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新しい生活とこれから……

第1話再開……

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 幼馴染――。
 俺はこの幼馴染という存在が嫌いだ……。
 よくアニメや漫画などでは、恋愛関係に発展したりするが、現実じゃそうじゃない。
 小さいころから寝食しんしょくを共にしたり、遊んだりしているのだ……。
 もはや、血のつながってない兄弟と呼んでもおかしくはない……。
 そんな兄弟のような幼馴染が、恋愛関係になどなるはずもない!
 ソースは俺。
 幼馴染なんてうざいだけ……。
 そんな関係になれる幼馴染がこの世にいるとしたら、そいつらは”運命の赤い糸”なんてもので結ばれていたのだろう……。

「お兄ちゃん起きろー!」

「げぐぅ」

 新学期早々に、妹からボディプレスを食らう俺……。

「早く! もうご飯とかできてるよ? 新学期早々遅刻とか、陰キャのお兄ちゃんにはきついでしょ?」

 実の妹に陰キャといわれてしまう……。

「何言ってんだ万葉かずは! お前は学校での俺を知らないからそんなことが言えるんだぞー? お兄ちゃん学校ではめっちゃ陽キャだから! パリピってるから!」

「はいはい、いいから早く下に降りてきてね」

 はぁ、めんどくせぇ……。
 何で新学期から、こんなに憂鬱ゆううつなんだ?
 いやでも、高校デビューとかしちゃったりして、もしかして新しい出会いとかも……。
 ってこんな妄想してる場合じゃねぇ!
 時計を見ると、もう7時40分になろうとしている。
 俺は朝食も食べずに、制服に着替えて玄関に向かう。

「行ってきまーす!」

 家を出て、自転車と電車に乗り、学校へと向かう。
 50分ぐらいして、ようやく新しい学校へ着く。

「ここが……俺の新しい学校か……」

 大きな校門を抜けて、一年生の下駄箱に向かう。
 上履きを履いて、教室へ向かい、クラスの名簿を見る。

「まあ知り合いはいないよな……」

 俺は少し遠くの学校を受験した。
 それは同じ中学校の奴と、一緒にならないためだ……
 自分で言うのは何だが、中学の頃はずっと机に伏せて、寝たふりをして過ごしていた。
 それのせいもあってか、友達すらロクにできていない。
 とまあ中学時代のことを忘れて、新しい人生を切り開くために、同じ中学の奴はいないところを受験した。
 教室に入ると、ほとんどの生徒は無言で、携帯をいじったり本を読んだりしていた……。
 あたりをきょろきょろして、周りの人間を観察する……。
 よし! ほとんどの生徒が初対面だ。
 つまり、まだグループなどは作られていなく、万年ボッチの俺にも、ついに友人ができるかもしれないということだ!
 まずは手始めに隣の奴に話しかけるか……。

「すいません、どこ中でしたか……――ッ!」
 
 思わず絶句する。
 隣に座っている、髪がこしまである黒髪の美少女は、前に転校した俺の幼馴染だった……。
 
「はい? 何ですか?」

 彼女は初対面のように振る舞うが、絶対に覚えていると思う……。

「いえ、す、すいません。なんでもないです……」

 思わず挙動不審になる。

「そうですか……。これから隣の席ですし、よろしくお願いしますね」

 そういってほほ笑む彼女だが、俺はその笑顔がとても怖かった。
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