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彼と彼女の過去……
第43話憧れと尊敬……
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「今日はありがと……。また連れて行ってもらえるとうれしいわ……」
「あぁ。また機会があればな」
そうして俺たちは互いの家に帰った。
俺は風呂に入り、自室でゲームでもしようかとするが、さっきの花の寂し気な声音が頭から離れなかった。
花があんなに弱弱しいことを言うのははじめてだったのでいがいだった……。
俺の知っている矢木澤花は、一人でも強く孤高でいて、誰にも頼ることもなく一人で何でもやってのけてしまう強い女の子だ……。
いつまでも強く生きている彼女に、俺は憧れを持っていた。
矢木澤花はいつまでも正しく凛々しい。
そんな近いようでいて遠いい彼女のことを尊敬していた。
彼女が現在受けている嫌がらせも、彼女にとってもは些細なことでしかないのだ……。
俺は手に取ったコントローラを床に置き、ベッドに横たわる。
意識がもうろうとしていく中、やはり花の言葉だけが頭の中に残っていた……。
「それではみなさん! いよいよ夏休みです。怪我などがないように気を付けてください」
いよいよ待ちに待った夏休みが始まろうとしていた。
この日をどれだけ待ったことか。
今日ほど一日が長く感じた日はない。
明日から夏休みというのもあってか、クラスの連中は全く教室から出ないで談笑している。
いつもなら早く帰れとイラついいたが、今日の俺は気分がいいので気長に全員が教室から出るのを待つことにしている。
全員が教室から出たのを確認したら、俺も教室から出た。
施錠をして職員室に届けるというこの作業が、もはや習慣になっている。
職員室に着くと、粕谷等の陽キャグループが職員室前で喋っている……。
何故こんなところにいるのだろうか?
こいつら頭悪そうだから補修でも受けんのか?
俺が言えないけど……。
まあ別にこいつらことなんてどうでもいいので、職員室に入り担任を呼ぶ。
担任が来るまでのほんの数十秒。
陽キャたちの会話が聞こえてきた……。
「なあ、夏どこ行く?」
「やっぱ海は外せないでしょ! 後プールと祭りも!」
「だよなー。そこら辺の定番を行ってこそ夏を満喫したって言えるよな!」
はぁ……。
聞いててため息が出そうになる。
浅い、浅すぎる。
本当に夏を満喫するなら、冷房の効いた部屋で一人自分の好きなことをやるべきだ!
まあ彼らが夏を満喫した気になっている間にも、俺は本当の夏を満喫するさ……。
俺は勝手に優越感に浸り、担任にカギを渡して下駄箱へ向かう。
下駄箱では腕を組んだ花が待っていた。
「遅い」
花は目を細めて睨んできた。
一言でこの威圧感……。
待っててくれなんて言ってないし、遅くなったのも俺のせいじゃないが、思わず土下座しそうになった。
怖いよこの人……。
「まあいいわ」
花はすでに靴を履いていたので、俺より先に歩き出す。
それを追いかけるように俺も後に続く。
ちょうど校門を抜けたぐらいの時に、花が話始める。
「優太は夏休み予定あるの?」
小首をかしげて聞いてきた。
「もちろんない! 俺の夏休みのカレンダーは、汚れ一つなく真っ白だ」
自信満々に言い切ると、花は呆れたようにこめかみを押さえる。
「そんな遠回しに友達がいないことを堂々と言わないでちょうだい……」
「おい、俺は一言も友達がいないなんて言ってないぞ? だいたい友達だからって夏休みに遊ぶとは限らんだろ」
そうだ。
上辺だけの関係なら遊びになど行かない……。
まあ上辺だけの友達もいないけど。
「そう……」
そういった花は明後日の方向を向いていた。
結局俺の予定なんて聞いてどうしたかったんだ?
