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第2王位継承者 2
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「次の王位継承者を聞きたいそうですね。理由は?」
「……クリストファーは何故俺達を招いた?」
「興味があるからです。シグルドと恐らく意見は合うと思いますが、今の王に不満があります。あのショーンにも…」
「処刑はどうだった?」
「反対です…私の家は王都ではありませんから、処刑を知って急いでこちらに来たのです。」
俺達に敵意がないのは、クリストファーの雰囲気からわかる。
しかし、どこか威厳はあるが、穏やかな笑顔は崩さない。
「シグルド、王位継承者に何の用ですか?説明をして下さい。」
「…城を落とすつもりだ。ショーンを殺せば気は済むが、その後のことが少し気になる。俺は国を乗っ取るつもりはないから、国を収める者を探している…」
そう話すと、ティナとヴィルヘルムは静かにクリストファーの返答を待っていた。
お茶の音も立てず、聞き逃さないように…。
「ショーンの次の継承者は私です。私はショーンの従兄弟に当たります。今は王候公爵になりますが…」
クリストファーが、ショーンの従兄弟というのに驚きはあるが、どこか落ち着いていることに、器がショーンと違っているように見えた。
「お、王子様!?」
ティナが一番驚いていた。
ヴィルヘルムは、そうでしたか。といつもと変わらない。
「本当か…?ショーンとはどんな仲良だ?」
そう聞くと、クリストファーは片肘をついて、にこりとした。
「私がどう見えますか?」
「意味がわからん」
「中々の外見でしょう?」
「すっごく素敵ですよ。お菓子も美味しいです」
「ありがとうございます。ティナ」
ティナがクリストファーに素敵と言ったのに、イラッと来たが菓子のことしか頭になさそうで、少し黙っていて欲しいと思った。
「ティナは菓子を食べててくれ。俺のもやるから…」
「シグルド…美味しいのに食べないと損ですよ」
「いいから、食べてなさい」
思わず、親のように言ってしまった。
「シグルド、私はこの外見で人気もあります。おまけに頭もほどよく、剣術に馬術、弓術も得意です」
クリストファーはどうやら、何をやらせても完璧と言わんばかりに自信ありげに話し出した。
「ですから、ショーンは私を妬んでいまして、私を辺境に追いやったのですよ。この邸は王都に来た時に滞在する別邸です。王はショーンを甘やかし、私と比べられることが可哀想だったみたいですよ」
クリストファーが王都に来たのは、勇者を処刑したことを知り、何かあると思ったらしい。
王は伏せっており、ショーンの我が儘が独裁政治になることを恐れ、そして取り巻きにいいように使われることを防ぎたかったと話した。
「ショーンは勇者シグルドが来ることに怯えているのか、今は誰とも会いません。私も困ってまして…悪い膿を出したいのですがね」
そして、一呼吸置くようにクリストファーは紅茶を飲んだ。
「シグルド様…チャンスです。クリストファーに後を任せましょう」
ヴィルヘルムは、クリストファーに警戒はなくそう言った。
「クリストファー、俺は城を落とすぞ。いいのか?協力できるのか?」
「どこまで協力できるかは、話次第です。しかし、邪魔はしません。」
「邪魔をしなければそれでいい。」
「では、シグルドの話を教えて下さい。」
クリストファーはショーンではなく、いつか自分が王位につこうと考えていたようだ。
今のショーンでは国を任せられないと考えており、機会をずっと狙っていたように見える。
そして、ショーンとは違う非情さもある。
悪い膿を出すなら、俺を咎めることもしないだろう。
ヴィルヘルムは、クリストファーが使えないなら吸血して、言うことを聞かせると考えている。
そして、このアフタヌーンティーの並べられている穏やかなサロンで計画を説明した。
「……クリストファーは何故俺達を招いた?」
「興味があるからです。シグルドと恐らく意見は合うと思いますが、今の王に不満があります。あのショーンにも…」
「処刑はどうだった?」
「反対です…私の家は王都ではありませんから、処刑を知って急いでこちらに来たのです。」
俺達に敵意がないのは、クリストファーの雰囲気からわかる。
しかし、どこか威厳はあるが、穏やかな笑顔は崩さない。
「シグルド、王位継承者に何の用ですか?説明をして下さい。」
「…城を落とすつもりだ。ショーンを殺せば気は済むが、その後のことが少し気になる。俺は国を乗っ取るつもりはないから、国を収める者を探している…」
そう話すと、ティナとヴィルヘルムは静かにクリストファーの返答を待っていた。
お茶の音も立てず、聞き逃さないように…。
「ショーンの次の継承者は私です。私はショーンの従兄弟に当たります。今は王候公爵になりますが…」
クリストファーが、ショーンの従兄弟というのに驚きはあるが、どこか落ち着いていることに、器がショーンと違っているように見えた。
「お、王子様!?」
ティナが一番驚いていた。
ヴィルヘルムは、そうでしたか。といつもと変わらない。
「本当か…?ショーンとはどんな仲良だ?」
そう聞くと、クリストファーは片肘をついて、にこりとした。
「私がどう見えますか?」
「意味がわからん」
「中々の外見でしょう?」
「すっごく素敵ですよ。お菓子も美味しいです」
「ありがとうございます。ティナ」
ティナがクリストファーに素敵と言ったのに、イラッと来たが菓子のことしか頭になさそうで、少し黙っていて欲しいと思った。
「ティナは菓子を食べててくれ。俺のもやるから…」
「シグルド…美味しいのに食べないと損ですよ」
「いいから、食べてなさい」
思わず、親のように言ってしまった。
「シグルド、私はこの外見で人気もあります。おまけに頭もほどよく、剣術に馬術、弓術も得意です」
クリストファーはどうやら、何をやらせても完璧と言わんばかりに自信ありげに話し出した。
「ですから、ショーンは私を妬んでいまして、私を辺境に追いやったのですよ。この邸は王都に来た時に滞在する別邸です。王はショーンを甘やかし、私と比べられることが可哀想だったみたいですよ」
クリストファーが王都に来たのは、勇者を処刑したことを知り、何かあると思ったらしい。
王は伏せっており、ショーンの我が儘が独裁政治になることを恐れ、そして取り巻きにいいように使われることを防ぎたかったと話した。
「ショーンは勇者シグルドが来ることに怯えているのか、今は誰とも会いません。私も困ってまして…悪い膿を出したいのですがね」
そして、一呼吸置くようにクリストファーは紅茶を飲んだ。
「シグルド様…チャンスです。クリストファーに後を任せましょう」
ヴィルヘルムは、クリストファーに警戒はなくそう言った。
「クリストファー、俺は城を落とすぞ。いいのか?協力できるのか?」
「どこまで協力できるかは、話次第です。しかし、邪魔はしません。」
「邪魔をしなければそれでいい。」
「では、シグルドの話を教えて下さい。」
クリストファーはショーンではなく、いつか自分が王位につこうと考えていたようだ。
今のショーンでは国を任せられないと考えており、機会をずっと狙っていたように見える。
そして、ショーンとは違う非情さもある。
悪い膿を出すなら、俺を咎めることもしないだろう。
ヴィルヘルムは、クリストファーが使えないなら吸血して、言うことを聞かせると考えている。
そして、このアフタヌーンティーの並べられている穏やかなサロンで計画を説明した。
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