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ローズからもらったスズランを大事に窓辺に置いていた。その部屋にノーグがお茶を持ってくる。
「ライアス様。結婚式の準備は滞りなく進んでいますが……そのスズランは?」
「ローズから頂いた。礼にバラでも送るか……」
「……大丈夫ですか?」
「なにがだ?」
「スズランの花言葉は? 珍しいスズランですが……」
「何かあるのか? スズランは贈り物にも適切ではなかったか?」
「……スズランの実には毒がありまして……」
「それは知っている。調べたからな」
「その毒入りのスズランには、『恋人以上にはなれない。友人で』という意味があるそうで……いや、白いスズランなら純粋とかの意味で渡したのでしょうけど……その場にあったからでしょうか?」
恋人以上にはなれない__。
先ほどまで、ローズを想い心満たされて眺めていたのは何だったのだろうか。
「一応毒ありのスズランかどうか調べますか?」
「そうしたいが……ローズが毒入りを渡すか?」
「やめときますか?」
「そうだな……」
どうしたものかと思うが、ローズがくれたただ一つの物。毒入りだろうが口にしなければいいのだ。
「ここに置いておくが……ローズは何を考えているのだろうな……」
さぁ? と空気を濁してノーグはお茶を置いて去っていった。
残された部屋でまたスズランを見ると、ローズが気になってしまう。いつも顔色の悪い彼女が気になっているのだ。
「ライアス様。結婚式の準備は滞りなく進んでいますが……そのスズランは?」
「ローズから頂いた。礼にバラでも送るか……」
「……大丈夫ですか?」
「なにがだ?」
「スズランの花言葉は? 珍しいスズランですが……」
「何かあるのか? スズランは贈り物にも適切ではなかったか?」
「……スズランの実には毒がありまして……」
「それは知っている。調べたからな」
「その毒入りのスズランには、『恋人以上にはなれない。友人で』という意味があるそうで……いや、白いスズランなら純粋とかの意味で渡したのでしょうけど……その場にあったからでしょうか?」
恋人以上にはなれない__。
先ほどまで、ローズを想い心満たされて眺めていたのは何だったのだろうか。
「一応毒ありのスズランかどうか調べますか?」
「そうしたいが……ローズが毒入りを渡すか?」
「やめときますか?」
「そうだな……」
どうしたものかと思うが、ローズがくれたただ一つの物。毒入りだろうが口にしなければいいのだ。
「ここに置いておくが……ローズは何を考えているのだろうな……」
さぁ? と空気を濁してノーグはお茶を置いて去っていった。
残された部屋でまたスズランを見ると、ローズが気になってしまう。いつも顔色の悪い彼女が気になっているのだ。
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