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第4章 ルーベルト王国王都
第三十三話 私の魔力量、バレました……。
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魔力測定器改に手をかざすと、またしても針がグルングルン回り始めた。魔の時間の再来である。
一同はもう遠い目をするのを隠すことができなかった。
「これは、何というか…………」
「回ってますねぇ…………」
「まさかこれ程魔力量が多いとは………………」
(ごめん、皆。本当に…………)
ちょっと逃げたくなった結菜。
いたたまれない空気が部屋に充満している。申し訳ない気持ちでいっぱいであった。はい。
そんな中、いち早く回復した勇者がカップを手に取り紅茶を飲んでいる。
無表情で紅茶を飲む姿は異様に様になっていた。
紅茶を飲んで美味しそうにほぅと息をついてさえいる。
(ねぇ、その余裕分けてほしいんだけど…………⁉)
内心冷や汗だらだらで結菜は全力で勇者にツッコミを入れた。
そう。何を隠そう。今、絶賛賢者が言葉を発するのを待つしかない状況なのである。
何かやらかして上司に怒られるか否かずうっと待つしかないサラリーマンの気持ちが今初めてわかった瞬間であった。…………嫌な瞬間である。できれば御免被りたいね‼いや、本当に‼
「ユーナさん…………」
「はい……」
「あなた、魔力量ってどれくらいあるんですか?」
背後に黒いものを背負ってにっこり笑顔で賢者が問いかけてくる。
結菜は勇者に助けてコールを目で送ったが完全無視された。ほぅ……、と勇者が美味しそうに紅茶カップを傾ける。
彼の視線は当然窓の外に向けられていた。
助けて助けて助けてと、話しかけるな話しかけるな話しかけるなという無言の応酬が繰り広げられる。
賢者が結菜に追い打ちをかけた。
「さぁ、答えてください」
「はい……」
………結菜の負けである。結菜は大人しく賢者の指示に従うことにした。
決して賢者の圧に負けたからではない……。そう決してそういうわけではないのだ……。結菜はそう思い込むことにしたのであった。
「∞、です」
「「「は………………?」」」
「だから、∞なんです‼私の魔力‼」
今までにないくらいビシリと固まる一同。
∞、∞とはなんぞや?意味はわかるが理解だけはしたくない答えに賢者と勇者は現実逃避する。
うん、仕方がないよね、と結菜は納得する。その気持ちはわからなくもなかったのだ。
そんな中、突然魔術師がぶるぶる震えてばっと顔を上げた。
「まさかこの世に魔力∞という存在がいるとは……‼あぁ神よ感謝します‼ユーナ様、聖女なんかやめてうちの宮廷魔術師塔に来ませんか⁉」
なんかとは何だ、失礼な。結菜はむっとした。実はこの魔術師、こともあろうに生粋の魔術バカであったのである。っていうか、魔法ヲタクとも言える。
宮廷魔術師達は全員がそうであることは、王宮内でも有名な話であった。
ちなみに彼はこの宮廷魔術師団の魔術師長なのだが………。結菜はそのことを知る由もなかった。
まぁ、宮廷魔術師の中では彼はノーマルなレベルなのだが気にしてはいけない。彼もまた、魔法ヲタクなのは事実であるのだが……………。
そんな彼にとって結菜は魔術師の逸材、金の卵、理想型だったのである。
そんな彼女を宮廷魔術師へと勧誘したくなるのも仕方がない。……まぁ、無理なお願いなのだが。
興奮して言う彼に、賢者が待ったをかけた。
「落ち着いてください。あー。ユーナさん、絶対にあなたが魔力∞だということはここだけの秘密にしておいてください。いいですね?」
もちろんである。
必要以上に自分の魔力について結菜は言うつもりはなかったので、こくりと頷く。
だから、そんな目で見るのだけはやめてほしい。目が笑ってない。ひぃぃぃと恐れ慄く結菜。
「なぁ、そういえばお前昨日ファイアボールを使ったことがあるって言っていたよな?火属性も持っていないのにどうして使えたんだ?」
突然、もう大丈夫そうだと判断した勇者が、ふと疑問に思ったことを結菜に聞いた。
確かに結菜は火属性を持っていない。
あの時、アルに魔法を使ってみろと言われた時、手っ取り早いからというただそれだけの理由でファイアボールを出したのを思い出す。
どうやってか、と結菜は考えた。そうだ、あの時確か自分は……。
「気合で‼」
………そう、あの時気合で無理やり出したのであった。
結菜はぐっと拳を握りながら元気よく答えた。
この後に起こったことはもう想像がつくであろう。
「あなたも天才型の魔術バカでしたか……」と眉間に寄りまくる皺をひたすら伸ばす賢者。
半ばやけを起こして無表情のままで紅茶を飲みまくる勇者。
ふぉぉぉぉう‼とガッツポーズをきめて妙なハイテンションで喜ぶ魔術師。
