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第一部 一章 始まりの物語~噴壊包輝世界編~
金色の獣2
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「【金色の獣】の討伐・・・・・・ですか。確かにクロエの実力であれば、それは可能ですけれど。
ですが良いのでしょうか?仮にも他の世界に存在する、オグナーさんの資料に記載されていた情報通りであれば、アブネクトの食物連鎖の頂点に位置する存在を、私たちが勝手に排除してしまっても・・・・・・」
リセの放ったその言葉に対して、オグナーがすぐさま答えを返す。
「ええ、特に問題はないかと思われます。むしろこちら側としては打つ手がなく、途方に暮れていたわけですから。もしもあれを討伐して下さるというのであれば、今回の件の迷惑料に上乗せして報酬を支払わせて頂きますよ」
「報酬・・・・・・ですか?それなら先ほどクロエがここに来る前に集めていた鉱石をその変わりとして――――きゃっ!?」
リセの話を遮るようにして、いきなりクロエがその身体を強引に引き寄せたかと思えば、その耳元に向かって顔を近づけ、小声でぼそぼそと話しをし始める。
「それ以上余計なことは言うな。貰えるものは貰っておけ。――――これから小僧のことで色々と必要なものも出てくるだろう。金はいくらあっても困ることはないからな。今回受け取った報酬はその時の為に残しておけばいい」
「ですけど・・・・・・もぅ。――――分かりました。ユウ君の為に使うというのであれば、有難く受け取らせて頂くことにします。クロエ、これで文句は無いですか?」
「ああ。――――ということだ。貴様何といったか・・・・・・ロバート?だったか」
「全然違いますよ!キリス・オグナーさんです!――――すみません、オグナーさん。一応こちらでの話は纏まったようなので。今回受け取らせて頂く報酬に関しては、後でクロエと相談して頂けないでしょうか?」
「了解いたしました。では後ほど【金色の獣】を討伐された後にでも」
「いいだろう。――――で?その目標である【金色の獣】の現在地については・・・・・・」
何故か急にクロエが話を中断して、後方にある洞窟の扉側の方向へと視線を向ける。それに合わせて俺を含めた残りの三人も、同じようにその方向へ視線を向ける。
しかしその場所は先程と変わらず、ただ両端を高い本棚で囲まれた空間があるだけで・・・・・・・、
(・・・・・・ん?)
その時ふと、洞窟の外側から地鳴りのような、小さく響く何かの音が聞こえてきた。同時に一定の間隔で小刻みな振動が、俺たちのいる洞窟内部にまで連動するかのように伝わってくる。
パラパラと天井から、少量の鉱石の欠片が落下しては地面にぶつかり、周囲に飛散して砂埃を舞わせていた。
最初は周囲の静けさのお陰で辛うじて聞き取れていたその音は、あっという間に両耳を塞いでいようが聞こえるのではないかと、そう思える程の轟音に変化していく。
「地震・・・・・・?」
「いえ、違います。まさかこれは・・・・・・クロエ!」
俺の言葉にいち早く反応したリセが、近くに立っているクロエに焦りを含んだ声色で話し掛ける。
それに対してクロエは「・・・・・・そうだな」と、答えを返しながら、その大きくクリクリとした両目を、洞窟の真上にある天井付近に向けた。
「おそらく境界の裂け目が原因で造られた空間のズレによって、この辺り一体に他の世界の構成情報が、ノイズとして発生しているのだろう。ここが崩れることはまず無さそうだが、歪みの同調まで起き始めているとなると、あまりのんびりとしている時間はなさそうだな」
「歪みの同調――――何だそれ?」
初めて聞くその単語に、俺が意味も分からず疑問に思っていると――――クロエが「そうか・・・・・・忘れていたな」と、思い出したかのように呟きながら、俺に対して声を掛ける。
「・・・・・・小僧には、最初から説明が必要か。私が魔法による知識の共有を行使したとはいえ、その辺りの情報までは織り込んでいなかったな。失念していたよ。――――とはいえ、いちいち細かく説明するのも面倒だしな・・・・・・リセ、頼む」
後は任せた――――そういった様子で、クロエは自身の両手を上げて肩をすくめながら、リセに向かって話を振る。
今の話の流れから、リセはクロエによって説明する立場を無理やり押し付けられた形になってしまうのだが・・・・・・。リセは嫌な顔ひとつせずに俺の方へと向き直り、「では、私から説明させてもらいますね」と、笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「ええっとですね・・・・・・歪みの同調とは、境界の裂け目が原因で起きる、別の世界間同士の共鳴作用と説明すればいいのでしょうか。普段は境界によって区切られている、異世界との間に発生した裂け目から、ウイルスのように他の世界の情報が入り込んでくるんです」
「他の世界の情報?」
「はい。より分かりやすく言うなら、境界の反対側にある世界にのみ存在しているはずの、大気や生物の遺伝子情報などです。
そういったものが境界の裂け目を通じて流れ込んでくる事で、その周辺の世界構成情報に影響を及ぼす――――つまり、本来は境界を隔てて存在しているはずの二つの世界の間が上書きされて、文字通りそのまま繋がってしまうんです」
リセの説明によると、俺たちが今いるこの世界――――アブネクトと地球との間に発生した境界の裂け目をそのまま放置しておけば、その場所から二つの世界間同士の間で、空間の同調反応が起きてしまうらしい。
するとまるで病が進行するかのように、世界の境界そのものが徐々に侵食されていき、終いにはその全てが消失してしまう・・・・・・。
今回の場合、アブネクトにのみ存在している流体エネルギー――――ファストラが、もしも世界同士が同調して繋がった際に、地球にもたらすであろう影響は計り知れないとのことだった。
先程の小刻みな震動――――歪みの同調とは、その侵食作用が起きる前の予兆に近いものらしい。
「つまりは・・・・・・だ。これ以上面倒なことになる前に、さっさと裂け目の修復に向かった方が良い、ということだな」
リセの説明をまとめるかのように、クロエが腕を組ながらそう告げる。
若干、適当な様子が見受けられなくもないが、本人の元々の性格が分かっているからか、あまり気にならない。リセもその事に慣れているようであり、思案するかのように神妙な顔つきで「ええ・・・・・・」と、相槌を打つかのように小さく頷いた。
「同感です。遅くなればなるほど、裂け目の修復に掛かる時間も長くなってしまいますからね。そうと決まれば早速・・・・・・あっ!そういえば、ユウ君はどうしましょうか?全ての作業が完了するまでこの場所に私たちで結界を張って、その中で待っていてもらったほうが――――」
「いや、小僧も一緒に連れていく。むしろオグナー、貴様がここに残れ。――――確かお前の作成した資料によれば、【金色の獣】は強いエネルギー活動に反応を示すんだったな?ならば私に考えがある。余計なことをされるよりは、この場所で大人しくしていて貰った方がこちらとしてもやりやすい」
「クロエってば!何もそんな失礼な言い方をいちいちしなくても・・・・・・」
「なんだ。正直に足手まといだとでも言えば良かったか?」
「だからそういう言い方が失礼だと言っているんです!大体、クロエはいつもいつも他人に対してですね・・・・・・」
急ぐと言っておきながら互いに口論を始めたリセとクロエ。その二人の間に入り込むようにして、俺は自らの意見を声に出して伝えた。
「おい!これ以上裂け目を放置しておくと不味いんだろ。だったら喧嘩なんてしてないで、さっさとこの場所から出発した方がいいんじゃないか?――――それとクロエ。足手まといだったら、まだ魔法使いになった俺のこともだろ?なんで俺は一緒に連れていくんだよ」
「ああ・・・・・・それはだな。折角の機会だ。これから先、小僧が魔法使いとして生きていくならば、私たちの行う仕事を実際にその目で見た方が為になると思ってな。まあ言ってしまえば、少し早めの現場研修――――みたいなものだ」
「別に問題ないだろう?」――――クロエは俺に向かってそのように問いかける。確かにこんな見知らぬ世界の洞窟内で、よく知りもしない人物と二人で帰りを待たされるよりは、そちらの方が精神的にも楽だろう。
ですが良いのでしょうか?仮にも他の世界に存在する、オグナーさんの資料に記載されていた情報通りであれば、アブネクトの食物連鎖の頂点に位置する存在を、私たちが勝手に排除してしまっても・・・・・・」
リセの放ったその言葉に対して、オグナーがすぐさま答えを返す。
「ええ、特に問題はないかと思われます。むしろこちら側としては打つ手がなく、途方に暮れていたわけですから。もしもあれを討伐して下さるというのであれば、今回の件の迷惑料に上乗せして報酬を支払わせて頂きますよ」
「報酬・・・・・・ですか?それなら先ほどクロエがここに来る前に集めていた鉱石をその変わりとして――――きゃっ!?」
リセの話を遮るようにして、いきなりクロエがその身体を強引に引き寄せたかと思えば、その耳元に向かって顔を近づけ、小声でぼそぼそと話しをし始める。
「それ以上余計なことは言うな。貰えるものは貰っておけ。――――これから小僧のことで色々と必要なものも出てくるだろう。金はいくらあっても困ることはないからな。今回受け取った報酬はその時の為に残しておけばいい」
「ですけど・・・・・・もぅ。――――分かりました。ユウ君の為に使うというのであれば、有難く受け取らせて頂くことにします。クロエ、これで文句は無いですか?」
「ああ。――――ということだ。貴様何といったか・・・・・・ロバート?だったか」
「全然違いますよ!キリス・オグナーさんです!――――すみません、オグナーさん。一応こちらでの話は纏まったようなので。今回受け取らせて頂く報酬に関しては、後でクロエと相談して頂けないでしょうか?」
「了解いたしました。では後ほど【金色の獣】を討伐された後にでも」
「いいだろう。――――で?その目標である【金色の獣】の現在地については・・・・・・」
何故か急にクロエが話を中断して、後方にある洞窟の扉側の方向へと視線を向ける。それに合わせて俺を含めた残りの三人も、同じようにその方向へ視線を向ける。
しかしその場所は先程と変わらず、ただ両端を高い本棚で囲まれた空間があるだけで・・・・・・・、
(・・・・・・ん?)
その時ふと、洞窟の外側から地鳴りのような、小さく響く何かの音が聞こえてきた。同時に一定の間隔で小刻みな振動が、俺たちのいる洞窟内部にまで連動するかのように伝わってくる。
パラパラと天井から、少量の鉱石の欠片が落下しては地面にぶつかり、周囲に飛散して砂埃を舞わせていた。
最初は周囲の静けさのお陰で辛うじて聞き取れていたその音は、あっという間に両耳を塞いでいようが聞こえるのではないかと、そう思える程の轟音に変化していく。
「地震・・・・・・?」
「いえ、違います。まさかこれは・・・・・・クロエ!」
俺の言葉にいち早く反応したリセが、近くに立っているクロエに焦りを含んだ声色で話し掛ける。
それに対してクロエは「・・・・・・そうだな」と、答えを返しながら、その大きくクリクリとした両目を、洞窟の真上にある天井付近に向けた。
「おそらく境界の裂け目が原因で造られた空間のズレによって、この辺り一体に他の世界の構成情報が、ノイズとして発生しているのだろう。ここが崩れることはまず無さそうだが、歪みの同調まで起き始めているとなると、あまりのんびりとしている時間はなさそうだな」
「歪みの同調――――何だそれ?」
初めて聞くその単語に、俺が意味も分からず疑問に思っていると――――クロエが「そうか・・・・・・忘れていたな」と、思い出したかのように呟きながら、俺に対して声を掛ける。
「・・・・・・小僧には、最初から説明が必要か。私が魔法による知識の共有を行使したとはいえ、その辺りの情報までは織り込んでいなかったな。失念していたよ。――――とはいえ、いちいち細かく説明するのも面倒だしな・・・・・・リセ、頼む」
後は任せた――――そういった様子で、クロエは自身の両手を上げて肩をすくめながら、リセに向かって話を振る。
