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第2章 日常の日々
第43話 宣伝
しおりを挟む「宣伝ですか?」
「勿論、皆さんがよろしければですが」
協会に到着した俺達は、受付からすぐに応接室に通された。
わざわざ時間を取ってくれた朝倉さんに、本題に入る前に先程決まった合同攻略を教えておく。
「俺は別に大丈夫ですけど」
「ありがとうございます。他のギルドの了承はこちらから連絡させて頂きます」
で、話を聞いた朝倉さんは、その合同攻略を是非大々的に宣伝したいと言ってきたわけだ。
「そんな宣伝する事ですか? 確かに2級攻略はセンセーショナルな事なんでしょうけど」
「当然ですよ! 今や、各国が注目する織田さんが指導した『暁の明星』がどこまでやれるのか。協会も気になっているんですよ。大村君を同行させて映像の記録もさせて欲しいですね。織田さんが居れば安心でしょうし」
ふーむ? そんなもんかね? そこまで気になるならブートキャンプに参加してくれれば良いのに。
様子見してるギルドや個人が結構多いんだよな。
『暁の明星』が名乗りを上げてくれて良かったぜ。
っていうか、協会の信頼が重い。
このまま俺に頼り切りになったりしたら困るな。
なんでもかんでも案件を放り投げられると、面倒になっちゃうからね。
まっ、今回はお偉いさんを紹介してもらおうと思ってるから、お願いは受けるんだけど。
「それにしても大村さんがまた同行ですか。あの人、うちのギルドにくれないですか?」
丁度大村さんの話が出たので、前々から思ってた引き抜きをしてみる。
広報にぴったりな能力を持ってるから是非欲しいんだよね。
「協会からしたら引き抜きは勘弁してほしいのが本音ですが…。こういうのは本人の意思もありますからね。特に大村君は前職で苦労してらっしゃるので。後ほど聞いておきますよ」
やっぱり簡単には手放してくれないよね。
優秀だもん。あの人。テレビ局は馬鹿な事をしたよ。
「それと、今回の攻略の結果次第では協会所属の探索者へ指導をお願いするかもしれません」
「おお! それは楽しみですね!」
協会所属探索者。
優秀な能力持ちが多いらしく、救援依頼やら素材収集等で活躍してるらしい。
なんで、ギルドではなく、協会に所属してるのか。それは引退後のサービスが充実してるからだ。
協会にポストが用意されており、若くして怪我で探索者を続けられなくなっても、手厚くフォローしてくれる。
で、協会がわざわざ囲い込むぐらいだから、本当に優秀なんだ。
多分、全国の協会所属の探索者をかき集めれば、なんとか2級は攻略出来るんじゃないかというレベル。狭間が崩壊しそうになったら、そういう措置を取ったんじゃなかろうか。
「なので、大村君の護衛として数名同行させて欲しいんですよ。『暁の明星』がどれだけ成長したのか、自分の目で確かめてもらおうと思いまして」
「良いんじゃないです? 俺として問題ないです。後は他のギルドに聞いてみて下さい」
「ありがとうございます」
ふぃー。やっぱり朝倉さんは喋りやすいぜ。
温厚で物腰柔らかな人柄だからかな。
本部長なんて、政治とかにも絡んできそうな役職なのにやっていけてるんだろうか。
「…zzz」
桜さんは最初は出されたお茶菓子をパクパク食べて幸せそうだったんだけど、お腹が少し膨れて満足したのか、俺の膝に頭を預けて寝ている。
こいつの神経どうなってるんだろうね。
お偉いさんの前で堂々と寝れるメンタル。
見習うべきではないけど、なんか羨ましい性格をしてるなって思います。
「それで本題なんですが…」
「ああ! そうでしたね。合同攻略が大きな話題すぎてすっかり話し込んじゃいました」
あははと笑いながら、懐から封筒を取り出す朝倉さん。
そのまま俺に渡してきて、視線で見て下さいと言ってるように思えた。
「では失礼して」
今日のアポを取った理由は、桜が軽く説明している。
稲葉さんには本当の理由を言ってないが、朝倉さんには言ってある。
わざわざ権力者を紹介してもらうんだからね。
それに、協会は俺が老害にちょっかいをかけられているのを知っている。
警察との良い橋渡し役をしてくれているんだ。
「これは…。凄いですね」
「冴えない私ですが、ツテはそれなりに恵まれておりまして。そこに書いてある方々は、向こうから是非会う機会を作って欲しいと言ってきたので、丁度良かったですね。勿論、評判が良くない人は弾かせてもらってます」
これでもうせっつかれなくて済みますよなんて笑いながら言ってるけど、書いてある人達は中々大物でびっくりしてる。
防衛大臣ぐらいはワンチャンあるかなと思ってたけどさ。
いや、実際防衛大臣の名前もあったんだけど、総理大臣の名前もある。
「ってあれ? 伊達って…」
「ああ。総理の奥さんは協会長ですよ。仲良くさせてもらってます」
おおー。結構ズブズブな感じなんだ。
探索者協会は国連管理だから、そういうのからは一歩引いてるイメージだったんだけど。
それにしても…あの隠れオタクみたいな伊達さんが総理の奥さんなのか。
なんか総理苦労してそう。
「いや、凄いですね。本当に大丈夫ですか、これ? 普通に電話番号とか貰っちゃってますけど」
「勿論ですよ。管理には気を付けて頂きたいですが、いつでも良いから連絡が欲しいと言われてますので」
貰った紙には、その人の名前と仕事。電話番号が書かれていて、もし紛失とかすると偉い事になりそうだ。
ってか、朝倉さんマジで凄いな。
人脈チートじゃん。
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