俗物夫婦回帰転生

Jaja

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第二章 高校受験

第22話 有馬記念

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 「やってやったな」

 「どこか間違うかと思ったけど…。嬉しいわね」

 12月の中旬。
 期末テストが返ってきた。
 期末テストは副教科もあるので、全部で九教科あったんだが、なんと全て100点。
 それでも先生達に疑われる事はなかった。
 一年かけて信頼を積み上げてきた結果だな。

 「ふははは! 受験に向けて死角無しだな!」

 「年が明けたら私立受験があるものね。いよいよ中学生活も大詰めだわ」

 後三ヶ月ぐらいだもんなぁ。
 普通に楽しんじゃったぜ。
 回帰前は40間近だったのに、なんだか精神まで若返ってる様な気がする。
 別に悪い事じゃないからいいけどさ。

 「年末にはドキドキの宝くじの当選発表があるし。1000万でいいから当たってほしいぜ」

 「1000万って大金なんだけどね。感覚が麻痺してしまってるわ」

 ほぼ毎週のように稼いできてますからなぁ。
 でも表沙汰に出来ないお金ですし。
 今回の宝くじは税金も掛からない幸せなお金。
 なんとか当てて株を始めたいところだ。


 冬休みに突入した。
 母さんに期末テストの結果を見せてドヤ顔したり、クリスマスは梓とデートしたり。
 横浜に行って来たんだけど、普通に楽しかった。
 回帰前は結構足を運んでた場所だけど、中学生でも充分楽しかったです。

 「そしてやって来ました。中山競馬場」

 やっぱり一年の締めくくりはこれでしょう。
 有馬記念。ウマカスはこれをやらないと年は越せませんぜ。

 今年の途中から競馬を始めて、現地で見れるのは大体見て来たけど。
 今年一番感動したレースはマイルCSのカンパニ○かなぁ。
 現地で見れてないけどさ。
 他の馬が余生を満喫してる中で8歳で全盛期と言っても過言ではない勝利。
 天皇賞秋では○オッカにも勝ってるし。
 素直に凄いと思いましたね、はい。

 「結果が分かってるとはいえ、生で見るG1は格別だよな」

 立ち食いうどんを啜りながら新聞を読み込む。
 後30分でレースは始まるけど、もう馬券は買ってあるからね。
 ゆっくり出来るもんさ。場所取りもしたかったんだけど、流石に開場からずっと居座ってる方々には勝てん。遠目からの観戦で我慢します。

 「ブエナビス○。信じていいよな? 単勝100万ぶっこむぞ? これ、外れたら首を括らなきゃならん」

 隣でうどんを食べてるおっさんがぶつぶつと独り言を言ってるんだけど。
 いや、独り言を言ってる人はいっぱいいるからそれは良いとしてだよ。
 言ってる事が物騒なんだよね。ブエナビス○が来なきゃ首括るって。これだからウマカスは。

 結果から言うとブエナビ○タは二着だ。
 この人、大丈夫なんだろうか。

 「おっちゃん。ブエナ○スタは二着だよ」

 「ああん?」

 ひえっ。ついつい声を掛けてしまった。
 そんな血走った目で見ないで下さい。
 だって隣で首を括るとか言われちゃうと…。

 「ブエ○ビスタは二着だって」

 「坊主に何が分かるってんだ」

 俺が40歳になるまでのG1の結果です。
 なんならスキルのお陰で一生苦労しないかも。

 「信じるか信じないかはどうでも良いけど、一着はドリームジャーニ○だよ」

 「………」

 まぁ、信じられるわけないわな。
 俺が逆の立場なら信じないし。
 100万なんて大金をぶっこもうとしてるんだ。
 一番人気に縋りたい気持ちも分かる。

 「ご馳走様でした」

 結局その後はおっさんは言葉を発しなかったけど。はてさて。どうなるんだろうな。
 俺は気にせず観戦させてもらいますよ。



 うぇーい。
 池○騎手。有馬記念初制覇おめー。
 ブ○ナビスタはもう一粘り足りませんでしたな。
 うむうむ。今日もきっちり1000万台を稼いでフィニッシュだな。梓と山分けしても残金が4500万。
 スキルを何個か上げたり覚えたりも出来そうだ。
 さーて。換金しに行こーっと。


 「坊主!!!」

 「ぴゃっ」

 いそいそと換金してたらうどん屋のおっちゃんが満面の笑みで近付いてきた。
 普通に怖いからやめて欲しいんだが。

 「ありがとう!!!」

 「あ、ドリームジャー○ーにしたんだ」

 「ああ! これを見てくれ!!」

 見せられた馬券はドリームジャ○ニーと○エナビスタの馬単。
 このおっさん強心臓すぎるだろ。俺の言ったことをモロに信じてるじゃん。
 馬単で1500円ぐらいついてたので、100万賭けで大体1500万か。ウハウハだな。

 「坊主には感謝してもしたりねぇ! 本当にありがとうよ!!」

 「今回は自信があったから教えただけでたまたまだよ。次から俺の横で首を括るとか言わないでね」

 「き、聞こえてたのか…」

 聞こえてたから教えたんだっつーの。
 全く。首を括らなきゃならんぐらいギャンブルに傾倒するなっての。節度を持ってやってくれよ。

 「じゃあ俺は帰るから。そのお金大事に使うんだよ」

 「ああ! また会えたら飯でも奢らせてくれ!」

 「期待せずに待ってまーす」

 まぁ、もう会う事はないだろ。
 中山競馬場には当分来ないし。金杯もあんまり興味が湧かないからなぁ。

 「景気づけの有馬記念は終了。後は年末ジャンボにお祈りするのみだな」

 梓が待ってるしさっさと帰ろう。
 最近は勝つのが当たり前だからか、大金を見ても反応が薄いんだよな。
 一回一億ぐらい持って帰ってやろうか。

 「いや、流石にバレるか。迂闊な事はしないでおこう」
 
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