31 / 69
第二章 囚われ編
呪いの犯人
しおりを挟む
日が沈み、目が覚めるとベッドの上。
そして、おそるおそる横を見ると、やはりアーサー様が隣で寝ている。
日によっては、肘をついて見ている時もある。
アーサー様が寝ているベッドに入りたくなくて、いつもソファーで眠るのに、アーサー様は仕事が終わると、律儀に私の部屋にやって来て、私をベッドに寝かせている。そして嫌で堪らず、いつものように急いでベッドから脱出するが、アーサー様も逃げられるのがわかっているのか、起きている時はすかさず私を捕まえる。
日中は、私でさえ白ちゃんも見えないから、アーサー様にも対抗出来ない。
でも、夜はアーサー様が迫ると、白ちゃんが突撃し、アーサー様は悪寒に驚き、意外と助かっている。
でも、今はお疲れなのかよく寝ているから、起こさないように静かにベッドから出た。
一緒の部屋は嫌だが、起きているより静かに寝ていてくれた方がまだマシだった。
でも仮眠のようだから、いつまでも寝てくれない。
「ずっと起きなければいいのにね…」
白ちゃんもブンブンと頷く。
「白ちゃんもそう思う?ふふっ…」
白ちゃんの仕草が可愛くて、思わず笑みを溢す。この子がいてくれるだけで、救われる気持ちになる。
「…リーファ、笑ってくれたのか?」
後ろから声がしアーサー様が起きてしまっていた。
「アーサー様にではありません」
「この部屋には、二人しかいないじゃないか」
白ちゃんのことをいうと、魔法使いでも呼んで消されそうな気がする。
見えてないのだから、このまま言えない。
「…旦那様のことを思い出していただけです」
「ガイウスのことは禁止だと言ったはずだぞ!」
部屋中に逃げても、また怖い顔になり迫ってくる。
「止めて下さい!」
部屋のものを手当たり次第投げながら逃げ回り、壁に追い詰められると、無理矢理唇を塞がれた。
旦那様にだって、こんな事された事ない。
嫌で堪らずにアーサー様の唇を噛んでしまう。白ちゃんも突撃する。
「…っつ!?」
アーサー様は、唇を押さえながら離れた。
悪寒のせいだろうか。
「何て事を…!?旦那様にだってこんな事をされたことないのに…!」
自分の唇をごしごしと腕で擦っていた。
嫌だ、と思うと、何て自分は非力なのかと涙がでる。
「…された事がない?」
「旦那様はこんな…無理矢理するような、いやらしい方ではありません!」
「…まさか…まだ夫婦ではないのか?」
アーサー様の驚いた顔にしまったと思った。アーサー様は血のついた唇を抑えるように拭きながら笑っていた。
「これはいい。これなら、本当の意味での初夜になるな」
「…初夜?」
「数日後の結婚式の初夜だ。その日にリーファに来てもらう」
「何を言っているのですか!?初夜は結婚相手と過ごすものですよ!」
「あんな女は知らん。結婚相手に選んだのも、適当だが…まぁ、リーファを結果的に愛妾として手に入ることができたから、多少の褒美のようなものだ」
「褒美…?」
「…呪いの茶を作ったのはあの女だ」
衝撃の事実が判明した。
その言葉に、呆然としてしまっていた。
そして、おそるおそる横を見ると、やはりアーサー様が隣で寝ている。
日によっては、肘をついて見ている時もある。
アーサー様が寝ているベッドに入りたくなくて、いつもソファーで眠るのに、アーサー様は仕事が終わると、律儀に私の部屋にやって来て、私をベッドに寝かせている。そして嫌で堪らず、いつものように急いでベッドから脱出するが、アーサー様も逃げられるのがわかっているのか、起きている時はすかさず私を捕まえる。
日中は、私でさえ白ちゃんも見えないから、アーサー様にも対抗出来ない。
でも、夜はアーサー様が迫ると、白ちゃんが突撃し、アーサー様は悪寒に驚き、意外と助かっている。
でも、今はお疲れなのかよく寝ているから、起こさないように静かにベッドから出た。
一緒の部屋は嫌だが、起きているより静かに寝ていてくれた方がまだマシだった。
