異世界帰りの憑依能力者 〜眷属ガチャを添えて〜

Jaja

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第1章 異世界帰りの男

第3話 帰還

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 「他に聞きたい事はありますか?」

 「俺がこっちに転移してから、地球はどれだけ時間が経ってるんだ?」

 「時間の流れが違いますからね。まだ100年も経ってないぐらいです」

 思ったより経ってないか。
 前との違いに困る事は無さそうか。
 記憶なんてほとんどないから、意味ないけども。

 「俺の戸籍とかどうなってんだ?」

 「その辺りはお姉様が準備してくれますよ。住居も提供があるみたいなので、向こうに行ってもすぐには生活に困らない筈です」

 うーん、特にないなぁ。
 色々と情報は欲しいけど、向こうに行った方が集められるだろうし。

 「向こうに行ったら、こっちにはもう戻って来れないのか? それなら色々と断捨離しないと行けないんだが」

 「いえ、戻れるように調整しますよ。こちらの世界がまた危機に陥ったらあなたを呼ぶ気ですので。あのログハウスもこちらで保護しておきます」

 この姉妹俺を便利使いしすぎじゃないですかね。
 それを了承してる俺も馬鹿なんだけどさ。
 まぁ、なんだかんだ、こっちの世界に愛着もあるし戻って来れる様にしてくれるのは嬉しいんだけどさ。

 「そんなもんかな。じゃあ、ちゃちゃっと向こうに飛ばしてくれ」

 「あら? ご褒美はいらないんですか?」

 「すみません。いります」

 あぶねぇあぶねぇ。
 まさかこの俺がご褒美を忘れるとは。
 内心では地球に戻れるのを楽しみにしてたのかもしれんな。

 「ふふっ。ではこちらへ」

 女神が手を振ると、何もない真っ白な空間に特大のベッドが出て来た。
 以前、膝枕や耳掃除してもらった時も出してたので、驚く事はない。

 しかし、これは期待しても良いんだろうね?
 もう、俺の聖剣はエクスカリバー寸前よ?

 「では、遅くなりましたが、魔王討伐お疲れ様でした。向こうの世界でも頑張って下さいね?」

 「アッー」


 そこからの展開は想像にお任せするが、長く生きてきた中でも最高の体験だったと言っておこう。
 こんな経験二度と出来ないんじゃないかというレベルでした。




 「んんんっ」

 目を覚ますと、広い部屋の一室だった。
 あれから女神に別れを告げ、こちらに送ると言われて眠りについたんだが、無事送って貰えたらしい。

 「地球の女神さんに会ったりはしないんだな。楽しみにしてたんだが」

 性悪とはいえ美人な女神だったからな。
 その姉ともなればどれほどかと思ってたんだが。
 とても残念です。
 ご褒美を提示してくれたら、やる気になったりするのにな。
 その点、あの性悪女神は俺の動かし方というのが良く分かってる奴だった。

 「さてさて、ここはどこだろうかね」

 ベッドから降りて、周りを見渡す。
 キングサイズのベッドにテレビもあるな。
 それでいて、まだ広いと感じるって事はこの部屋はかなり広い部屋か。

 窓に近づくと、高い所からの景色だった。
 どうやら、高層マンションらしい。

 「って事はこのマンションの一室が俺の住居って事かね。中々良い所を用意してくれたもんだ」

 ダラダラ生活が捗るな。
 現代って事は配送業も発達してるだろうし、マジで家から出なくても済むかもしれん。

 寝室から出て、部屋を探索する。
 何もない部屋が四つとリビングにキッチン、どでかい風呂にトイレと。
 かなり高級マンションなんじゃないの、これ。
 5LDKってやつ? 知らんけど。

 「家賃稼がないとダメじゃんか。いくらぐらいするんだろう」

 リビングの机の上には、かなりの量の書類が置いてある。
 それに、免許証やパスポートに保険証。
 銀行の通帳やクレジットカードもある。
 あ! スマホも置いてあるじゃん!!

 「一、十、百……え、一億あるじゃん。当分働かなくてよくね?」

 通帳を見ると一億円が入っていた。
 神様太っ腹すぎるでしょ。
 そんなに俺を厚遇して、何をやらせたいのか。
 それとも、性悪女神に聞いた話より状況が悪いのかも。

 「あの書類の山を見て判断するしかないか。めんどくせーな」

 書類用意するぐらいなら、会って説明してくれたら良かったのに。
 俺に会いたくないのかね。
 餌を用意してくれたら、余程無茶な事じゃない限りワンと鳴く忠犬だよ?




 「うーん、なるほど」

 俺は冷蔵庫の中にあったビールを飲みながら、リビングで書類を読んで思わず唸る。

 「次元の狭間とやらは、早く対処しないと、崩壊するのか」

 次元の狭間の大きさ、まぁ、等級によって時間は様々だが10級っていう、一番小さい狭間でも1ヶ月以内に攻略しないと、崩壊して魔物が溢れてくるらしい。

 「狭間は屋外ならどこにでも現れるのか。そりゃ、対応も厳しいだろうな」

 狭間の等級をある程度計る道具は作れたそうだが、狭間を即座に発見出来る道具はまだらしい。
 森の中とかに発生されると、後手に回るだろうな。
 そんな道具発明したらウハウハだろう。
 気が向いたら考えてみるか。

 「対応が早かったのは日本か。意外だな。腰が重そうなイメージしかないのに」

 次元の狭間が出来て、約1年で探索者組合とかいうのを政府主導で作って、民間にも能力発現者の加入を呼びかけたらしい。
 そこから、能力者を集めた学校等を創設したりと、まるでラノベの世界みたいになっている。

 「いや、そういう小説を本当に参考にしたのかもしれんな。案外ありえそうだ」

 そして、これがある程度成功したのを見て、他の主要国も続々と真似をした。
 そして、世界探索者組合という世界の探索者を管轄する組織も誕生して、日本もこれに組み込まれた。
 日本が国連にお願いして作ってもらったらしいが。
 どうせ、各国から色んな圧力がかかって対処しきれなくなったんだろうけど。

 そこから、世界基準の等級決めや、探索者のランクなど。
 色々な決まり事が毎年の様に出てくるらしいが、概ね問題なく運営出来てるらしい。

 「でも、これって…。組合が決めてる等級。基準おかしくない? 向こうでBランクだったのが、こっちの世界では1級だよ? 本当に大丈夫なの、これ」

 モンスターの等級は10級が一番下で1級が上だ。
 資料を見た感じ、オーガとかが最強と言われてるのは違和感しかない。
 探索者の等級も一緒で1級より上に特級があるらしいけど。
 これはまだ世界に2人しかいない。

 「こっちでドラゴンとかは出て来てないのかね。出て来たら滅びそうだな」

 その特級とやらもどれだけ強いのやら。
 20年前に、1級の狭間が崩壊して溢れた時に活躍したらしいけど。
 それに苦戦してるようじゃ期待出来ないよね。

 「まっ、その為に俺が帰って来たって事だし、とりあえずはゆっくりさせてもらおうかね」

 あ、能力増えてるんだった。
 それも確認しないと。

 
 
 

 
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