そんな彼らを結菜は魚が死ん……いや、達観したような生温かい目でスルーしながら見つめているのであった。
このカオスな状況を知るものは他に誰もいない。
一同はもう遠い目をするのを隠すことができなかった。
「これは、何というか…………」
「回ってますねぇ…………」
「まさかこれ程魔力量が多いとは………………」
(ごめん、皆。本当に…………)
ちょっと逃げたくなった結菜。
いたたまれない空気が部屋に充満している。申し訳ない気持ちでいっぱいであった。はい。
そんな中、いち早く回復した勇者がカップを手に取り紅茶を飲んでいる。
無表情で紅茶を飲む姿は異様に様になっていた。
紅茶を飲んで美味しそうにほぅと息をついてさえいる。
(ねぇ、その余裕分けてほしいんだけど…………⁉)
内心冷や汗だらだらで結菜は全力で勇者にツッコミを入れた。
そう。何を隠そう。今、絶賛賢者が言葉を発するのを待つしかない状況なのである。
何かやらかして上司に怒られるか否かずうっと待つしかないサラリーマンの気持ちが今初めてわかった瞬間であった。…………嫌な瞬間である。できれば御免被りたいね‼いや、本当に‼
「ユーナさん…………」
「はい……」
「あなた、魔力量ってどれくらいあるんですか?」
背後に黒いものを背負ってにっこり笑顔で賢者が問いかけてくる。
結菜は勇者に助けてコールを目で送ったが完全無視された。ほぅ……、と勇者が美味しそうに紅茶カップを傾ける。
彼の視線は当然窓の外に向けられていた。
助けて助けて助けてと、話しかけるな話しかけるな話しかけるなという無言の応酬が繰り広げられる。
賢者が結菜に追い打ちをかけた。
「さぁ、答えてください」
「はい……」
………結菜の負けである。結菜は大人しく賢者の指示に従うことにした。
決して賢者の圧に負けたからではない……。そう決してそういうわけではないのだ……。結菜はそう思い込むことにしたのであった。
「∞、です」
「「「は………………?」」」
「だから、∞なんです‼私の魔力‼」
今までにないくらいビシリと固まる一同。
∞、∞とはなんぞや?意味はわかるが理解だけはしたくない答えに賢者と勇者は現実逃避する。
うん、仕方がないよね、と結菜は納得する。その気持ちはわからなくもなかったのだ。
そんな中、突然魔術師がぶるぶる震えてばっと顔を上げた。
「まさかこの世に魔力∞という存在がいるとは……‼あぁ神よ感謝します‼ユーナ様、聖女なんかやめてうちの宮廷魔術師塔に来ませんか⁉」
なんかとは何だ、失礼な。結菜はむっとした。実はこの魔術師、こともあろうに生粋の魔術バカであったのである。っていうか、魔法ヲタクとも言える。
宮廷魔術師達は全員がそうであることは、王宮内でも有名な話であった。
ちなみに彼はこの宮廷魔術師団の魔術師長なのだが………。結菜はそのことを知る由もなかった。
まぁ、宮廷魔術師の中では彼はノーマルなレベルなのだが気にしてはいけない。彼もまた、魔法ヲタクなのは事実であるのだが……………。
そんな彼にとって結菜は魔術師の逸材、金の卵、理想型だったのである。
そんな彼女を宮廷魔術師へと勧誘したくなるのも仕方がない。……まぁ、無理なお願いなのだが。
興奮して言う彼に、賢者が待ったをかけた。
「落ち着いてください。あー。ユーナさん、絶対にあなたが魔力∞だということはここだけの秘密にしておいてください。いいですね?」
もちろんである。
必要以上に自分の魔力について結菜は言うつもりはなかったので、こくりと頷く。
だから、そんな目で見るのだけはやめてほしい。目が笑ってない。ひぃぃぃと恐れ慄く結菜。
「なぁ、そういえばお前昨日ファイアボールを使ったことがあるって言っていたよな?火属性も持っていないのにどうして使えたんだ?」
突然、もう大丈夫そうだと判断した勇者が、ふと疑問に思ったことを結菜に聞いた。
確かに結菜は火属性を持っていない。
あの時、アルに魔法を使ってみろと言われた時、手っ取り早いからというただそれだけの理由でファイアボールを出したのを思い出す。
どうやってか、と結菜は考えた。そうだ、あの時確か自分は……。
「気合で‼」
………そう、あの時気合で無理やり出したのであった。
結菜はぐっと拳を握りながら元気よく答えた。
この後に起こったことはもう想像がつくであろう。
「あなたも天才型の魔術バカでしたか……」と眉間に寄りまくる皺をひたすら伸ばす賢者。
半ばやけを起こして無表情のままで紅茶を飲みまくる勇者。
ふぉぉぉぉう‼とガッツポーズをきめて妙なハイテンションで喜ぶ魔術師。
そんな彼らを結菜は魚が死ん……いや、達観したような生温かい目でスルーしながら見つめているのであった。
このカオスな状況を知るものは他に誰もいない。
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