でも仮眠のようだから、いつまでも寝てくれない。
「ずっと起きなければいいのにね…」
白ちゃんもブンブンと頷く。
「白ちゃんもそう思う?ふふっ…」
白ちゃんの仕草が可愛くて、思わず笑みを溢す。この子がいてくれるだけで、救われる気持ちになる。
「…リーファ、笑ってくれたのか?」
後ろから声がしアーサー様が起きてしまっていた。
「アーサー様にではありません」
「この部屋には、二人しかいないじゃないか」
白ちゃんのことをいうと、魔法使いでも呼んで消されそうな気がする。
見えてないのだから、このまま言えない。
「…旦那様のことを思い出していただけです」
「ガイウスのことは禁止だと言ったはずだぞ!」
部屋中に逃げても、また怖い顔になり迫ってくる。
「止めて下さい!」
部屋のものを手当たり次第投げながら逃げ回り、壁に追い詰められると、無理矢理唇を塞がれた。
旦那様にだって、こんな事された事ない。
嫌で堪らずにアーサー様の唇を噛んでしまう。白ちゃんも突撃する。
「…っつ!?」
アーサー様は、唇を押さえながら離れた。
悪寒のせいだろうか。
「何て事を…!?旦那様にだってこんな事をされたことないのに…!」
自分の唇をごしごしと腕で擦っていた。
嫌だ、と思うと、何て自分は非力なのかと涙がでる。
「…された事がない?」
「旦那様はこんな…無理矢理するような、いやらしい方ではありません!」
「…まさか…まだ夫婦ではないのか?」
アーサー様の驚いた顔にしまったと思った。アーサー様は血のついた唇を抑えるように拭きながら笑っていた。
「これはいい。これなら、本当の意味での初夜になるな」
「…初夜?」
「数日後の結婚式の初夜だ。その日にリーファに来てもらう」
「何を言っているのですか!?初夜は結婚相手と過ごすものですよ!」
「あんな女は知らん。結婚相手に選んだのも、適当だが…まぁ、リーファを結果的に愛妾として手に入ることができたから、多少の褒美のようなものだ」
「褒美…?」
「…呪いの茶を作ったのはあの女だ」
衝撃の事実が判明した。
その言葉に、呆然としてしまっていた。
8
お気に入りに追加
1,095
あなたにおすすめの小説
臆病な元令嬢は、前世で自分を処刑した王太子に立ち向かう
絃芭
恋愛
マリー・ヴァイス公爵令嬢は幼いころから両親に高圧的に育てられた影響で、極めて臆病な少女だった。王太子に異国から召喚された聖女を貶めたと無実の罪を着せられても、反論のひとつもあげられなかったほどに。失意と諦めのなかで短い人生に幕を下ろしたマリーだったが、気がついたら日本という国で高校の授業を受けていた。教室には苦手意識があった聖女と同じ黒髪の生徒が溢れていて、思わず飛び出してしまう。
そこで出会ったのは髪を金色に染めた、所謂ヤンキーという存在だった。穏やかな時間を過ごしたのも束の間、前世の王太子の魔の手が静かに忍び寄っていて──。
※主人公はとても臆病で気弱な性格です。なので王太子のざまぁを期待している方には物足りない作品だと思います。ご了承くださいませ
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
あなたたちのことなんて知らない
gacchi
恋愛
母親と旅をしていたニナは精霊の愛し子だということが知られ、精霊教会に捕まってしまった。母親を人質にされ、この国にとどまることを国王に強要される。仕方なく侯爵家の養女ニネットとなったが、精霊の愛し子だとは知らない義母と義妹、そして婚約者の第三王子カミーユには愛人の子だと思われて嫌われていた。だが、ニネットに虐げられたと嘘をついた義妹のおかげで婚約は解消される。それでも精霊の愛し子を利用したい国王はニネットに新しい婚約者候補を用意した。そこで出会ったのは、ニネットの本当の姿が見える公爵令息ルシアンだった。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる