60 / 85
第四章 大学受験
第55話 文化祭
しおりを挟む「かはっ!」
「圧倒的顔面美…っ」
「おっと、失礼。鼻血が」
文化祭は二日に分けて行われる。
一日目は生徒だけ、二日目は外からの招待客を入れて。
そして今日は一日目である。
「ふむ。思ったよりもスースーするな」
「は、恥ずかしいよ…」
梓にメイクしてもらい、メイド服を着る。
そして、俺と曽川君が教室に姿を見せると、案の定クラスメイト達の脳を破壊した。
今日で何人の性癖を歪ませてしまうのか。今から楽しみで仕方ない。
「きゃーっ! 中村さんカッコいい!」
「あんなに執事服が似合う女性は中村さん以外ありえないわ…」
ほどなくして、梓も登場。
普通にカッコいい。宝塚みたいだ。
早速女子が集まってキャッキャと写真を撮っている。俺達男子組も集まって写真を撮ってるが、流石にあそこまでの熱量ではない。
「よーし! 優秀賞目指して頑張るぞー!」
「「「おー!」」」
「萌え萌えキュン!」
「あ、ありがとうございます」
「うぅ…。美味しくな~れ♪」
「かはっ!」
文化祭が始まった。
客入りはかなり上々。
俺より曽川君の方が人気なのが悔しい。
恥じらい。恥じらいが重要なのか。
「こちら、アイスコーヒーでございます」
梓の方も大人気。他クラスの女が大量に押し寄せてきてる。チヤホヤされてる。羨ましい。
俺だってちゃんとやってるのにさ。
「谷のはあれだ。『こうすれば男は喜ぶんでしょ』ってのが滲み出てるんだ。曽川のはそうじゃない。その差が出てるんだろうな」
他クラスの男に的確なアドバイスを頂いた。
なるほど。
確かにそういう感じでやってたのは間違いじゃない。俺がやってもらったら嬉しいだろうなってのを、正確にトレースしてやってみたんだけど。
それが逆に良くなかったか。接客業って難しいんだな。
「接客としては間違ってないんじゃないかしら? ただ文化祭は、そういうのを求めてる訳じゃないと思うのよ」
「難しい。俺に働くのは向いてない」
俺達の当番が終わったので、今は自由時間。
男装女装の格好で校内の他のクラスの出し物を見て回る。行く先々で写真を求められて、それに応じてるお陰か、図らずも我がクラスの広告塔の様な働きをしている。
「ストラックアウトだって。パーフェクトで文化祭中に使えるお食事券をゲット出来るみたいだ。やっていこうぜ」
「運動能力60の力を見せてやりましょう」
ズルくてすまんな。
別にお金に困ってる訳じゃないけど、何故かタダ券とかそういうのに惹かれるんだ。
人間、どれだけお金を持ってても無料という言葉に弱い。タダほど怖いもんはないって良く言うけどね。
「梓! あっちのフリースローもタダ券があるぞ!」
「圭太! ストラックアウトのサッカー版もあるわ!」
俺と梓は両者共にチャレンジをして、無事パーフェクトを達成。
2.3球無駄にして9球でのパーフェクトとはならなかったけど、それでも運動能力60は偉大だ。
いずれ100にしたいけど、後回し予定だからなぁ。顔出し配信者になったら、使い道はいくらでもあるんだけど。
その後も、お食事券がもらえる出し物を荒らし回って文化祭の一日目が終了した。
この券は明日文化祭に来る予定の母さんやまさるにあげよう。
なんだかんだまさるに会うのは久々だ。向こうの高校の友達数人と来てくれるらしい。
「谷君は羞恥心とかないの?」
「普通にありますけど?」
俺が当たり前のように、女装した格好で校内を練り歩く姿を見て、曽川君には呆れた目で見られた。
でも、一々メイク落として、着替えてなんてしてたら時間が勿体無い。
楽しそうな出し物がいっぱいあるし、時間を無駄にしないようにしたかっただけだ。
だから、俺がこういう格好をするのが好きな人間みたいな勘違いはしないでね。
俺の性癖は至ってノーマル。梓大好き人間です。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説



ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

赤毛の行商人
ひぐらしゆうき
大衆娯楽
赤茶の髪をした散切り頭、珍品を集めて回る行商人カミノマ。かつて父の持ち帰った幻の一品「虚空の器」を求めて国中を巡り回る。
現実とは少し異なる19世紀末の日本を舞台とした冒険物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる