異世界帰りの憑依能力者 〜眷属ガチャを添えて〜

Jaja

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第2章 日常の日々

第41話 総決算

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 お友達を沢山作るという新しくやる事は出来たけど、それはまだ先の話。
 まずは依頼をしっかり完了させないとな。

 と、いうことで『暁の明星』への指導は最後の追い込みにかかっている。
 今までの指導がお遊びに思えるほどの地獄をみせてやろう。


 「ほらほら! そんなんじゃ単独で2級攻略なんて夢のまた夢だぞ!」

 「単独で攻略を目指してるわけじゃ…ぎゃーっ!」

 反抗的になったので、魔法をぶっ放す。
 勿論、死なない程度にだが。

 「隙あり~!」

 俺が魔法をもろに受けて転がって動かない稲葉さんを見ていると桜が糸を俺の首に伸ばしてくる。

 「燃えろ」

 何本も伸びてきた糸を焦らず火魔法で燃やす。
 しかし、その中の数本は燃えずにまだこちらに向かってきていた。

 「ほう。耐性か」

 なんだかんだ、この指導で一番成長したのは桜だ。元のポテンシャルが高い事もあったんだろうが、成長率は半端ない。糸の種類がかなり豊富で将来が楽しみだ。

 「弾け」

 俺の首に到達する直前で反転を発動させる。
 俺もこの世界に来てから、少しは勉強しているので。反転の使い方も様になってきている。

 「あ~! やっぱりずるいよ~! どんな攻撃も届かないじゃ~ん!」

 糸を弾きつつ、桜に接近して体術で仕留める。
 稲葉さんと同じ様に転がして、一息吐くと安藤さんが肉弾戦を仕掛けてきた。

 「はっ!」

 「むむっ。これは中々」

 筋肉のゴリ押しだが、これ中々彼女のスタイルに合っている。この一ヶ月で更に筋肉がパンプアップしてもうボディービルダーなんて目じゃ無いぐらいだ。
 正直女性としてどうかと思うが、安藤さん結構モテるらしいんだよね。
 この前、また服が入らなくなりましたとか嬉しそうに笑ってたんだけど。

 「連携も悪くない。成長したねぇ」

 安藤さんが前に立ち俺を抑えつつ、呪歌でバフとデバフを撒き散らす氏家さん。
 デバフは俺からしたら微々たるものだが、やらないよりは全然良い。
 合間に明智さんが火炎魔法で牽制してくる。

 「まっ、それでもまだまだ負けてやる気はないが」

 経験が違うのですよ。確かに魔法使いは寄られると弱いが、俺は独学とはいえ接近戦も出来る。
 憤怒サタンに憑依してないから、肉体スペックは天使の軽い身体強化のみだけど、それでも充分対応は可能だ。

 「はい、どーん」

 「うぐっ!」

 安藤さんの攻撃を捌きつつ、明智さんに魔法をぶつける。
 安藤さんのタンクを信用して油断してたな。
 まだまだ甘い。

 そのまま氏家さんにも魔法をぶつけて退場させる。これで安藤さんとタイマンだ。

 「ほっ! よっと!」

 「くっ!」

 サポートが無くなった安藤さんは一気に劣勢。
 このまま押して終わりかなと思ってたら、安藤さんの視線が俺を見てなかった。
 どうやら、俺の後ろを見ているようで…。

 「ん? やべっ!」

 その意味に気付いた俺は、翼で防御する。

 「んふーっ! 危なかった!」

 竹中さんに回復してもらった稲葉さんが後ろから奇襲してきた。
 安藤さんの視線に気付かなかったら、一撃貰ってたかもしれんな。

 「これでもダメですか!!」

 「狙いは悪くなかった」

 そう言いつつ、安藤さんを仕留める。
 そのまま振り返り、稲葉さんと相対した。

 「くっ!」

 「ふはは! それそれぇい!」

 やっぱり憤怒サタンに憑依してない俺の体術じゃ、本当の上澄み相手には危ない。
 という事で、魔法を乱射して距離を取る。

 「指導という事を忘れてないですか! 楽しんでますよね!」

 「指導を楽しんで何が悪い!」

 開き直って、どんどんと魔法をぶつけていく。
 魔装は魔法耐性もあるんだけど、そんなものは俺の火力の前では無意味だ。
 せめて、魔族並みの耐久力を持ってないとな。

 「ふぅ」

 稲葉さんとついでに回復役の竹中さんを魔法の乱射でしっかり仕留める。
 これで戦闘が終了と、能力を解除して一瞬気を抜いた時だった。

 「ぐえっ! いっ! 危ねぇ!」

 「嘘~!?」

 俺が最後に気を抜くのを待っていた桜が、ギリギリまで気配を消しつつ虎視眈々と狙っていたらしい。
 首に糸を巻きつけられ、縛りあげられそうになって慌てて反転を発動。
 流石に、首に糸を巻いた瞬間に勝ったと思ったのか、桜はかなり驚いていた。

 「いや、マジで今のはやばかった。油断しすぎたな」

 「おかしい~! おかしいよ~! 今のは絶対取ったと思ったのに~!」

 後少し反転の発動が遅かったら絞め上げられてただろうな。
 桜さんの糸の暗殺力半端ねぇっす。

 「いや、どっちかというと俺の負けか。あれが実戦なら絞めるんじゃなくて刎ねてただろうし」

 「いや~? 刎ねようとしたんだよ~? だんちょ~から蘇生薬は預かってるし~。もし死んでも大丈夫だと思って思いっ切りやったんだけど~。力を入れた瞬間に弾かれちゃった~」

 なんだ。一瞬絞められたから縛り上げるつもりだと思ったんだけど。
 俺の反転速度が早かっただけか。

 「いや、それでもよくギリギリまで我慢したな。稲葉さんの奇襲は防いだから、勝手にもう奇襲はないと勘違いしてたぜ」

 「む~。まあ~一矢は報いたって事で納得するよ~」

 俺も油断は禁物だと教えられたね。
 こっちの世界にきて天狗になりすぎてた。
 確かに魔物相手なら無双出来るだろうけど、対人戦は時に思いもよらない攻撃をしてくると、改めて理解させられたよ。

 これは依頼で受けた指導だけど、お互いに成果があったな。
 そんな事を思いながら、約一ヶ月の指導生活を終えた。
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