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二章 贖罪を求める少女と十二の担い手たち~霊魔大祭編~
楽園に残された少女2
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「これは?」
「――――えっ?その・・・・・・バタースカッチ・・・・・・ですけど」
「ほう・・・・・・」――――とクロエは少女が返した答えに対して、何やら興味深そうに呟きながら、飴菓子が入れられている容器を、そわそわとした様子で見つめ続ける。
「・・・・・・良ければ、好きに食べて下さい。その――――私、今から人数分の紅茶を淹れてきます・・・・・・から」
「そうか?悪いな気を使わせてしまって。――――では遠慮なく、中身を頂くとしよう」
困惑した表情をしながら、桃色髪の少女は紅茶を淹れるために席を立ち、すぐ近くにある灯台のような建物内へと入っていく。
その後ろ姿を見送りながら、クロエが白いテーブルの上に置かれた、容器の蓋を開けて、中身を覗いてみると――――そこには艶やかな茶色い大粒の飴玉が、隙間なくぎっしりと、大量に詰め込まれていた。
「おおっ!これは美味そうだな!――――どれ試しに一つ・・・・・・ふむ、甘みがかなり強いな。それと全体的に飴玉の形が整えられていない。
どうやら手作りの菓子であるようだが・・・・・・。まあ八割方は合格点といったところか」
クロエは容器の中に入っていた飴玉を口に含みながら、その味についての評価を遠慮なく下し、近くに立っていた俺に対して、魔道具の指輪の中から椅子を二脚、その場へ取り出すように指示を出した。
以前、右肩下がり男爵から受け取った、収納の機能が込められている指輪の魔方式を起動させ、背もたれのある頑丈な椅子を二人分、俺たちの目の前に出現させる。
「で?多分あの子がこの世界に残された、唯一の生存者なんだろ?もうすぐこの世界の全てが失くなるっていうのに、呑気にお茶なんかしていて大丈夫なのか?」
「まあ落ち着け、小僧。別に焦らずとも、まだその瞬間まで、二時間程度の時間は残されているさ。それと彼女にも、自分の心の内を整理する時間が、必要になるとは思わないか?
いきなり押し掛けてきた見知らぬ人物に対して、何もかもを正直に話してくれるとはとても思えん。であれば向こうから話を切り出してくれるまで待っているのが、現在の我々が取れる最良の選択と言えるだろう」
「本当にそう思っているのか?実はただそこのテーブルの上に置いてある飴菓子が、食べたかっただけなんじゃ――――」
「いやいや、別にそんな事はないぞ!――――とりあえずは三人でゆっくりと、この世界最後のお茶会でもしながら、互いの交流を図ろうじゃないか。
それに・・・・・・おっと!どうやら紅茶の用意が出来たようだぞ」
離れた建物の下にある入口から、先ほどの少女が両手に何も持っていない状態で姿を現す。
背後にはドローンのような浮遊物体を従えており、その脇から伸びていた二本のアームには、配膳用のお盆が挟み込まれていた。
歩く少女に追従するようにして、静かに移動してきたドローンは、実に滑らかな動きで俺たちの目の前に、それぞれ紅茶の入れられたコップを置いていく。
配膳の役目を終えたその機械は、桃色髪の少女のすぐ傍にまで飛んでいくと、地表から一メートルほどの離れた地点で完全に静止した。
「・・・・・・どうぞ」
「うむ。では冷めない内に頂こう。――――僅かにフルーツのような甘味があるな。この紅茶に使われている茶葉の種類は、この居住区内で育成されたものなのか?」
「いえ。その茶葉は昔の正常だった頃の・・・・・・汚染されていなかった、外の土地で作られたものだと聞いています。
保管はここの地下にある特殊な冷凍庫で行われていたので、品質に影響はないはずですよ」
少女はクロエからの質問に対して、特にマイナス的な感情を示すことなく、好意的な様子で答えていく。
とりあえず俺も、自分の前に置かれたコップの中身を口に含んでみる。すると確かにクロエの言った通り、僅かではあるがフルーツのような優しい甘さを、口内に感じることができた。
「なるほど・・・・・・しかしそれでも数年の期間は、地下で冷凍保存されていたのだな。一切の鮮度を落とすことなく、最適な状態を保持し続けるその技術。実に見事なものだと言わせてもらおう。
それで?こっちにあるバタースカッチの方にはどのような・・・・・・む、どうかしたのか?」
「その・・・・・・一つだけ聞きたいんですが。貴方たちは人間・・・・・・なんですか?さっきもここに来る前に、二人とも水面の上を歩いているように見えました。防御シールドに備わっている警報装置も作動しませんでしたし・・・・・・。
