?」

 「ええ~!? 良いんですか~!? 是非考えてみたいです~!」

 「もしよろしければCMとかにも--」

 「わぁ~! 出てみたいです~!」

 
 もうね。完全に俺は居ないものとして扱われている。大人しく桜の隣に座ってお茶を啜ってるだけ。
 桜がここまで夢中になってるのは本当に珍しいからね。邪魔せずに空気になっておきます。
 何やら、オリジナル牛丼やらCMやらと勝手に了承してるけど、大丈夫なんだろうか。
 牛丼が絡むと馬鹿になるんだな。

 「だんちょ~も良いよね~?」

 「え? あ、うん」

 ぼーっとしてたら、急に話を振られた。
 良く分からずにOKしたけど大丈夫かね?
 なんの話をしてたんだろう。

 「では、また後日に相談してという事で」

 「ありがとうございます~!」

 マジでなんの話なんだ? なんか後悔しそうな予感がするのは気のせいだろうか。

 「おっと。すっかりお昼を過ぎてますね。一応お昼をご用意してあるんですが、どうなさいますか?」

 「それはもちろん~?」

 「食堂で各種牛丼が食べれる様に手配してあります」

 「是非いただきます~!」

 また牛丼か。昨日の晩飯も牛丼だったんだけど。
 なんか現代に帰ってきて、一番食べてるのは牛丼ってどうなのって思ったりもするんだけど。


 それから食堂でしこたま牛丼を食べてから会社を後にした。
 社長さんと桜は連絡先を交換して、これからの話を詰めていくそうだ。
 マジで何の話なんだろう。CMとかなら気にしなくてもいいんだろうけどさ。

 「んふふ~。今日は有意義な一日だったね~」

 「まだ15時ぐらいだから、一日はこれからなんだけど」

 「これ以上良いことなんて起こる訳ないでしょ~。松野さんとすき野さんの社長にも会いたいな~。こんなに楽しいお話が出来るとは思ってなかったよ~」

 「お願いしたら会ってくれそうだけど。朝倉さんに聞いてみる?」

 「時間がある時にお願いしようかな~。これから吉野さんと忙しくなるからね~」

 助手席に座って、忙しなくスマホを操作してるけど。俺にも何をするか教えてくれませんかね。
 ちゃんと話を聞いておけば良かったぜ。
 俺に関係のない話なら言わなくても良いんだけど。

 まぁ、俺は俺で直近は予定が結構詰まっている。
 合同攻略に面接。学校巡りと忙しい事だらけだ。

 とりあえずは来週の合同攻略の準備をしよう。
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