異世界帰りの憑依能力者 〜眷属ガチャを添えて〜

Jaja

文字の大きさ
上 下
23 / 152
第1章 異世界帰りの男

第21話 博多へ

しおりを挟む

 
 「博多到着ー」

 「大阪から新幹線で2時間半ぐらいで来れるんだね~。もっと時間が掛かると思ってたよ~」

 大阪観光を終えて、東京に戻らずにそのまま博多にやってきた。
 新幹線の中で京都に寄ってない事を思い出したな。まぁ、いつか行けばいいだろ。この博多を攻略したら当分遊び散らかす予定だし。

 「そして野次馬と。凄いな。駅で出待ちとかガチ勢かよ」

 「SNSで大阪から博多に直行~って告知したからだろうね~」

 着実に人気者になっている。良きかな。
 この調子で愛想良くファンを獲得して味方を獲得していきたい。

 適当に愛想笑いしながら手を振りつつ、歩いて辺りを散策する。
 今日は着いたばっかりだし、狭間の下見をして泊まる所を探すかな。
 この行き当たりばったりの旅行感。
 嫌いじゃないね。

 「あ~今日の夜に神戸の動画がアップされるみたいだよ~」

 「そういえば連絡があったな」

 大阪観光を楽しみ過ぎて、動画の事をすっかり忘れてた。思ったよりも時間かかったな。
 毎日毎日動画まだですかの催促が凄かったんだよ。大村さん死んでなければ良いけど。

 「博多駅から歩いて行ける距離に1級の狭間があるってやばいよな。邪魔だし、崩壊したら終わりだろ」

 「そのせいか~最近までは博多の土地がめっちゃ安くなってたんだよ~。だんちょ~が攻略してからまた値が上がったらしいけど~」

 強かですなぁ。そういう事を生業にしてる人は敏感なんだろう。多分、俺が初めて1級攻略した後すぐにこの辺の土地を買い占めたりしたんじゃない?
 先行投資ってやつ? しらんけど。

 「んんん? なんだこの狭間。でかいな。魔力もなんか感じが違うし」

 「1級より上って事~?」

 「それは分からん。どういう基準で等級決めてるのか知らないし。感覚的にはギリギリ1級の範疇って感じなんだけど」

 異世界基準でB級最上位ってとこかな。
 どんな魔物が出て来るか大体予想出来かも?

 「ワイバーンか、巨人種か。あ、ステージによっては違うから分からないかも」

 「ちょこっと中覗いてみる~?」

 「いや、いいや。S級が出てこようが勝てるし」

 「きゃ~かっこいい~」

 本当にそう思うならもっと心を込めて言ってくれませんかね? 半笑いで言われても嬉しくありませんよ?

 「なにせ、最低S級以上が出て来る魔の森で暮らしてたからな。俺からしたらちょっと歯応えのあるご飯って感じだ」

 魔王軍幹部級が出てきたら流石に真剣になるけどさ。流石にこっちに出てこないでしょ。
 出てきたら確実に滅ぶし、向こうの世界と繋がってるって話だからさ。
 向こうの厄介なのは全部仕留めたはず。
 新しく生まれてたら知らないが。

 「なんかフラグチックな事考えてな~い? やめてよね~」

 「大丈夫、口に出してないからフラグは成立しない」

 「ふ~ん? この狭間はあたしも戦おうと思ってたけど~やっぱりやめとこうかな~」

 「戦えばいいじゃん。桜も自分の限界を知っておくべきだよ。俺が居るから万が一はないんだし」

 撮影もしてやろう。俺だけ全世界に発信されてるのはよろしくない。
 一緒に恥ずかしい思いをしようじゃないか。
 桜の実力を知らない人ばっかりだし。ある程度力を見せておくのは悪い事じゃないんだよね。
 出る杭は叩かれるけど、出過ぎた杭は叩けないってね。

 「う~ん。入ってから考えるよ~。私はなんか嫌な予感するし~」

 「それ以上言うなよ。フラグになる」

 今のもギリギリだぞ? 作品によってはアウトラインだ。面倒はごめんなんだから、楽に攻略させてくれ。

 「よーし、じゃあ泊まる所探すかな。その前に晩飯か?」

 「牛丼にしよ~よ~。博多の吉野さんの味を確認しておかないと~」

 「流石にチェーン店はどこも一緒だろ」

 なんだよ、博多の吉野さんって。
 一緒に決まってるだろ。え? 一緒だよね?


 「美味しかったね~」

 結局野次馬に吉野さんの場所を聞いて行ってきた。俺からすると一緒だったんだけど、桜さんは満足らしい。

 「今のうちにモツの美味しい所調べておくか。攻略後に気持ち良く食べたい」

 そんなこんな言いながら、今日の泊まる所に到着。まぁ、ラブホなんだけど。
 ラブホって下手な高級ホテルより居心地が良いんだよね。値段はそれ相応に高いけど。

 「あ~動画が出てるよ~」

 「吉野さんでみんながスマホ見ながらこっちをチラチラ見てたのはそのせいか」

 もっと接触してくるかと思ってたんだけど、大阪と比べて遥かに歩きやすかった。
 博多は不良だらけって偏見があったんだけど、普通に民度が高くて驚いたね。

 「動画ながっ。あ、最初にインタビューを差し込んでるのか」

 「うわ~。胡散臭い顔~」

 ソファに座りながら見てると、桜が膝の上に転がってきて揶揄ってくる。
 民衆受けしそうな顔と言ってくれ。

 「プロの編集って凄いな。いや、大村さんの能力が凄いのかな?」

 「あたし達のギルドに専属撮影員として欲しいぐらいだよ~」

 「引き抜くか? 協会になんか言われそうだけど」

 なるほど。こういう人材もギルドに居たら広報として役に立つのか。
 やっぱり能力って面白いなぁ。

 「攻略が終わったらスカウトについて本格的に考えるか。事務員とかも能力持ちの方が有能だろうし。その分お金は掛かるだろうが」

 「その前に事務所を改装しないと~。それが無いと事務員なんて居ても意味ないでしょ~」

 あ、それもあったか。
 朝倉さんが紹介してくれるらしいから、それ待ちだったんだけど。
 
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん) いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ? 王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。 だけど、夢にみた迄の異世界… 慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。 自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 現在書籍化されている… 「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」 の100年前の物語です。 リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。 そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。 その作品の【改訂版】です。 全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。 今回のHOTランキングでは最高5位かな? 応援有り難う御座います。

無限の成長 ~虐げられし少年、貴族を蹴散らし頂点へ~

りおまる
ファンタジー
主人公アレクシスは、異世界の中でも最も冷酷な貴族社会で生まれた平民の少年。幼少の頃から、力なき者は搾取される世界で虐げられ、貴族たちにとっては単なる「道具」として扱われていた。ある日、彼は突如として『無限成長』という異世界最強のスキルに目覚める。このスキルは、どんなことにも限界なく成長できる能力であり、戦闘、魔法、知識、そして社会的な地位ですらも無限に高めることが可能だった。 貴族に抑圧され、常に見下されていたアレクシスは、この力を使って社会の底辺から抜け出し、支配層である貴族たちを打ち破ることを決意する。そして、無限の成長力で貴族たちを次々と出し抜き、復讐と成り上がりの道を歩む。やがて彼は、貴族社会の頂点に立つ。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。

もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです! そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、 精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です! 更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります! 主人公の種族が変わったもしります。 他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。 面白さや文章の良さに等について気になる方は 第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。

処理中です...