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第二章
番外編 クレイグ 前編
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ディアナがアクスウィス公爵領にいくと言って、数日経っていた。
行く前に持って来てくれた菓子はもうすでに食べてしまいなくなっている。それが、少しもの淋しいと感じていた。
あんなことをしでかした私を恨む様子もないディアナ。その私に菓子まで手作りしてくることに驚いたが、不思議と嫌ではなかった。これが他の女性なら、食べることさえしなかっただろうと、今でも思う。
そして、いつものように窓辺に座り本を読んでいると、今日は来客があった。
やって来たのは、母上だった。
驚いた。ここに幽閉されてから、一度も来なかった母上がやって来たのだ。
「……クレイグ。調子をどうです? 何か不便はないですか?」
お付きの侍女たちを部屋の外に置いて、一人で部屋へと来た母上は、遠慮がちにそう言って来た。
「……なにも」
「そう……座っても?」
「どうぞ」
ゆっくりと座る母上に一体なにをしに来たのだと、不思議に思う。
そう思っていると、母上は両手を揃えて頭を下げた。初めて見る母上に驚くと同時に不愉快なものを感じる。
「クレイグ……あなたに謝ります。私は母親として失格です」
「だが、母上は民に愛されている……私に謝罪などいりませんよ」
立派な王妃。国を乱さず傍らで陛下を支える姿は誰もが憧れる王妃だった。
「ですが、私があの時に占い師など呼ばなければ……」
母上が過去を悔いているのはわかる。子どもを思うと、そう考えることも理解できる。
でも、私が気にしているのは……。
「……母上。あの時占い師が予言しなくても、いずれアスランが王になることは変わりませんよ。私にはその資質も才能もない。ヴェレス王国の王は代々騎士ですよ。この騎士の国で、騎士にもなれない王子が王位について民がついてくるとお思いですか? そんなことあり得ませんよ」
悲しげな表情で、母上は静かに聞いている。
「この際だから、少しだけ言いますけど……私は、アスランを僻んでもいないし王位にも興味はありませんよ」
「でしたら何故あんなことを……」
「……母上、私への謝罪も止めていただきたい。謝罪するということは、私が王位につけないことを僻んでいると母上が思っているということですよ。それはアスランが王位につくことを私に対して申し訳なく思っているということですけど、陛下の後継ぎは必要です。ですから、私に謝罪する必要はないんですよ」
実直な陛下に誠実な王妃。母上には、到底私の複雑な気持ちなど理解できない。
これが他人なら、優しく話を聞き、自分を気にしてくれる人。その上、力になろうとしてくれる救いに見えただろうけど、私は違う。
私は、この王妃の息子なのだ。
「母上も、私が騎士にもなれなかったことを恥じているんですよ。陛下みたいにハッキリとは言わないでしょうけど……そう思っているから、謝罪したりと私に申し訳なく思うんです」
母上は、気付いてない。第一殿下が騎士になれなかったことを恥じていると。もしかしたら、あの大怪我のせいで、そう思えなくなったのかもしれない。そのせいで、騎士になるという選択肢を塞いだと同時に、恥じているという気持ちも一緒に塞いだのかもしれない。
実際に、私はもう剣を振るうほどの腕の力はない。どうあがいたって、騎士にはなれない。
幼い頃は、将来騎士にならなければと思っていた。怠けることも許されず、それどころか遊ぶ暇すら私にはなかった。努力をしないと才能のない私は、すぐにアスランに追いつかれるどころか追い抜かれるからだ。
それほど、アスランは才能に溢れており優秀だったのだ。
そして、あの大怪我を負った時に気づいた。私には騎士の才能も何もないのだと……。
父上である陛下の期待には応えられないし、陛下は私を恥じるだけでなんの期待もしてなかったのだとも気づいてしまった。
その時、私は今まで何をやっていたのだろうと虚無感が身体を巡った。それと同時に言いようのない濁った感情が自分に淀っていた。
その反面、魔法は性に合っていた。体力のない私には、書物に囲まれていることが苦痛ではなかった。それどころか安心ですらあった。
でも、あの淀っている感情は消えない。その時だけの関係を誰と過ごしても、誰にも癒されることはなかった。
それもそのはず。誰も私を理解することはできないし、私にぽっかりと心に空いた穴があるなどそれこそ誰も気づかないのだから。
王族というだけで、苦労なく贅沢をして、何でもできて当然と思われているのだ。家族だから、言わなくても悩んでいることがわかり、そのための対処も出来ているのが当然と思われている。王族だからといって千里眼でも持っている万能人間ではないのに……。
だから、友人も恋人も作らなかった。家族愛に期待などもっての外だった。
冷めた目で話す私に、母上は戸惑っている。
「クレイグ……私にはあなたが理解できないの。でも、あなたの力にはなりたいの……どうか、私にできることを言ってちょうだい」
切ない思いなのか、悲しげな表情の母上を見ると、藁にも縋る思いでディアナを私に寄越したのだろうと察した。