そもそも貴方たちはいったい、どこからこの居住区内に入って来たんですか?」
一つだけと言っておきながら、少女が次々と質問をしてきたのは、それだけ今の状況に、自分が混乱しているからだろう。
順番が完全に逆になってしまったが、俺はひとまず少女からの問いに答える前に、互いの自己紹介を済ませるべきだと判断して、自らの名前を少女に対して告げた。
「今更で悪いんだけど、まずはお互いに自己紹介をしないか?――――俺は悠人。で、こっちに座っているのがクロエだ」
「・・・・・・シエラです」
桃色髪の少女――――シエラは、突然話し掛けてきた俺に対して驚きながらも、しっかりと答えを返してくれた。
こうしてシエラと二人で話をしてみて分かったが、どうやら最初の都市で俺が使用した翻訳魔法は、知識のない言語に対しても効果を発揮するらしい。
今も問題なく互いに、会話による意志疎通が出来ているのがその証拠だろう。つくづく魔法とは便利なものだと感心しながら、俺はきょとんとした様子で待っていた、シエラとの会話を続ける。
「さっきの質問についての答えなんだけど。まず俺たちは人間・・・・・・ではなく、魔法使いと呼ばれている存在だ。つまり君の知る普通の常識からかけ離れている、不思議な力を扱うことができる。
ここに俺たちが来れたのも、その力を使ったから・・・・・・というのが、今の俺が分かっている範囲での、正確な答えになるかな」
「魔法使い・・・・・・ですか?でも私、てっきり・・・・・・」
どうやら何か言いたげな様子で、シエラはぼそぼそと呟いているようだが――――、
その時、急にシエラの傍らに浮遊していたドローンから、男の声色による音声が発せられる。
『ああん?黙って聞いていりゃ、自分たちは魔法使いだって?そんな胡散臭い話、到底信じられる訳ないだろうが!
――――なあシエラ。こいつらやっぱり信用出来ないぜ。とっとと俺様に出した待機命令を解除してくれよ!目にものを見せてやるぜ!』
二本のアームを動かしながら、こちら側を威嚇するようにして、高速で辺りを飛び回るドローン。その様子を面白そうに目で追いかけながら、クロエが口に含んだ飴玉を、ガリガリと噛み砕いて口を開く。
「これは人工知能というやつか?しかし話し方が機械的ではない・・・・・・まるで人間のようにも感じられる。
お前以外の生存者はいないとなると、遠隔操作によるものでもないだろうし・・・・・・これもこの居住区内で造られた物なのか?」
「いえ違います。これは・・・・・・私が開発した最新の自律式成長型人工知能――――Mk.Rocodd2.Zタイプ201初期型。名称はロコ君です。今の私に残された、たった一人の理解者であり友人。・・・・・・そして大切な家族です」
大切な家族。その言葉を聞いて、俺はすぐさまリセの顔を頭の中に思い浮かべた。
リセ自身も話していた家族という言葉。それに込められた感情の重みを、俺はシエラとの会話の内容からも、同じように感じ取ることが出来た。しかし――――、
(機械に対して“たった一人”なんて言葉を、わざわざ使うなんて・・・・・・普通じゃない)
それは果たして・・・・・・どのような意味を示しているのだろうか。
これまでのシエラが送ってきた人生が、どのようなものだったのか。
また何故たった一人、最後の生存者として、この世界に残されてしまったのか。彼女以外の人類は、いったい何処に消えてしまったのか。
シエラに対して聞きたいことは山ほどあったが、踏み入った話になってしまうのは分かりきっていた為、どう話題を切り出したらよいか、俺がひとり悩んでいると、
「“私が開発した”・・・・・・か。つまりお前はそこで喚いているロボットの開発者、または研究者であると?」
クロエはシエラに対してそのように問い掛けながら、新たに取り出した飴玉を、自分の口の中へと放り込む。
いつのまにか飴の入った容器は、クロエの膝の上に乗せられており、完全な私物化状態と化してしまっていた。
「そうです。私が一からプログラミングし、そして作り上げた究極の人工知能。その高度な学習能力と解析能力に匹敵する技術は、今のところ私以外の人類にはありません」
「ほう?しかしそんな大層な代物の割には、随分と粗暴な言葉を使うじゃないか。もしも本当に高度な学習能力があるのなら、こうして主人を訪ねてきた、客である我々に対しても、ある程度の礼儀は取って然るべきだとは思うが――――」
『うるせえ!うるせえ!――――お前らみたいな正体不明の怪しい奴らに、いちいち礼を尽くすほど、俺様は単純なやつじゃない!
シエラから出された待機命令が解除されさえすれば、お前らの化けの皮なんてすぐに、この俺様が剥がしてやるから覚悟しとけ!』
“ロコ”と呼ばれる人工知能を搭載した機械は、その背後に搭載されていたスラスターを開閉して、沸騰したヤカンのように白い煙を放出する。
怒っている様子を表現しているのか、その仕草や動作がいちいち人間のそれに近い。
「はっはっは・・・・・・面白いやつだな!なあお前、シエラといったか?こいつに出してある待機命令とやらを、今すぐ解除してやれ。
いったいどのような手段で、我々に対して害を与えようとするのか。是非ともこの目で直接見てみたい」
「いやいや待ってくれ!そういうのは今はいいから!もうそんなに時間は残されていないだろ?
――――シエラ。君さえ良ければ、俺からも聞きたいことがある。
シエラ以外の、他の人類はどこに消えてしまったのか。そして何故君がこの場所に、たった一人で残されてしまっているのか。その理由について、俺たちに話を聞かせて欲しいんだ」
「――――えっ?その・・・・・・バタースカッチ・・・・・・ですけど」
「ほう・・・・・・」――――とクロエは少女が返した答えに対して、何やら興味深そうに呟きながら、飴菓子が入れられている容器を、そわそわとした様子で見つめ続ける。
「・・・・・・良ければ、好きに食べて下さい。その――――私、今から人数分の紅茶を淹れてきます・・・・・・から」
「そうか?悪いな気を使わせてしまって。――――では遠慮なく、中身を頂くとしよう」
困惑した表情をしながら、桃色髪の少女は紅茶を淹れるために席を立ち、すぐ近くにある灯台のような建物内へと入っていく。
その後ろ姿を見送りながら、クロエが白いテーブルの上に置かれた、容器の蓋を開けて、中身を覗いてみると――――そこには艶やかな茶色い大粒の飴玉が、隙間なくぎっしりと、大量に詰め込まれていた。
「おおっ!これは美味そうだな!――――どれ試しに一つ・・・・・・ふむ、甘みがかなり強いな。それと全体的に飴玉の形が整えられていない。
どうやら手作りの菓子であるようだが・・・・・・。まあ八割方は合格点といったところか」
クロエは容器の中に入っていた飴玉を口に含みながら、その味についての評価を遠慮なく下し、近くに立っていた俺に対して、魔道具の指輪の中から椅子を二脚、その場へ取り出すように指示を出した。
以前、右肩下がり男爵から受け取った、収納の機能が込められている指輪の魔方式を起動させ、背もたれのある頑丈な椅子を二人分、俺たちの目の前に出現させる。
「で?多分あの子がこの世界に残された、唯一の生存者なんだろ?もうすぐこの世界の全てが失くなるっていうのに、呑気にお茶なんかしていて大丈夫なのか?」
「まあ落ち着け、小僧。別に焦らずとも、まだその瞬間まで、二時間程度の時間は残されているさ。それと彼女にも、自分の心の内を整理する時間が、必要になるとは思わないか?
いきなり押し掛けてきた見知らぬ人物に対して、何もかもを正直に話してくれるとはとても思えん。であれば向こうから話を切り出してくれるまで待っているのが、現在の我々が取れる最良の選択と言えるだろう」
「本当にそう思っているのか?実はただそこのテーブルの上に置いてある飴菓子が、食べたかっただけなんじゃ――――」
「いやいや、別にそんな事はないぞ!――――とりあえずは三人でゆっくりと、この世界最後のお茶会でもしながら、互いの交流を図ろうじゃないか。
それに・・・・・・おっと!どうやら紅茶の用意が出来たようだぞ」
離れた建物の下にある入口から、先ほどの少女が両手に何も持っていない状態で姿を現す。
背後にはドローンのような浮遊物体を従えており、その脇から伸びていた二本のアームには、配膳用のお盆が挟み込まれていた。
歩く少女に追従するようにして、静かに移動してきたドローンは、実に滑らかな動きで俺たちの目の前に、それぞれ紅茶の入れられたコップを置いていく。
配膳の役目を終えたその機械は、桃色髪の少女のすぐ傍にまで飛んでいくと、地表から一メートルほどの離れた地点で完全に静止した。
「・・・・・・どうぞ」
「うむ。では冷めない内に頂こう。――――僅かにフルーツのような甘味があるな。この紅茶に使われている茶葉の種類は、この居住区内で育成されたものなのか?」
「いえ。その茶葉は昔の正常だった頃の・・・・・・汚染されていなかった、外の土地で作られたものだと聞いています。
保管はここの地下にある特殊な冷凍庫で行われていたので、品質に影響はないはずですよ」
少女はクロエからの質問に対して、特にマイナス的な感情を示すことなく、好意的な様子で答えていく。
とりあえず俺も、自分の前に置かれたコップの中身を口に含んでみる。すると確かにクロエの言った通り、僅かではあるがフルーツのような優しい甘さを、口内に感じることができた。
「なるほど・・・・・・しかしそれでも数年の期間は、地下で冷凍保存されていたのだな。一切の鮮度を落とすことなく、最適な状態を保持し続けるその技術。実に見事なものだと言わせてもらおう。
それで?こっちにあるバタースカッチの方にはどのような・・・・・・む、どうかしたのか?」
「その・・・・・・一つだけ聞きたいんですが。貴方たちは人間・・・・・・なんですか?さっきもここに来る前に、二人とも水面の上を歩いているように見えました。防御シールドに備わっている警報装置も作動しませんでしたし・・・・・・。
そもそも貴方たちはいったい、どこからこの居住区内に入って来たんですか?」
一つだけと言っておきながら、少女が次々と質問をしてきたのは、それだけ今の状況に、自分が混乱しているからだろう。
順番が完全に逆になってしまったが、俺はひとまず少女からの問いに答える前に、互いの自己紹介を済ませるべきだと判断して、自らの名前を少女に対して告げた。
「今更で悪いんだけど、まずはお互いに自己紹介をしないか?――――俺は悠人。で、こっちに座っているのがクロエだ」
「・・・・・・シエラです」
桃色髪の少女――――シエラは、突然話し掛けてきた俺に対して驚きながらも、しっかりと答えを返してくれた。
こうしてシエラと二人で話をしてみて分かったが、どうやら最初の都市で俺が使用した翻訳魔法は、知識のない言語に対しても効果を発揮するらしい。
今も問題なく互いに、会話による意志疎通が出来ているのがその証拠だろう。つくづく魔法とは便利なものだと感心しながら、俺はきょとんとした様子で待っていた、シエラとの会話を続ける。
「さっきの質問についての答えなんだけど。まず俺たちは人間・・・・・・ではなく、魔法使いと呼ばれている存在だ。つまり君の知る普通の常識からかけ離れている、不思議な力を扱うことができる。
ここに俺たちが来れたのも、その力を使ったから・・・・・・というのが、今の俺が分かっている範囲での、正確な答えになるかな」
「魔法使い・・・・・・ですか?でも私、てっきり・・・・・・」
どうやら何か言いたげな様子で、シエラはぼそぼそと呟いているようだが――――、
その時、急にシエラの傍らに浮遊していたドローンから、男の声色による音声が発せられる。
『ああん?黙って聞いていりゃ、自分たちは魔法使いだって?そんな胡散臭い話、到底信じられる訳ないだろうが!
