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第4章
王子とお化け(アーサー視点)
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ヘルハウスに来てから数日。
何故こんなことになっているのだろう。
毎夜、あのジュリアというお化けに付きまとわれて、ベッドに潜り込んでくる。
しかも、俺とジュリアのためだと、高級ベッドまで、ガイウスは購入してきた。
何故、お化けと寝るのにキングサイズばりの大きなベッドを買うのだ!?
このベッドの装飾は匠の腕が光っているぞ!
『ダーリン~~! お待たせ~~!』
「待ってない! く、来るなー!」
『いやん、照れ屋さん~~!』
お化けの時間になると、ジュリアは真っ先に俺のところに来る。
何故だ! ガイウスは可愛いリーファと一緒なのに、何故俺はお化けにストーカーされるのだ!
しかし、今は城に帰れない。
貴族の令嬢たちも正直近づきたくない。
お茶会すら、何が入っているのかわからず、落ち着いて飲めない。
晩餐に出るワインでさえ、疑ってしまう。
『あら、ガイウスはデートかしら? ダーリン、私たちもデートしましょう~~!』
窓の外をみると、ガイウスとリーファが夜の庭を歩いている。
ガイウスはリーファを見つめ、しっかりと肩を抱き寄せている。
そんなガイウスに、リーファは恥ずかしながらも微笑む。
あんなリーファの笑顔はみたことがない。
あの隣が自分なら……。
あんなことをしなければ、リーファは俺を好きになってくれただろうか。
『ダーリン~~どうしたの? 行くわよ~~』
「はぁー、あの隣が俺なら……」
『ガイウスと歩きたかったの~~?』
「全く違う!」
『でも、リーファなら無理よ~~あの娘はガイウスのことでいっぱいよ~~?』
なんでガイウスなんだろうか。
あの夜会で出会ったのは、俺が先だったのに……。
考えても考えても、もうリーファに手はだせない。
リーファがいなければ、きっと父上も兄上も助からなかった。
リーファにもガイウスにも感謝はしている。
それに、リーファが死ぬのは耐えられない。
あんなリーファはもうみたくない。
そう思うと、窓辺から目を反らし、このバカデカイベッドに入る。
そして、ジュリアも寄り添うようにベッドに入る。
『ダーリンったら積極的~~!』
「頼む……離れてくれ!」
『恋人は一緒に寝るものよ?』
「恋人じゃない!」
寒くて、悪寒が走るんだ!
とりあえず、ジュリアに背を向け膝を抱えて丸くなり、眠った。
正直、疲れている。
毎晩ジュリアから逃げ続け、毎日ロウにわけのわからん薬を飲まされ、ワインのテイスティングのように、ジュースに入った薬を当てなくてはならない日々。
疲れた……。
そのまま、疲れ果て眠っていた。
深夜に、ふと目が覚めると、ジュリアはまだ隣にいた。
しかし、恐ろしい!
寝てるのか、わからない!
その白目はなんだ!?
眼球はどこに行った!?
その白目で俺をみられると、背筋が凍る!
「ギャァーーーーーー!!」
『なに~~どうしたの? ダーリン?』
「目はどうした!?」
『えぇーー? んんーー! えいっ!』
何故、それで目が現れるんだ!?
「は、離れろーー!!」
『いやん、ダーリン。死んでも一緒よ~~』
「嫌だーー!!」
そして、今夜も、眠れなかった。
何故こんなことになっているのだろう。
毎夜、あのジュリアというお化けに付きまとわれて、ベッドに潜り込んでくる。
しかも、俺とジュリアのためだと、高級ベッドまで、ガイウスは購入してきた。
何故、お化けと寝るのにキングサイズばりの大きなベッドを買うのだ!?
このベッドの装飾は匠の腕が光っているぞ!
『ダーリン~~! お待たせ~~!』
「待ってない! く、来るなー!」
『いやん、照れ屋さん~~!』
お化けの時間になると、ジュリアは真っ先に俺のところに来る。
何故だ! ガイウスは可愛いリーファと一緒なのに、何故俺はお化けにストーカーされるのだ!
しかし、今は城に帰れない。
貴族の令嬢たちも正直近づきたくない。
お茶会すら、何が入っているのかわからず、落ち着いて飲めない。
晩餐に出るワインでさえ、疑ってしまう。
『あら、ガイウスはデートかしら? ダーリン、私たちもデートしましょう~~!』
窓の外をみると、ガイウスとリーファが夜の庭を歩いている。
ガイウスはリーファを見つめ、しっかりと肩を抱き寄せている。
そんなガイウスに、リーファは恥ずかしながらも微笑む。
あんなリーファの笑顔はみたことがない。
あの隣が自分なら……。
あんなことをしなければ、リーファは俺を好きになってくれただろうか。
『ダーリン~~どうしたの? 行くわよ~~』
「はぁー、あの隣が俺なら……」
『ガイウスと歩きたかったの~~?』
「全く違う!」
『でも、リーファなら無理よ~~あの娘はガイウスのことでいっぱいよ~~?』
なんでガイウスなんだろうか。
あの夜会で出会ったのは、俺が先だったのに……。
考えても考えても、もうリーファに手はだせない。
リーファがいなければ、きっと父上も兄上も助からなかった。
リーファにもガイウスにも感謝はしている。
それに、リーファが死ぬのは耐えられない。
あんなリーファはもうみたくない。
そう思うと、窓辺から目を反らし、このバカデカイベッドに入る。
そして、ジュリアも寄り添うようにベッドに入る。
『ダーリンったら積極的~~!』
「頼む……離れてくれ!」
『恋人は一緒に寝るものよ?』
「恋人じゃない!」
寒くて、悪寒が走るんだ!
とりあえず、ジュリアに背を向け膝を抱えて丸くなり、眠った。
正直、疲れている。
毎晩ジュリアから逃げ続け、毎日ロウにわけのわからん薬を飲まされ、ワインのテイスティングのように、ジュースに入った薬を当てなくてはならない日々。
疲れた……。
そのまま、疲れ果て眠っていた。
深夜に、ふと目が覚めると、ジュリアはまだ隣にいた。
しかし、恐ろしい!
寝てるのか、わからない!
その白目はなんだ!?
眼球はどこに行った!?
その白目で俺をみられると、背筋が凍る!
「ギャァーーーーーー!!」
『なに~~どうしたの? ダーリン?』
「目はどうした!?」
『えぇーー? んんーー! えいっ!』
何故、それで目が現れるんだ!?
「は、離れろーー!!」
『いやん、ダーリン。死んでも一緒よ~~』
「嫌だーー!!」
そして、今夜も、眠れなかった。
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