でも、そのディアナはフィルベルドのもの。フィルベルドと領地に帰り、その間に私が良からぬことをしないか、もしかしたら寂しがっているとさえ思っていたのかもしれない。
誰からも必要とされた人生の母上には、ディアナの代わりなどできないのに。
「私を理解する必要はありませんよ。誰も私のことなどわかりませんから……ですが、お願いはあります。母上なら、叶えられることです」
「本当に……何でも言ってちょうだい……!」
嬉しそうな母上に、思えば今まで何もねだったことなどないと気付く。自分の子どもに甘えられないことが母上なりに寂しかったのだろうか……。
温かい家族ではないのに。それが、何故か滑稽に思えてフッと笑みが零れた。
「クレイグ……? どうしたのですか?」
意味のわからない母上は、不思議そうに私を見ている。
「なんでもありませんよ……お願いは、私を国から出して欲しいということです。この国にはなんの未練もありませんしね……もう王族ではないのですから、国を出ても問題はないはずですよ。ヴェレス王国に引き留めるのはおやめください」
「どうして……やはり私では話相手にはなれないの……」
目頭を抑えて涙を止めるように、それでいて絞り出すように母上はそう言った。
「親子だからこそ言えないこともありますよ……それに、家族愛はアスランに期待してください。あれは、きっと子が出来れば、家族の時間を何としても作ると思いますよ。今までの慣例も変えていくでしょうね……それでも、王族の子が騎士になることは辞めないと思いますから、心配することはないでしょう……」
「私たちだって、家族の時間はあったわ……」
「ええ……お茶もいただきましたね……決められた予定ですよ」
王族なんてそんなもの。貴族ともまた違うのだ。管理された予定通りに動くだけ。
王族は、国を守るために、尽力しなければならない。自分たちを優先させれば、王族なのに甘えるなと囁かれ、国を優先させれば、子どものこともわからない脳無しと囁かれる。
誰も彼もが、幼い頃からそんなことを理解しているわけではないし、強靭な精神力がないと、国を乱さず治めることはできないのに。
母上を見ると、ハンカチを出してそっと目尻を拭く。不思議と直視できずに目を反らした。
「どこに行きたいのですか……」
「ゼノンリード王国に行こうと思います。あそこは魔法に優れていますから……」
「……わかりました。ですが、兄上に手紙は書きます。せめて、住む邸ぐらいは準備させてちょうだい。私は、母親なの……」
「お好きに……」
そう返事をすると、母上は静かに席を立ち塔を去った。
このヴェレス王国にいる理由など、もう何一つない。私の居場所など、どこにもないのだから。ただ憐れまれて、母上やアスランの庇護のもとで、この国で暮らすなど真っ平だった。
行く前に持って来てくれた菓子はもうすでに食べてしまいなくなっている。それが、少しもの淋しいと感じていた。
あんなことをしでかした私を恨む様子もないディアナ。その私に菓子まで手作りしてくることに驚いたが、不思議と嫌ではなかった。これが他の女性なら、食べることさえしなかっただろうと、今でも思う。
そして、いつものように窓辺に座り本を読んでいると、今日は来客があった。
やって来たのは、母上だった。
驚いた。ここに幽閉されてから、一度も来なかった母上がやって来たのだ。
「……クレイグ。調子をどうです? 何か不便はないですか?」
お付きの侍女たちを部屋の外に置いて、一人で部屋へと来た母上は、遠慮がちにそう言って来た。
「……なにも」
「そう……座っても?」
「どうぞ」
ゆっくりと座る母上に一体なにをしに来たのだと、不思議に思う。
そう思っていると、母上は両手を揃えて頭を下げた。初めて見る母上に驚くと同時に不愉快なものを感じる。
「クレイグ……あなたに謝ります。私は母親として失格です」
「だが、母上は民に愛されている……私に謝罪などいりませんよ」
立派な王妃。国を乱さず傍らで陛下を支える姿は誰もが憧れる王妃だった。
「ですが、私があの時に占い師など呼ばなければ……」
母上が過去を悔いているのはわかる。子どもを思うと、そう考えることも理解できる。
でも、私が気にしているのは……。
「……母上。あの時占い師が予言しなくても、いずれアスランが王になることは変わりませんよ。私にはその資質も才能もない。ヴェレス王国の王は代々騎士ですよ。この騎士の国で、騎士にもなれない王子が王位について民がついてくるとお思いですか? そんなことあり得ませんよ」
悲しげな表情で、母上は静かに聞いている。
「この際だから、少しだけ言いますけど……私は、アスランを僻んでもいないし王位にも興味はありませんよ」
「でしたら何故あんなことを……」
「……母上、私への謝罪も止めていただきたい。謝罪するということは、私が王位につけないことを僻んでいると母上が思っているということですよ。それはアスランが王位につくことを私に対して申し訳なく思っているということですけど、陛下の後継ぎは必要です。ですから、私に謝罪する必要はないんですよ」
実直な陛下に誠実な王妃。母上には、到底私の複雑な気持ちなど理解できない。
