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スノウから知らせがきた。ライアス・ノルディス公爵がローズに惚れて心中を図ったと……毒に侵していたことを知ったのだろう。そして、ローズを憐れんで死んだ。
姿隠しの魔法まで使い身を隠していた理由がなくなり、急いでローズの薬屋へと行った。
スノウが案内したスズラン畑には、ローズとライアス・ノルディス公爵が手を取り合って倒れている。
光るスズランなど見たこともなく驚愕したが、それよりも感情を高ぶらせたのは、ライアスの死だった。
「旦那様……お嬢様が……」
「良くやった。愛想もない役立たずの娘かと思っていたが……まさか、ライアスを誑かせるとは……明日は結婚式ではなく、葬儀だな。すぐに公爵位を継がねば……」
笑いが腹から込み上げた。
本当ならば、自分が公爵位を継ぐはずだった。しかも、ノルディス公爵家は王侯公爵。資産も他とは比べてようもなく、格式高い公爵家だった。
それなのに、死んだと思われたライアスの父親が突然生きて帰って来た。
おかげで、自分が爵位を受け継げなかった。
ライアスが生まれると、さらに遠ざかる公爵位。そして、ライアスとローズが子供をもうければすでに私に公爵位など回ってこないだろう。
だから、二人とも亡き者にする必要があった。
「旦那様……このままでいいのですか?」
「かまわん。二人とも棺桶にでも突っ込んどけ」
「ライアス様は公爵です。お嬢様も婚約者で……」
「もう違う。ライアスの遺体を埋葬するのは、次の公爵を継いだ私だ」
スノウが怪訝な表情を見せていることすら気づかないで、倒れた二人を背後に去ろうとした。その時に、スズランが風で靡くように揺れた。
姿隠しの魔法まで使い身を隠していた理由がなくなり、急いでローズの薬屋へと行った。
スノウが案内したスズラン畑には、ローズとライアス・ノルディス公爵が手を取り合って倒れている。
光るスズランなど見たこともなく驚愕したが、それよりも感情を高ぶらせたのは、ライアスの死だった。
「旦那様……お嬢様が……」
「良くやった。愛想もない役立たずの娘かと思っていたが……まさか、ライアスを誑かせるとは……明日は結婚式ではなく、葬儀だな。すぐに公爵位を継がねば……」
笑いが腹から込み上げた。
本当ならば、自分が公爵位を継ぐはずだった。しかも、ノルディス公爵家は王侯公爵。資産も他とは比べてようもなく、格式高い公爵家だった。
それなのに、死んだと思われたライアスの父親が突然生きて帰って来た。
おかげで、自分が爵位を受け継げなかった。
ライアスが生まれると、さらに遠ざかる公爵位。そして、ライアスとローズが子供をもうければすでに私に公爵位など回ってこないだろう。
だから、二人とも亡き者にする必要があった。
「旦那様……このままでいいのですか?」
「かまわん。二人とも棺桶にでも突っ込んどけ」
「ライアス様は公爵です。お嬢様も婚約者で……」
「もう違う。ライアスの遺体を埋葬するのは、次の公爵を継いだ私だ」
スノウが怪訝な表情を見せていることすら気づかないで、倒れた二人を背後に去ろうとした。その時に、スズランが風で靡くように揺れた。
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