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第四章 大学受験
第71話 先生達の戦い
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テスト1週間前。
千葉高校の職員室は戦場の様な雰囲気を醸し出していた。
元々この時期は担当教科の先生がテストを作り、忙しくはあったが、ここまで張り詰めた雰囲気ではなかった。
しかし、少し前からテスト前になると教師陣が目の色を変えてテストを作るようになったのだ。
「数学先生。どうですか?」
「難しいですね…。どうしてもあの二人を仕留めれる問題が作れないです…」
「仕留めるは物騒ですよ」
数学先生に声を掛けた英語先生は苦笑いする。
そう。谷圭太と中村梓。
この二人は千葉高校始まって以来の天才である。
容姿端麗文武両道と、神様に愛されたような存在である二人。いつも成績が良かったが、ある時から定期テストがずっと100点なのだ。
最初は先生達の間でも凄いですねなんて、話し合ってたものだが、それがいつしかどうにかして、あの二人に100点を取らせないようにする先生達の挑戦に変わっていたのだ。
しかし、これが中々難しい。
範囲外の問題を出す訳にはいかないし、難しくし過ぎて他の生徒に影響が出てもダメ。
良い塩梅に配慮しつつ、あの二人の牙城を崩す。
先生達は一致団結して、それがいつか目標になっていた。果たしてどの教科を最初に落とすのかと。
「戻りましたー」
「おお。古典先生。どうでしたか?」
「はい。今日も勉強になりましたー」
うんうんと問題を考えていると、古典先生が職員室に戻ってきた。古典先生はテストが近くなると図書室で開かれる勉強会に敵情視察に行っていたのだ。それがいつしか、先生達も教わる側に回ってしまっているが。
「あの二人は教えるのも上手なんですよねぇ」
「あれで自分の容姿や成績を鼻に掛ける様な性格をしてたら、まだ可愛げがあったんですが。隙が無さすぎる」
あの二人が一年の頃からやってるテスト前の勉強会。評判が評判を呼び、その勉強会のお陰で学年全体の学力が上がっている程だ。
人に教えながらきっちりと自分達も結果を出す。
先生一同は心の底から感心していた。
しかしそれはそれ。これはこれ。
「あの二人の悔しがる顔が見たいですねぇ」
「ですなぁ」
☆★☆★☆★
ゴルシワープを生で見て満足し、天皇賞でオルフェはやっぱり負けたなぁなんて思い。
なんやかんやでテスト一週間前。
いつもの様に勉強会をしている。
今年が勝負の年って事でみんな気合いが入ってるのが分かりますな。
「俺達もそろそろ模試の申し込みをしないとな」
「ダジャレかしら?」
たまたまです。
「何個ぐらい受けるのが普通なんだろうな?」
「とりあえず記述式とマーク式の両方は受けておいた方が良いわよね。駿台は学校からおすすめもされてるし、これも」
ふむ。まぁ、とりあえず有名な河合塾と駿台のを受けてれば問題ないか?
後は先生と相談しつつだな。
「調べても模試も色々あるんだなぁ」
「東大模試を片っ端から受けても良いと思うけどね。雰囲気さえ掴めれば後はなんとかなると思うのよ」
それな。なんたって学力100大先生がついてるし、俺達も毎日それなりに勉強してる。
勿論、ズル無しで勉強してる人達の時間には到底及ばないだろうが。
「忙しくなる事を想定して、時間がある時に収録とかしないとなぁ」
「そうね。ここさえ乗り切れば後は大丈夫よ」
「谷君ー。ここ教えてー」
「はいはーい」
梓とコソコソと話してたんだけど、お呼びが掛かってしまった。
今は目の前のテストに集中しますかね。
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