異世界転移した町民Aは普通の生活を所望します!!

コスモクイーンハート

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第4章 ルーベルト王国王都

第三十四話 賢者と勇者とアデレード①

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 城内の王の執務室にて、アデレードはひたすら報告書などを処理していた。
 紙をめくる音が断続的に室内に響く。時折侍従が書類を整理したりしているだけで、基本的に静かであった。
 ぱらりと次の書類に目を通す。
 そこには、国内ダンジョン崩壊による影響と書かれていた。
 昨日、その原因たる人物と従魔が城の転移魔法陣を用いて入城したという報告があった。選定も無事終わり、彼女は聖女となったとも……。
 自分の選択が間違っていなければいいが、とアデレードはため息をつきながら顔を上げた。
 ずっと下を向いていたからか、首に痛みを感じる。
 休憩するべきだと判断し、アデレードは側で処理の終わった書類を整理していた侍従に目をやった。
 すぐに侍従が紅茶を用意しに行く。
(そういえば、今日は彼女の魔力測定などを賢者達が行うと言っていたな……。今頃測定しているのだろうか……)
 今夜あたり賢者達が報告しに来るだろうとアデレードは予想した。
 久しぶりに三人で話でもしながら、ゆっくり酒でも飲んで楽しもうかとアデレードはくすりと笑う。
 昨日は二人とも忙しそうであまり話せなかったのだ。少しくらいはいいだろう……。
 侍従が淹れたての紅茶を出してくれる。
 アデレードはほのかな香りを楽しみながら、ちらりと報告書を見た。気合を入れ直してまた作業に取りかかる。
 しかし、次の瞬間、執務室の扉を叩く音が聞こえてきた。
 来客だろうか?だが、今日は面会の予定は午後から聖女に会うだけだったはずだが?と不審に思うアデレード。
 側にいた侍従がさっと扉の外の客を確認した。
 どうやら賢者と勇者らしい。何かあったのであろうかと思い、アデレードは面会の許可を出した。
 彼らが今報告するとしたら聖女のこと以外に他ならない。
 侍従が扉を開けると、賢者と勇者が入って来た。隠してはいるが、表情に少し余裕がなさそうなのをアデレードは感じた。
 いつも完璧に仮面を貼り付けて言葉をかけてくる貴族を相手にしているので、それくらいはすぐにわかった。
「すいません。あなたに今すぐ耳に入れたいことがありまして……」
 賢者がちらりと侍従を見ながら口早に言った。察してすぐに侍従を下がらせる。
 もちろん、人払いを命じることも忘れない。
「どうしたのだ。何かあったのか?」
「実は、聖女のことで……」
 やはり何かあったのだ。嫌な想像が頭に浮かぶ。
 アデレードは無理やりそれらを思考から押しのけて、会話を促した。
「今日、というか今さっき測定が完了したのですが…………」
「ですが?」
 ゴクリとつばを飲み下し、アデレードはさらに促す。
「……その、結果が普通ではなかったのです」
 普通ではないとはどういうことだろうか。
 しかし、だいたい予想がつく。以前影から報告を受けていたからだ。
「して、どのような結果だったのだ?」
「三属性持ちだったのです。勇者と同じく。しかも、聖·風·光の完全防御型の魔法バ……いえ、アルと同じく天才型の人間ですね」
 ……おい、一回魔法バカと言いかけたな。白い目で賢者を見つめるアデレード。
 とりあえず聞き逃しておこうとスルーしておく。
「しかし、完全防御型の三属性か……。凄まじいな。だが、それだけではないのであろう?」
 まだ言いたそうにしている賢者を見つめる。
 案の定まだありそうだ。
「魔力が∞だったのです…………」
「はっ⁉」
 あの時の賢者達と同じくアデレードは驚きを隠せなかった。魔の時間再び……。


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