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誤解は解ける

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「イーディス、どうして眠り魔法を自分に使ったのだ。全て話してくれるか。」
「言わないとダメですか?」
「心配したのだ…」

イーディスは涙を拭きながら俺の顔を見た。
涙が止まったと思えば、今度は呆然としている。

「あの、ユリウス様。…顔を変えたのですか?」
「顔は変わらないだろう。」
「いつもと違います。」
「いつもとは?いつも会ってくれなかっただろう。」
「実は幽体離脱してました。」
「は?」
「ですから、ユリウス様から逃げるのに、眠り魔法をかけ、眠っている間、幽体離脱して、ずっと見てました。」

どこを突っ込むか、悩んだ。
何故幽体離脱するんだ。
しかも逃げていた。
やはり、嫌われていたのか。

「約束を忘れていたのか?」
「ユリウス様とは何の約束もしてません。…でも、今何となく気付きました。あの時の黒髪の方はユリウス様だったのですね。」

髪の色だけで判断していたのか。
脱力しそうだ。

「それは、今まで気付いてなかったのか?ちゃんと名乗っただろう。」
「そ、それがですね。名前を聞く前に意識がなかったというか…」
「だからといって、何故俺を避ける。」
「黒髪の彼を待ちたかったのと、ユリウス様はいつも女性と一緒でしたから。」
「あれは、魔力の中和の為にいたのだ。」
「でも、女が好きと噂を聞きました!」
「…勘違いだ。」

イーディスは、婚約を申し込みに来た時と違いおとなしかった。

「二十歳で迎えに来ると行ったのに、何故19歳で来たのですか?」
「二十歳で結婚するのだから、19歳で婚約をしないといけないだろう。結婚が嫌なのか?」
「嫌ではありません。幽体離脱している私にユリウス様は一生懸命でした。きちんと話を聞くべきだと後悔してました。」
「では、改めて婚約を申し込むよ。」

イーディスの涙を拭き取り、彼女の目を見た。

「結婚してくれ。」
「はい。」

絡ませていた手をほどき、イーディスを抱きしめながら、ゆっくりキスをしていた。





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感想 6

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みんなの感想(6件)

Tomokodx
2023.04.06 Tomokodx

ヒロイン可愛くて好きですねー
ゆるい設定とか全然歓迎です

屋月 トム伽
2023.04.06 屋月 トム伽

ありがとうございます。
本当に初期の思いつきと勢いだけで書いたもので、お恥ずかしい💦

解除
ゆまーま
2022.04.29 ゆまーま

急に、さっと終わった、、、
まだまだ、光魔法のいろんな女の人が嫌がらせしたり、それで大きく勘違いしたり、、、ドタバタ劇がありそうな気もする!、、、、
が、
そんな話は多いので、
誤解が溶けてすんなりハッピーエンドっていうのもストレスなくて楽に読めてよかった。

ちょっと番外編で光属性の女達が仕掛けてきて、ちょっといざこざあって、女の人を無神経にいつも一緒に伴わせてごめんなさいと反省させるって話もお暇なときにでも書いていただけると嬉しいです。

基本は優しいし真面目なので、女性を伴うのは一応婚約までってことにはしていたみたいだけど、、、ちょっと甘い。
もし、名前を覚えていたらすっごくつらい思いをさせるとどうして気づかない?
覚えてなくて良かったよ。
そこらへんを反省してもらいたいな〜
長くなりましたが、、、サラッと読めてよかったです。

屋月 トム伽
2022.04.29 屋月 トム伽

お読みくださりありがとうございます!
初期の、しかも勢いだけで書いた作品ですので、ひねりも何もないです。

いつか、いつか書き直すんだ! やれば出来る!! と思いながら今に至ります。
そんな作品ですが、読んでくださり本当に嬉しいです(*/ω\*)



解除
mk716
2020.11.20 mk716

なんというか、、、
ゆるい設定とはこういうことかと思ってしまいました

中和のためといっても
婚約の約束をしている女性がいて、
本人もそれを心待ちにし、いざ婚約の挨拶の段階になっても(光属性の強い)女性を伴って婚約者の家まで来るというのが、、、

全体的に不誠実ですね、とても
ほんとにハッピーエンドなのかな?と疑問です
いま連載中のルーナちゃんたちのお話が可愛かっただけになんとも消化不良です

解除

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