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朝食

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夜会の後はバリィ公爵の邸を乗っ取った為に、この邸で一晩を明かした。

ティナは不審がっていたが、バリィ公爵に書類にサインさせた為、いずれ正式にバリィ公爵のものではなくなる。

書類には、エンディスの国に寄付する胸が記されていたのだから。

「本当に私が朝食を作らなくて良かったのですか?」
「料理人がいるから、階下には降りるなよ」

階下には、メイド数人に料理人を一人を残している。
朝食はメイドが運んでくれて、貴族が食べるような朝食が並べられた。

「本当はメイドが運ぶことはないですけどねぇ。給仕は下僕の仕事ですよ」

ヴィルヘルムは貴族のような生活をしていたからか、そういうことに詳しい。

「メイドが給仕に来るなんて、中流以下の貴族ですよ。普通なら執事が嫌がります」
「ヴィルヘルムさんは詳しいですね」
「当然です…不死王様に仕えていましたから」
「父親はこんな生活をしていたのか?」
「いえ全く。堅苦しいのは嫌っていました」

こんな生活が嫌で家出していたんじゃないのか。
俺だってこんな堅苦しいのは嫌だ。

「シグルド!凄く美味しいです!」
「良かったな」

ティナは早速料理に満足だった。

「ヴィルヘルム、エンディスを落とした後に誰か国を納めてくれる奴に心当たりはないか?」

朝食がある程度進み、紅茶を飲みながらヴィルヘルムに聞いてみた。

「知りません。人間の国に興味はないですからねぇ、王位継承順に任せればよいのでは?」
「ショーンの次は誰だ?」
「知りませんよ」

今まで王族に興味も次の王に期待することもなかったから、気にしたこともなかったがショーンを殺せば次は誰になるのか気になってきた。

第2、3の王位継承者もショーンのような奴なら渡したくない。

「ティナはショーンの次は誰か知っているか?」

果物を綺麗にナイフとフォークで食べながら、ティナは思い出していた。

「よくわかりませんが…食堂の仕事をしている時は噂で、ショーン王子と仲が悪かったと耳にしたことがあります」
「仲が悪いのか?」
「ショーン王子の従兄弟はイケメンらしいですよ。ショーン王子は気に入らなかったみたいですね。あくまでも噂ですけど。」
「あいつは妬み屋だからな」

ショーンと仲が悪いなら希望はあるかもしれない

「誰かわかるか?」
「さぁ…クリストファー様に聞いてみましょうか?今度お邸でお菓子を食べさせてくれるみたいですし」
「菓子につられるんじゃない!俺がいるだろうが!」

ティナから目を離すとすぐに菓子につられて、別の男の所に行ってしまいそうだ。

「…じゃあ、シグルドも行きましょうよ。一緒にって言われたじゃないですか?公爵様のお邸らしいのできっと次の王位継承者も知ってますよ」

ティナは、そう言いながらメイドに、紅茶のおかわりを頼んでいた。

「ミルクたっぷりでお願いします」

ティナは意外と神経が太く見える。

「ティナはシグルド様とクリストファーという男とどちらが好みですか?」
「ヴィルヘルムさん…危険なことを言わないで下さい。シグルドに火がついたらどうするんですか?」

ティナを見るとほんのり頬を染めて紅茶を飲みながら俺を見ていた。

目が合うと、プイッとそっぽ向かれてしまった。

昨日無理やり唇を奪ってしまったことを気にしているらしい。

「…今日行って大丈夫なのか?」
「クリストファー様はいつでもと言われましたし…お邸の場所もちゃんと聞いてますよ」
「では、食べたら行くぞ」
「はい、きっと美味しいお菓子が待ってますよ」

ティナは、楽しみなようでフフフと笑顔で残りの紅茶を飲み干した。



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