俗物夫婦回帰転生

Jaja

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第四章 大学受験

第55話 文化祭

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 「かはっ!」

 「圧倒的顔面美…っ」

 「おっと、失礼。鼻血が」

 文化祭は二日に分けて行われる。
 一日目は生徒だけ、二日目は外からの招待客を入れて。
 そして今日は一日目である。

 「ふむ。思ったよりもスースーするな」

 「は、恥ずかしいよ…」

 梓にメイクしてもらい、メイド服を着る。
 そして、俺と曽川君が教室に姿を見せると、案の定クラスメイト達の脳を破壊した。
 今日で何人の性癖を歪ませてしまうのか。今から楽しみで仕方ない。

 「きゃーっ! 中村さんカッコいい!」

 「あんなに執事服が似合う女性は中村さん以外ありえないわ…」

 ほどなくして、梓も登場。
 普通にカッコいい。宝塚みたいだ。
 早速女子が集まってキャッキャと写真を撮っている。俺達男子組も集まって写真を撮ってるが、流石にあそこまでの熱量ではない。

 「よーし! 優秀賞目指して頑張るぞー!」

 「「「おー!」」」




 「萌え萌えキュン!」

 「あ、ありがとうございます」

 「うぅ…。美味しくな~れ♪」

 「かはっ!」

 文化祭が始まった。
 客入りはかなり上々。
 俺より曽川君の方が人気なのが悔しい。
 恥じらい。恥じらいが重要なのか。

 「こちら、アイスコーヒーでございます」

 梓の方も大人気。他クラスの女が大量に押し寄せてきてる。チヤホヤされてる。羨ましい。
 俺だってちゃんとやってるのにさ。

 「谷のはあれだ。『こうすれば男は喜ぶんでしょ』ってのが滲み出てるんだ。曽川のはそうじゃない。その差が出てるんだろうな」

 他クラスの男に的確なアドバイスを頂いた。
 なるほど。
 確かにそういう感じでやってたのは間違いじゃない。俺がやってもらったら嬉しいだろうなってのを、正確にトレースしてやってみたんだけど。
 それが逆に良くなかったか。接客業って難しいんだな。



 「接客としては間違ってないんじゃないかしら? ただ文化祭は、そういうのを求めてる訳じゃないと思うのよ」

 「難しい。俺に働くのは向いてない」

 俺達の当番が終わったので、今は自由時間。
 男装女装の格好で校内の他のクラスの出し物を見て回る。行く先々で写真を求められて、それに応じてるお陰か、図らずも我がクラスの広告塔の様な働きをしている。

 「ストラックアウトだって。パーフェクトで文化祭中に使えるお食事券をゲット出来るみたいだ。やっていこうぜ」

 「運動能力60の力を見せてやりましょう」

 ズルくてすまんな。
 別にお金に困ってる訳じゃないけど、何故かタダ券とかそういうのに惹かれるんだ。
 人間、どれだけお金を持ってても無料という言葉に弱い。タダほど怖いもんはないって良く言うけどね。


 「梓! あっちのフリースローもタダ券があるぞ!」

 「圭太! ストラックアウトのサッカー版もあるわ!」

 俺と梓は両者共にチャレンジをして、無事パーフェクトを達成。
 2.3球無駄にして9球でのパーフェクトとはならなかったけど、それでも運動能力60は偉大だ。
 いずれ100にしたいけど、後回し予定だからなぁ。顔出し配信者になったら、使い道はいくらでもあるんだけど。

 その後も、お食事券がもらえる出し物を荒らし回って文化祭の一日目が終了した。
 この券は明日文化祭に来る予定の母さんやまさるにあげよう。
 なんだかんだまさるに会うのは久々だ。向こうの高校の友達数人と来てくれるらしい。

 「谷君は羞恥心とかないの?」

 「普通にありますけど?」

 俺が当たり前のように、女装した格好で校内を練り歩く姿を見て、曽川君には呆れた目で見られた。
 でも、一々メイク落として、着替えてなんてしてたら時間が勿体無い。
 楽しそうな出し物がいっぱいあるし、時間を無駄にしないようにしたかっただけだ。

 だから、俺がこういう格好をするのが好きな人間みたいな勘違いはしないでね。
 俺の性癖は至ってノーマル。梓大好き人間です。

 
 
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