――――なあシエラ。こいつらやっぱり信用出来ないぜ。とっとと俺様に出した待機命令を解除してくれよ!目にものを見せてやるぜ!』
二本のアームを動かしながら、こちら側を威嚇するようにして、高速で辺りを飛び回るドローン。その様子を面白そうに目で追いかけながら、クロエが口に含んだ飴玉を、ガリガリと噛み砕いて口を開く。
「これは人工知能というやつか?しかし話し方が機械的ではない・・・・・・まるで人間のようにも感じられる。
お前以外の生存者はいないとなると、遠隔操作によるものでもないだろうし・・・・・・これもこの居住区内で造られた物なのか?」
「いえ違います。これは・・・・・・私が開発した最新の自律式成長型人工知能――――Mk.Rocodd2.Zタイプ201初期型。名称はロコ君です。今の私に残された、たった一人の理解者であり友人。・・・・・・そして大切な家族です」
大切な家族。その言葉を聞いて、俺はすぐさまリセの顔を頭の中に思い浮かべた。
リセ自身も話していた家族という言葉。それに込められた感情の重みを、俺はシエラとの会話の内容からも、同じように感じ取ることが出来た。しかし――――、
(機械に対して“たった一人”なんて言葉を、わざわざ使うなんて・・・・・・普通じゃない)
それは果たして・・・・・・どのような意味を示しているのだろうか。
これまでのシエラが送ってきた人生が、どのようなものだったのか。
また何故たった一人、最後の生存者として、この世界に残されてしまったのか。彼女以外の人類は、いったい何処に消えてしまったのか。
シエラに対して聞きたいことは山ほどあったが、踏み入った話になってしまうのは分かりきっていた為、どう話題を切り出したらよいか、俺がひとり悩んでいると、
「“私が開発した”・・・・・・か。つまりお前はそこで喚いているロボットの開発者、または研究者であると?」
クロエはシエラに対してそのように問い掛けながら、新たに取り出した飴玉を、自分の口の中へと放り込む。
いつのまにか飴の入った容器は、クロエの膝の上に乗せられており、完全な私物化状態と化してしまっていた。
「そうです。私が一からプログラミングし、そして作り上げた究極の人工知能。その高度な学習能力と解析能力に匹敵する技術は、今のところ私以外の人類にはありません」
「ほう?しかしそんな大層な代物の割には、随分と粗暴な言葉を使うじゃないか。もしも本当に高度な学習能力があるのなら、こうして主人を訪ねてきた、客である我々に対しても、ある程度の礼儀は取って然るべきだとは思うが――――」
『うるせえ!うるせえ!――――お前らみたいな正体不明の怪しい奴らに、いちいち礼を尽くすほど、俺様は単純なやつじゃない!
シエラから出された待機命令が解除されさえすれば、お前らの化けの皮なんてすぐに、この俺様が剥がしてやるから覚悟しとけ!』
“ロコ”と呼ばれる人工知能を搭載した機械は、その背後に搭載されていたスラスターを開閉して、沸騰したヤカンのように白い煙を放出する。
怒っている様子を表現しているのか、その仕草や動作がいちいち人間のそれに近い。
「はっはっは・・・・・・面白いやつだな!なあお前、シエラといったか?こいつに出してある待機命令とやらを、今すぐ解除してやれ。
いったいどのような手段で、我々に対して害を与えようとするのか。是非ともこの目で直接見てみたい」
「いやいや待ってくれ!そういうのは今はいいから!もうそんなに時間は残されていないだろ?
――――シエラ。君さえ良ければ、俺からも聞きたいことがある。
シエラ以外の、他の人類はどこに消えてしまったのか。そして何故君がこの場所に、たった一人で残されてしまっているのか。その理由について、俺たちに話を聞かせて欲しいんだ」
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