今の話の流れから、リセはクロエによって説明する立場を無理やり押し付けられた形になってしまうのだが・・・・・・。リセは嫌な顔ひとつせずに俺の方へと向き直り、「では、私から説明させてもらいますね」と、笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「ええっとですね・・・・・・歪みの同調とは、境界の裂け目が原因で起きる、別の世界間同士の共鳴作用と説明すればいいのでしょうか。普段は境界によって区切られている、異世界との間に発生した裂け目から、ウイルスのように他の世界の情報が入り込んでくるんです」
「他の世界の情報?」
「はい。より分かりやすく言うなら、境界の反対側にある世界にのみ存在しているはずの、大気や生物の遺伝子情報などです。
そういったものが境界の裂け目を通じて流れ込んでくる事で、その周辺の世界構成情報に影響を及ぼす――――つまり、本来は境界を隔てて存在しているはずの二つの世界の間が上書きされて、文字通りそのまま繋がってしまうんです」
リセの説明によると、俺たちが今いるこの世界――――アブネクトと地球との間に発生した境界の裂け目をそのまま放置しておけば、その場所から二つの世界間同士の間で、空間の同調反応が起きてしまうらしい。
するとまるで病が進行するかのように、世界の境界そのものが徐々に侵食されていき、終いにはその全てが消失してしまう・・・・・・。
今回の場合、アブネクトにのみ存在している流体エネルギー――――ファストラが、もしも世界同士が同調して繋がった際に、地球にもたらすであろう影響は計り知れないとのことだった。
先程の小刻みな震動――――歪みの同調とは、その侵食作用が起きる前の予兆に近いものらしい。
「つまりは・・・・・・だ。これ以上面倒なことになる前に、さっさと裂け目の修復に向かった方が良い、ということだな」
リセの説明をまとめるかのように、クロエが腕を組ながらそう告げる。
若干、適当な様子が見受けられなくもないが、本人の元々の性格が分かっているからか、あまり気にならない。リセもその事に慣れているようであり、思案するかのように神妙な顔つきで「ええ・・・・・・」と、相槌を打つかのように小さく頷いた。
「同感です。遅くなればなるほど、裂け目の修復に掛かる時間も長くなってしまいますからね。そうと決まれば早速・・・・・・あっ!そういえば、ユウ君はどうしましょうか?全ての作業が完了するまでこの場所に私たちで結界を張って、その中で待っていてもらったほうが――――」
「いや、小僧も一緒に連れていく。むしろオグナー、貴様がここに残れ。――――確かお前の作成した資料によれば、【金色の獣】は強いエネルギー活動に反応を示すんだったな?ならば私に考えがある。余計なことをされるよりは、この場所で大人しくしていて貰った方がこちらとしてもやりやすい」
「クロエってば!何もそんな失礼な言い方をいちいちしなくても・・・・・・」
「なんだ。正直に足手まといだとでも言えば良かったか?」
「だからそういう言い方が失礼だと言っているんです!大体、クロエはいつもいつも他人に対してですね・・・・・・」
急ぐと言っておきながら互いに口論を始めたリセとクロエ。その二人の間に入り込むようにして、俺は自らの意見を声に出して伝えた。
「おい!これ以上裂け目を放置しておくと不味いんだろ。だったら喧嘩なんてしてないで、さっさとこの場所から出発した方がいいんじゃないか?――――それとクロエ。足手まといだったら、まだ魔法使いになった俺のこともだろ?なんで俺は一緒に連れていくんだよ」
「ああ・・・・・・それはだな。折角の機会だ。これから先、小僧が魔法使いとして生きていくならば、私たちの行う仕事を実際にその目で見た方が為になると思ってな。まあ言ってしまえば、少し早めの現場研修――――みたいなものだ」
「別に問題ないだろう?」――――クロエは俺に向かってそのように問いかける。確かにこんな見知らぬ世界の洞窟内で、よく知りもしない人物と二人で帰りを待たされるよりは、そちらの方が精神的にも楽だろう。
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