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第2章 日常の日々

第38話 ブートキャンプ

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 自家用ジェット高すぎ問題。
 どこで売ってるのかも分からないから、とりあえず調べてみるかと、スマホをぴこぴこしてると、新品を買おうと思ったら50億円以上もする。

 「なんちゃって成金が持ってる金額じゃないんだよなぁ」

 「狭間の素材を全部売ればそれぐらいにはなるんでしょ~?」

 「なるけども。維持費も年間で億超えるらしいし、ちょっと舐めすぎてた感はあるよね」

 プライベートジェットを持ってる人は本物のセレブなんだろうな。
 素直にチャーターの方が良い気がしてきた。

 「いや、いつか手に入れるけど。ちょっと今回はパスだな。ギルド員を雇ったりとまだまだ出費はあるし。気が向いたら狭間で荒稼ぎしよう」

 「目標が出来て良かったね~」

 とりあえず100億ぐらいは貯めたいね。
 もう何個か1級が発生してくれないかな。



 そして、それからも都内で遊び散らかしてから約2週間。
 今日は『暁の明星』の指導日である。

 「車も納車されたから、かなり移動が楽になったな」

 「早くスープラちゃんでかっ飛ばしたいよ~」

 しっかり1週間でレクサスが納車された。
 自分で運転しないといけないのは面倒だけど、それでも楽になったのは嬉しいな。
 桜は全く運転してくれないんだけど。
 飛ばせない車には興味がないらしい。

 「ってか、免許証はこっちに戻って来た時に与えられたけど、交通ルールとか全く知らないな」

 「事故とかやめてよね~」

 いや、ほんとノリで運転してる。
 いつかやらかしそうで怖いな。
 専属運転手とかも雇おうかね。




 「お待ちしておりました。本日はよろしくお願いします」

 「はーい。お願いしまーす」

 『暁の明星』のギルド事務所の地下にて。
 ここは訓練所も兼ねてるらしく、部外者に見られる事なく指導出来る。
 いや、俺は別に見られても良いんだけどね。
 一応、報酬も貰ってる訳ですし。なるべく見せない方が良いのかなと。

 で、指導するのは、前回の話し合いに居たリーダーの稲葉さんと安藤さん。
 後は氏家さんに、竹中さんと明智さんを加えた五人になる。

 「この五人がメイン攻略パーティーでして。とりあえず僕達を重点的に指導して頂ければなと」

 「了解しました。とりあえず皆さんの能力を聞いても?」

 因みに、安藤さん以外全員男だ。
 安藤さんもムキムキな男装麗人って感じなんだけどね。

 で、一応『暁の明星』の動画を見たりして、予習はしたからある程度能力の予想はつくんだけど。

 稲葉さんは『魔装』
 魔力の鎧を出して戦う主に近接主体のアタッカー。場合によってはタンクも出来る。

 安藤さんは『筋肉増強』
 正直、そうでしょうねとしか思えない。
 女性にしては筋肉つきすぎなんだよ。
 しかも、普通に筋トレするだけで能力が伸びていくからね。異世界にも何人か居て、ずっと筋トレしてたなって印象があるな。
 こちらも、アタッカー兼タンク。

 氏家さんは『呪歌』
 呪いの文字がある通り、歌で相手にデバフをかける。しかし、味方に使うとバフになるという、中々面白い能力。サポーターだな。
 ちょっと使ってみてもらったんだけど、野太い声で応援歌を歌われた。
 これ、女性が得るべき能力なのではと思ってしまいましたね。

 竹中さんは『癒しの導き手』
 触れた相手の怪我、体力等を回復してくれる。
 抱き締めると効率が良いらしい。
 勿論、遠慮させてもらったが。光魔法の回復よりは使い勝手が悪いけど、その分回復量は多いらしい。

 明智さんは『火炎魔法』
 火魔法の上位互換だな。このパーティで唯一の魔法アタッカー。火という事で火力も申し分ない。
 動画を見た感じでは、まだまだ魔力操作に難がありそうで伸び代はある。


 「こんな感じですね」

 「なるほど。ありがとうございます。バランスが良いですね」

 能力名を聞いて思った事は、なんでこれだけの能力持ちが揃ってて2級すら攻略出来ないんだって事だな。普通に1級でも勝てる筈だ。

 異世界でこの能力を持ったパーティーが、Bランクに勝てないとかあり得なかったし。
 初心者なら話は別だけど、結構長く活動してるにしては弱すぎる。
 安全マージン取りすぎ問題か。死にたくないのは当然だから仕方ないのかね。

 「じゃあ基本的な能力の使い方からやっていきましょうか」

 呪歌と癒しの導き手は初だけど、それ以外の能力は知っている。
 向こうでも割とメジャーな能力だったし。
 だから、向こうの上位陣がやってた練習法や能力の使い方を教えてあげれば良いだけだ。

 「呪歌と癒しの導き手はどうしようかね。教えようがないんだが」

 まぁ、とりあえず魔力操作だな。
 どれもこれも魔力を使うのには変わりないし。

 「ついでに、桜も特訓するか」

 「ういうい~」

 俺が言うまでもなく、糸を出して色々自分で試してたみたいだ。この指導の集大成として、狭間を攻略しに行くのも良いな。

 「ある程度、指導が終わったらひたすら模擬戦だな。死ぬ一歩手前まで追い込んでやろう」

 「うへ~。お手柔らかに~」

 大丈夫大丈夫。死んでから5分以内なら蘇生出来るから。天使さんを舐めてもらっては困るよ。
 異世界でも俺の指導は一部に評判が良かったんだ。どうしても強くなりたい人が行きつく最後の場所だって言われてました。
 効果は保証するけどね。それまでに人格を保てるかどうか。

 流石に現代でそこまでやるつもりはないけど。
 一歩手前ならセーフだろう。
 高いお金も貰ってる事だし、しっかり成果を実感してもらわないとね。
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