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フィンと騎士達

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エスカが眠った後、騎士団長達の元に行った。

「フィン、エスカ殿はどうした?」
「眠りました。明日も早朝から祈りに行くと思います。」

騎士団長はそうか、と言った。

「団長、昨日も話しましたが俺はエスカと結婚します。聖女の儀までは待ちますが終わればすぐにでもするつもりです。」
「エスカ殿も了承しているんだな?」
「はい。」
「なら俺からいう事はない。結婚まではお前がエスカ殿の筆頭護衛騎士になりなさい。他の騎士は希望を募り何人かを護衛につける。」

騎士団長の言葉に、エスカを堂々と守ることができると安心した。

「フィン、よかったな!」
「あのフィンが結婚か、おめでとう!」

ルディや他の騎士達も喜び、皆が祝いの言葉をくれた。

「しかし、あの堅物のフィンがいきなり結婚とはな。」

騎士団長がしみじみ言った。

「俺は堅物じゃありませんよ。」

エレナ達のような人間が嫌いだっただけなんだけどな。と思った。

「それにしても、このような家を用意されているとは、いくら聖女とわからなかったにしてもあまりに酷いな。」
「それでもエスカは不満一つ言わず、楽しそうに家を直してました。さすがに風呂は村の方に頼みましたが。」

フィンが話していると、ルディが突っ込んできた。

「団長、こいつエスカの水浴びを覗いたんですよ。」

団長がなんだと、と睨んだ。

「違う!あれは不慮の事故だ!」

俺達の会話に皆が大笑いした。

「そういえば、明日祈りが終わってからでいいのでエスカの風呂に入れさせて下さい。」
「勿論構わないが、」
「俺が一緒に入るわけにいかないので、村の方にお願いしたいのですが、構いませんか?」

水浴びのことを思いだし、少し赤くなったまま話した。

「そういう事なら祈りの時間に呼びに行こう。他に希望はないか?」

希望?そうだな、村を離れるから…

「朝食に村の焼きたてのパンをお願いします。エスカは気にいってました。」
「では手配しよう。」

団長の言葉に、これでエスカが喜んでくれるといいが、と思いエスカの元へ行こうとした。

「フィン、結婚おめでとう。」

団長は一言言ってくれた。

「ありがとうございます。必ず大事にします。」

団長や皆に頭を下げた。

部屋に戻るとエスカはすぅすぅと寝ており、可愛いくて仕方がなかった。

もう辛い思いはさせない。と誓った。

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