俗物夫婦回帰転生

Jaja

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第三章 高校入学

第35話 収録

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 さてさて。やって来ました。
 レンタルスタジオ。

 「素人がどこまで出来るか。スキルの力があるとはいえ、こればっかりは未知数だなぁ」

 「一応調べられる限りで調べたり、楽器屋さんのお爺さんにも聞いてみたけどね。初めての事だもの。納得がいくまで何度も録りなおしましょう」

 いよいよ動画投稿の為の歌の収録。
 昨日はソワソワして中々寝れなかった。
 いつもなら布団に入ったら10分掛からず寝れるのに、昨日30分ぐらい掛かったからな。

 「今更だけど楽器の演奏まで自分達でやるのはやり過ぎたかな」

 「仕方ないわ。私達はツテもないんだし。いつかは有名所に依頼するのもいいかもね」

 はてさてどうなることやら。
 すんなり終わってくれれば良いけど。
 スキルさん投資分はしっかりお願いしますよ。


 俺達は二人でやる以上、一発録りが出来ない。
 各パート毎に別々で録り重ねていくダビングで録るしかない。
 チャンネルをいくつかに分けてマルチで録音していく。

 「まずは一番面倒なドラムからだよな」

 「そうね。ドラムはマイクを立てる数も多いし。調べた所によると、立てる場所も考えないといけないそうよ」

 「何回かやってみて工夫するしかないか」

 って事で早速実演。
 今回ドラムの担当は俺なので早速ダンダカと叩いていく。
 回帰まで触った事すら無かったのに、スキルのお陰で一端のドラマー気分で叩ける。

 「ちょっと圭太。良い気分になってるでしょ。途中から若干リズムが早くなってるわ」

 「マジ? 確かに気持ちよくやってたけど。自分ではリズムを崩してないはずなんだけどなぁ」

 って事で録り直し。
 そして無事二回目で完了。

 「なんか思ったよりもすんなり? もっと時間が掛かると思ってた」

 「スキルのお陰ね。普通は何回も録り直すみたいだし」

 後は正直簡単だ。
 録ったドラムの音源に合わせて、他の楽器を録っていくだけ。
 ギターとベースは梓が担当して、ヘッドフォンをしながら楽しそうに弾いていく。

 今回の歌は初めての動画投稿って事で、それなりにインパクトがある歌にしようと思っている。
 現時点での俺達のスキル力を全て注ぎ込む勢いで真剣に、納得のいくまで何度も録る。

 「なんか出来てきたーって感じだな」

 「そうね。スキルには感謝しかないわ。普通の歌手やバンドの人はもっと時間が掛かってるんだろうし」

 いやまぁ、ステータスボードがなけりゃ、こんな事しようとも思わなかったし…。
 スキルで楽が出来るってなったからさ。努力しないといけないなら願い下げだよ。
 俺達は出来るだけ楽をしてチヤホヤされたいんだから。

 それからも各楽器を演奏しいよいよ最後は歌。
 普通では多分ありえないんだろうけど、一日で全てが完成しようとしている。
 いや、中学の頃から色々準備はしてたけども。まだアニメーション作りもあるしね。


 「~~~♪ ~~♪ ~~~♪」

 やっぱり歌うのが一番楽しいな。
 楽器の演奏も楽しかったけど、なんていうか爽快感が全然違う。
 最初はチヤホヤされる為に歌を選択したけど、今はその選択をして良かったと思ってる。

 そして夕方。
 とうとう全行程が終了。
 俺達の待望のデビュー曲とでも言える記念すべき楽曲が出来上がった。

 「感慨深いなぁ。まさか俺達がこんな風に歌を作る事になるなんて」

 「回帰前では想像もしなかったわね。あの頃もあれはあれで楽しかったけど。今の方が充実してるって感じはするわ」

 だよなぁ。
 俺も最近は毎日が楽しい。高校生活も日常生活も。まぁ、お金があってステータスボードで好き放題出来るってのも大きいんだろうけど。
 母さん達が生きてるってのも大きいかな。

 「ささっ。後は帰ってアニメーション作りだな。絵コンテは完成してるから、後は流れに合わせて原画を作っていこう」

 「そうね。ここまで来たら後少しだわ。ラストスパートよ」

 最近は絵を描くのも楽しくなってきてるんだよね。将来アニメーション会社とか作っちゃおうかなぁ。ほら、原作は良いのにアニメが残念だった作品とか結構あるじゃん。そういうのを救いたい。
 一サブカル好きとしての願望です。

 「いや、そういうのは流石に無理かな。TV局とかのコネとかもいりそう。面倒になるのは目に見えてるか」

 手を広げすぎて忙しくなるのは勘弁。
 将来的にはもっと多忙になる予定だしね。
 残念だけど諦めるか。現存するアニメーション会社に投資する形でならなんとかなるかも。
 少しでも良い作品を世に送り出して欲しいもんです。

 アニメーションで思い出したけど、2019年に京アニを放火するっていう頭のおかしい事件があったな。あれは衝撃的だったから日にちまで覚えてる。
 回帰した情報がそのまま有効なのは競馬やその他事象で分かってるし、なんとか未然に阻止出来ないもんか。

 俺達が2019年までに色々やって歴史が変わるかもしれないけど。もしかしたら事件すら起こらないかもしれない。
 犯人の容姿までしっかりと覚えてるし、最悪の場合を想定して日付が近くなったら見張っておくのもありかもしれんな。
 怪しい行動したら即警察に連絡したら良いんだしさ。

 救える事が出来るならそれは良い事だと思う。
 全部の殺人事件を覚えてるわけじゃないから偽善にしかならないけど。
 やらない善よりやる偽善。
 これは名言だと思いますね、はい。
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