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掌握 4
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トラヴィスを部屋に転がしたまま、廊下に出ると、案内して来たメイドがいない。
ぐるりと廊下を見渡すと、外から扉の開いた音を聞き逃すことはなかった。
「…廊下に立ってろ、と言ったのに…」
俺が恐ろしくて逃げるのか、殺される心当たりがあるのか…どちらにせよ見逃す気はなかった。
そのまま二階の窓をぶち破り走り去ろうとしていたメイドの前に飛び出るように降り立った。
「…っひ…!」
「俺は立っていろ、と言ったぞ。ここは廊下か?」
メイドは震える足を止め、怯えながら睨んだ。
「…ひ、人殺しっ!すぐにバリィ公爵様の私兵が来るわっ!あんたなんか処刑されたままで良かったのよっ!」
「…処刑に賛同したんだな…」
このメイドも、バリィの味方だ。
処刑にも賛同し、署名をしたんだろう。
バリィへ忠誠を誓っているなら、やはり見逃せない。
「バリィの邸の警備が来ないことに不審はなかったのか?もう私兵は来ないぞ」
「………っ!!」
この邸に来る前にヴィルヘルムとバリィ公爵の敷地内にある私兵の詰所はすでに抑えていた。
詰所の中は死体しかない。
バリィの私兵ということで街では評判も悪く、横柄な態度だったと調べはついていた。
処刑される前にも、あまりの街人への態度に俺と揉めたこともあった。
バリィの私兵というだけでどれほど偉いのか。
そんな私兵に助けを求めてどうなる。
そしてそのまま、トラヴィスと同じようにメイドの心臓も貫いた。
地面に倒れたメイドを見ると、トラヴィスで試そうと思っていたネクロマンサーの力を試そうと考えた。
力の使い方を教えてもらったわけではないが、何となくわかる。
ネクロマンサーの能力も魔力がいるはずだ。
魔力を集中して、操り糸を繋ぐイメージでメイドの死体を動かそうとした。
案の定使い方に間違いはなく、メイドは起き上がった。
ヴィルヘルムの言うとおり、俺にはネクロマンサーの能力があった。
父親からの能力の譲渡は間違いなく行われていた。
ぐるりと廊下を見渡すと、外から扉の開いた音を聞き逃すことはなかった。
「…廊下に立ってろ、と言ったのに…」
俺が恐ろしくて逃げるのか、殺される心当たりがあるのか…どちらにせよ見逃す気はなかった。
そのまま二階の窓をぶち破り走り去ろうとしていたメイドの前に飛び出るように降り立った。
「…っひ…!」
「俺は立っていろ、と言ったぞ。ここは廊下か?」
メイドは震える足を止め、怯えながら睨んだ。
「…ひ、人殺しっ!すぐにバリィ公爵様の私兵が来るわっ!あんたなんか処刑されたままで良かったのよっ!」
「…処刑に賛同したんだな…」
このメイドも、バリィの味方だ。
処刑にも賛同し、署名をしたんだろう。
バリィへ忠誠を誓っているなら、やはり見逃せない。
「バリィの邸の警備が来ないことに不審はなかったのか?もう私兵は来ないぞ」
「………っ!!」
この邸に来る前にヴィルヘルムとバリィ公爵の敷地内にある私兵の詰所はすでに抑えていた。
詰所の中は死体しかない。
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処刑される前にも、あまりの街人への態度に俺と揉めたこともあった。
バリィの私兵というだけでどれほど偉いのか。
そんな私兵に助けを求めてどうなる。
そしてそのまま、トラヴィスと同じようにメイドの心臓も貫いた。
地面に倒れたメイドを見ると、トラヴィスで試そうと思っていたネクロマンサーの力を試そうと考えた。
力の使い方を教えてもらったわけではないが、何となくわかる。
ネクロマンサーの能力も魔力がいるはずだ。
魔力を集中して、操り糸を繋ぐイメージでメイドの死体を動かそうとした。
案の定使い方に間違いはなく、メイドは起き上がった。
ヴィルヘルムの言うとおり、俺にはネクロマンサーの能力があった。
父親からの能力の譲渡は間違いなく行われていた。
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