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死竜の結界の中
しおりを挟むリアが目を醒ますと、そこは豪華な部屋のベッドだった。
(私どうして…、確か飲み物を飲んで…)
ドリンクを飲んだ後の記憶がなく、リアは困惑していた。
リアはベッドから出ようとするとふらつき、床にガタッと倒れた。
(足に力が入らない、何で!?)
すると、音を聞き付けたのか、ドアが開くと、そこには、アッシュとローラがいた。
リアはゾッとした。
以前にまし、アッシュはリアを蛇のように見つめた。
「ちょっと!私をさっさと帰してよ!
欲しいのは、その子でしょ!大体どうやって私を連れて来たのよ!?」
「ローラ様?」
リアはローラの発言に戸惑っていた。
リアはドリンクを飲んでから意識がなく、ローラのした事がわからず、ローラ自身も操られていた事に気付いてなかった。
「もう、お前には用はない、さっさと出ていけ。」
「ローラ様!」
アッシュはそう言うと、ローラを部屋から吹き飛ばし、ローラは悲鳴と共に廊下に押し出された。
「ここなら、あの忌々しい、風のやつは来ない。」
「クライスは来るわ!」
「王子という身分に引かれたか?贅沢したいなら、俺がさせてやる。お前はずっとここにいるのだ。」
「何を言っているの?」
「お前は俺と共にここで暮らすのだ。不満か?」
「嫌に決まっているでしょ!」
リアはクラクラしながらも必死でアッシュを睨み付けた。
「どうせこの部屋からは出られん。死竜のシードの欠片を部屋に配置してある。力も入らんだろう。」
アッシュはリアに近づき、抱き抱えた。
「触らないで、離して!」
リアのシードのせいか、魔法でアッシュは弾かれ、リアはベッドに落ちた。
「…、どうせ何日も居れば、すぐに前の男の事なんか忘れる。」
アッシュはそう言い残し出ていった。
(ここにいると何をされるかわからない!?早く逃げないと!)
リアはどうするべきか考えていた。
ふと下を見ると自分の指輪に目が止まり、クライスの事を思い出した。
(そう言えば、死竜のシードが配置してあるって言ってた。光のシードの時みたいにここは、死竜の空間なのかも。)
リアは考えている最中もクラッときて、ベッドに倒れた。
長くここには居られないと悟っていた。
城では、クライス達が血眼になり、リア達の行方を探していた。
だが、死竜の結界の中にいるせいか、リアを探知する事は出来なかった。
コーデリア侯爵の邸では騎士団による家宅捜査が行われていたが、未だに手掛かりはなかった。
「ロイドさん、ローラ嬢や怪しい店主の事で何か思い出せる事はないんですか?」
マルクは少しでも手掛かりを見つけようと、ロイドを問いただした。
「フードを深くかぶり容姿もよくわからなくて、」
その時、ロイドは薬師の証明書の事を思い出した。
すぐにマルクに伝えると、マルクは調べに飛び出して行った。
クライスは殺気立っているのがわかり、周りはマルク以外近付けなかった。
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