これが他人なら、優しく話を聞き、自分を気にしてくれる人。その上、力になろうとしてくれる救いに見えただろうけど、私は違う。
私は、この王妃の息子なのだ。
「母上も、私が騎士にもなれなかったことを恥じているんですよ。陛下みたいにハッキリとは言わないでしょうけど……そう思っているから、謝罪したりと私に申し訳なく思うんです」
母上は、気付いてない。第一殿下が騎士になれなかったことを恥じていると。もしかしたら、あの大怪我のせいで、そう思えなくなったのかもしれない。そのせいで、騎士になるという選択肢を塞いだと同時に、恥じているという気持ちも一緒に塞いだのかもしれない。
実際に、私はもう剣を振るうほどの腕の力はない。どうあがいたって、騎士にはなれない。
幼い頃は、将来騎士にならなければと思っていた。怠けることも許されず、それどころか遊ぶ暇すら私にはなかった。努力をしないと才能のない私は、すぐにアスランに追いつかれるどころか追い抜かれるからだ。
それほど、アスランは才能に溢れており優秀だったのだ。
そして、あの大怪我を負った時に気づいた。私には騎士の才能も何もないのだと……。
父上である陛下の期待には応えられないし、陛下は私を恥じるだけでなんの期待もしてなかったのだとも気づいてしまった。
その時、私は今まで何をやっていたのだろうと虚無感が身体を巡った。それと同時に言いようのない濁った感情が自分に淀っていた。
その反面、魔法は性に合っていた。体力のない私には、書物に囲まれていることが苦痛ではなかった。それどころか安心ですらあった。
でも、あの淀っている感情は消えない。その時だけの関係を誰と過ごしても、誰にも癒されることはなかった。
それもそのはず。誰も私を理解することはできないし、私にぽっかりと心に空いた穴があるなどそれこそ誰も気づかないのだから。
王族というだけで、苦労なく贅沢をして、何でもできて当然と思われているのだ。家族だから、言わなくても悩んでいることがわかり、そのための対処も出来ているのが当然と思われている。王族だからといって千里眼でも持っている万能人間ではないのに……。
だから、友人も恋人も作らなかった。家族愛に期待などもっての外だった。
冷めた目で話す私に、母上は戸惑っている。
「クレイグ……私にはあなたが理解できないの。でも、あなたの力にはなりたいの……どうか、私にできることを言ってちょうだい」
切ない思いなのか、悲しげな表情の母上を見ると、藁にも縋る思いでディアナを私に寄越したのだろうと察した。
でも、そのディアナはフィルベルドのもの。フィルベルドと領地に帰り、その間に私が良からぬことをしないか、もしかしたら寂しがっているとさえ思っていたのかもしれない。
誰からも必要とされた人生の母上には、ディアナの代わりなどできないのに。
「私を理解する必要はありませんよ。誰も私のことなどわかりませんから……ですが、お願いはあります。母上なら、叶えられることです」
「本当に……何でも言ってちょうだい……!」
嬉しそうな母上に、思えば今まで何もねだったことなどないと気付く。自分の子どもに甘えられないことが母上なりに寂しかったのだろうか……。
温かい家族ではないのに。それが、何故か滑稽に思えてフッと笑みが零れた。
「クレイグ……? どうしたのですか?」
意味のわからない母上は、不思議そうに私を見ている。
「なんでもありませんよ……お願いは、私を国から出して欲しいということです。この国にはなんの未練もありませんしね……もう王族ではないのですから、国を出ても問題はないはずですよ。ヴェレス王国に引き留めるのはおやめください」
「どうして……やはり私では話相手にはなれないの……」
目頭を抑えて涙を止めるように、それでいて絞り出すように母上はそう言った。
「親子だからこそ言えないこともありますよ……それに、家族愛はアスランに期待してください。あれは、きっと子が出来れば、家族の時間を何としても作ると思いますよ。今までの慣例も変えていくでしょうね……それでも、王族の子が騎士になることは辞めないと思いますから、心配することはないでしょう……」
「私たちだって、家族の時間はあったわ……」
「ええ……お茶もいただきましたね……決められた予定ですよ」
王族なんてそんなもの。貴族ともまた違うのだ。管理された予定通りに動くだけ。
王族は、国を守るために、尽力しなければならない。自分たちを優先させれば、王族なのに甘えるなと囁かれ、国を優先させれば、子どものこともわからない脳無しと囁かれる。
誰も彼もが、幼い頃からそんなことを理解しているわけではないし、強靭な精神力がないと、国を乱さず治めることはできないのに。
母上を見ると、ハンカチを出してそっと目尻を拭く。不思議と直視できずに目を反らした。
「どこに行きたいのですか……」
「ゼノンリード王国に行こうと思います。あそこは魔法に優れていますから……」
「……わかりました。ですが、兄上に手紙は書きます。せめて、住む邸ぐらいは準備させてちょうだい。私は、母親なの……」
「お好きに……」
そう返事をすると、母上は静かに席を立ち塔を去った。
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