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第四章 大学受験
第54話 二学期の開始
しおりを挟む「それにしても谷君ってお金持ちだったんだね。お父さんが総額17億円ぐらいになるって言ってたよ?」
「株取り引きが上手い事いってな」
どうも皆さん。
二学期が始まりました。
一学期とは打って変わって、本格的に受験ムードになってきました。三年生になってから焦るんじゃなくて、今から準備するのは進学校らしいのだろうか。それともみんな一年生から準備してたけど、俺が鈍感で気付いてなかっただけ?
まぁ、とにかく勉強しないとねって話だ。
で、曽川君がコソコソっと俺に家のお値段について話してきた。
この前見積もりが出たらしくて、土地代込みでそれぐらいになりそうなんだよね。俺の見立てでは夏ぐらいには貯まると思ってる。
曽川君もまさか俺がそんなお金持ちだとは思ってなかったみたいだ。
株取り引きで稼いでるぜヒーハーとか言い回ってないしな。お金を持ってると思われると普通に面倒事が増えるのだ。だから曽川君にもお口チャックをお願いする。
「曽川君は大学はどこに行くの?」
「うーん…。出来れば都内に行きたいと思ってるんだけど成績がね…」
「それなりのとこなら目指せそうだけど」
曽川君はテスト前恒例の勉強会に毎回出席してるので、成績は学年で上の方だ。
一年の初めの方は平均点よりちょっと上程度だったのに、メキメキと学力を伸ばしている。
「谷君は?」
「東大」
「そうだよね」
分かってたみたいな顔をして苦笑いする曽川君。
「曽川君はお父さんの会社を継ぐの?」
「うーん、どうだろう。お父さんはそうして欲しそうなんだけどね。まだ迷ってる」
「やりたい事があるとか?」
「ないんだよねぇ。でもなあなあで継ぐのは違うかなと思って。大学でやりたい事が見つかると良いなぁ」
まぁ、普通そんなもんだよね。
この時期にやりたい事がある人の方が珍しいと思うんだ。俺達みたいにチヤホヤされる為に邁進してる人なんて滅多に居ないだろう。
「新田君は警察官を目指してるみたいだよ」
「確かお父さんがそれなりにお偉いさんなんだよな」
新田とはチャラ男の事である。
見た目はDQNなのに、成績も良いのである。
人は見た目じゃないって事よ。女癖は悪そうであるが。やっぱり見た目通りか。
新田が将来お偉いさんになってくれたらコネが出来るなぁ。警察様にコネがあるとすんごく役立ちそう。お世話になるつもりはないけど、有名になると面倒事は増えるからね。
是非是非俺達の為に頑張ってもらいたい。まぁ、それを抜きにきても仲良くするんだが。
「じゃあうちのクラスの出し物は男装女装カフェに決定でーす」
パチパチパチと教室内に拍手が鳴り響く。
二学期が始まって少し。さっきまで、十月にある文化祭の出し物の投票が行われていた。
ロシアンたこ焼きやら色々候補があったが、圧倒的票数で男装女装カフェに決まった。
「これで谷君の女装が見れるわ」
「曽川君も負けてないわよ」
「中村さんのかっこいい姿が今から楽しみよ」
これである。
これを見たいが為にクラスで結託して、この票数になったのだ。俺はお化け屋敷とかしたかったんだが。
「なんか寒気が…」
「僕もだよ」
女子の目線が怖い。そんなに見なくても頼まれれば普通に女装ぐらいやるのに。
チヤホヤされそうだし。しかし…。
「曽川君の破壊力は凄そうだな」
「圭太も美人女子みたいになるんじゃないかしら? 私がメイクしてあげるわよ」
曽川君は何人かの性癖をぶっ壊す可能性がある。
もちろん俺も課金容姿だから自信はあるけど。
俺、梓、曽川君のスリートップで売り上げ一位を目指して頑張ろう。
「文化祭やってすぐに中間テストって忙しないよな。もっと日程調整頑張ってくれよ。純粋に文化祭を楽しめないじゃん」
行事予定表を見てたら、文化祭が終わった日からテスト一週間前って感じなんだよね。
余韻を楽しむ暇もなく勉強をしないといけない。
「で、テストが終わったら日帰り京都の旅と」
「私は遠慮するけどね」
菊花賞をどうしても生で見たい。
三冠馬なんて滅多に見れるもんじゃないし。
梓は悩んでたけど、今回は行かない事になった。
おっちゃんと男二人で向かう予定だ。ばっちり金色の暴君の勇姿を見させてもらう。
「菊花賞から帰ってくると、少しはゆっくり出来るな」
「11月は球技大会だけだものね」
それにしても、なんかあっという間に時が過ぎていくな。高校生活が滅茶苦茶短く感じる。
それだけ楽しんでるって事なんだろうけどさ。
三年はもっと早いだろう。悔いのないように楽しみ尽くさないとな。
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