伯爵令嬢は狙われている

マルクの出会い

マルクは学校に真面目に通っていた。
死竜のシードを欠片とはいえ勝手に持ち出した事に対し、謹慎処分の代わりにしばらく真面目に学校に通うように通達を受けたからだった。

マルクは、死竜の許可は得たんだから、管理官の許可なんてどうでもいいだろうと思っていた。

マルクは授業をサボり裏庭の木陰で昼寝をしようとしていた。
その時、微かに人のうめき声がした。
「…うっ…」
(誰かいるのか？)
マルクは起き上がり声のする方へ行った。
そこには、苦しそうにうずくまっている女の子がいた。
「大丈夫ですか？」
マルクが声をかけると、振り向いた女の子は青ざめていた。
「…大丈夫です。少し休んだら治りますから。」
マルクは、眉間にシワを寄せた。
(少し禍々しいものを感じるな。)
「もしかして、魔法か何かかかっていますか？」
「…なんでもないんです。」
「俺の光のシードを当てると少し楽になるかもしれません。」
マルクは、そう言うと女の子に近づき手を握った。
マルクから光が出ると、女の子はハッとしてマルクの手を払い、立ち上がった。
「やめてください！なんでもありませんから！」
女の子はそう言うと走り去って行った。
「…なんだ、元気じゃないですか。」
マルクは呆然と女の子の走り去る姿を見ていた。

女の子はマルクから離れ、自分の体が楽になった事に気付いた。
「今のは光のシード。魔を払うんだわ。でも…」
女の子は何故か一人泣いていた。