そのあとは結局いつも通りの雑談をしながら家に向かった。
この夏休みを一番満喫するべく、俺は家に帰るなり自室に引き籠った。
「あぁ。また機会があればな」
そうして俺たちは互いの家に帰った。
俺は風呂に入り、自室でゲームでもしようかとするが、さっきの花の寂し気な声音が頭から離れなかった。
花があんなに弱弱しいことを言うのははじめてだったのでいがいだった……。
俺の知っている矢木澤花は、一人でも強く孤高でいて、誰にも頼ることもなく一人で何でもやってのけてしまう強い女の子だ……。
いつまでも強く生きている彼女に、俺は憧れを持っていた。
矢木澤花はいつまでも正しく凛々しい。
そんな近いようでいて遠いい彼女のことを尊敬していた。
彼女が現在受けている嫌がらせも、彼女にとってもは些細なことでしかないのだ……。
俺は手に取ったコントローラを床に置き、ベッドに横たわる。
意識がもうろうとしていく中、やはり花の言葉だけが頭の中に残っていた……。
「それではみなさん! いよいよ夏休みです。怪我などがないように気を付けてください」
いよいよ待ちに待った夏休みが始まろうとしていた。
この日をどれだけ待ったことか。
今日ほど一日が長く感じた日はない。
明日から夏休みというのもあってか、クラスの連中は全く教室から出ないで談笑している。
いつもなら早く帰れとイラついいたが、今日の俺は気分がいいので気長に全員が教室から出るのを待つことにしている。
全員が教室から出たのを確認したら、俺も教室から出た。
施錠をして職員室に届けるというこの作業が、もはや習慣になっている。
職員室に着くと、粕谷等の陽キャグループが職員室前で喋っている……。
何故こんなところにいるのだろうか?
こいつら頭悪そうだから補修でも受けんのか?
俺が言えないけど……。
まあ別にこいつらことなんてどうでもいいので、職員室に入り担任を呼ぶ。
担任が来るまでのほんの数十秒。
陽キャたちの会話が聞こえてきた……。
「なあ、夏どこ行く?」
「やっぱ海は外せないでしょ! 後プールと祭りも!」
「だよなー。そこら辺の定番を行ってこそ夏を満喫したって言えるよな!」
はぁ……。
聞いててため息が出そうになる。
浅い、浅すぎる。
本当に夏を満喫するなら、冷房の効いた部屋で一人自分の好きなことをやるべきだ!
まあ彼らが夏を満喫した気になっている間にも、俺は本当の夏を満喫するさ……。
俺は勝手に優越感に浸り、担任にカギを渡して下駄箱へ向かう。
下駄箱では腕を組んだ花が待っていた。
「遅い」
花は目を細めて睨んできた。
一言でこの威圧感……。
待っててくれなんて言ってないし、遅くなったのも俺のせいじゃないが、思わず土下座しそうになった。
怖いよこの人……。
「まあいいわ」
花はすでに靴を履いていたので、俺より先に歩き出す。
それを追いかけるように俺も後に続く。
ちょうど校門を抜けたぐらいの時に、花が話始める。
「優太は夏休み予定あるの?」
小首をかしげて聞いてきた。
「もちろんない! 俺の夏休みのカレンダーは、汚れ一つなく真っ白だ」
自信満々に言い切ると、花は呆れたようにこめかみを押さえる。
「そんな遠回しに友達がいないことを堂々と言わないでちょうだい……」
「おい、俺は一言も友達がいないなんて言ってないぞ? だいたい友達だからって夏休みに遊ぶとは限らんだろ」
そうだ。
上辺だけの関係なら遊びになど行かない……。
まあ上辺だけの友達もいないけど。
「そう……」
そういった花は明後日の方向を向いていた。
結局俺の予定なんて聞いてどうしたかったんだ?
そのあとは結局いつも通りの雑談をしながら家に向かった。
この夏休みを一番満喫するべく、俺は家に帰るなり自室に引き籠った。
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