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第一章 ヘルハウス編
白い結婚
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リーファ・ハリストンを保護━━━━。
旦那様は陛下に頼まれて、私と結婚したということでしょう。
いきなり来たから、白い結婚だとは思っていましたが…。
…何でしょうか、胸がざわざわします。
「…リーファ、大丈夫か?」
「はい…」
「顔色が悪いぞ…」
「気のせいです」
気のせいと言いながら、旦那様の顔が見れない。
「…ガイウス様、私はすぐに救出に向かいます。しばらく留守にしますが…料理人もこの邸に匿いますが構いませんか?」
「そうだな…すぐに連れて来てくれ。リーファも構わないか?」
「勿論です!すぐにお助け下さい!」
私のせいで、料理人さんが罪に問われるのは困ります。
「ロウさん、留守中にすることを教えて頂けますか?私が出来ることはします」
「はい、レシピなどもご用意致してますよ」
「ではすぐに教えて下さい!急ぎますよね?旦那様、私は先にロウさんと邸に戻ります!」
「一緒に戻らないのか?俺も邸に戻るぞ?」
「急ぎますから!」
そう言って邸に戻ろうとしたところ、旦那様が手を放してくれない。
「旦那様…ロウさんはお急ぎですよ?手をお放しください」
旦那様は無言で手を放してくれた。
白い結婚だとは思っていたし、それで問題は無いと思っていたのに何を動揺することがあるのか。
そのまま私は振り向きもせずに、ざわざわした胸を抑えて邸へと走った。
ロウさんは初老なのに息も切らさずに走る。一体この人は何者なのだろうかと疑問さえある。
いくら公爵家とはいえ、ただの執事に陛下が直々に料理人の救出を頼むのも不思議な事である。
そして、ロウさんはいつものように淡々とレシピや掃除する場所など、私が出来ることを教えてくれた。
「それと、ガイウス様は毎朝起こしてください。低血圧でほっとくと中々起きて来ませんから…」
「…私が部屋に入っても?」
「リーファ様は奥方様ですから問題ありませんよ。お化けは部屋に入れませんからね」
奥方と言っても本当の妻ではありませんよ。ロウさんは知ってましたよね?
それにアーサー様…荒れているからと言って料理人を捕らえるなんて…。
とても証拠があるとは思えない。あるなら解呪の方法、もしくは解呪の条件を聞き出すはず。
陛下が私を旦那様に託したなら、解呪方法がわかれば連絡があるはず。
でも、その話でなく救出の依頼。アーサー様が怖い…。
「リーファ様?お願いしますよ。私はこのまま出発いたしますから」
「は、はい、玄関までお見送りいたします!」
ロウさんは部屋で早着替えをし、見ると何故か黒いコートが似合いすぎる。
私の時のように迎えに行くだけではないのだろうか。
玄関外には旦那様が馬を出し、待っている。
「ロウ、気を付けて行け」
「はい、すぐに連れて来ますよ」
そうしてロウさんは早馬で出発してしまった。
旦那様は陛下に頼まれて、私と結婚したということでしょう。
いきなり来たから、白い結婚だとは思っていましたが…。
…何でしょうか、胸がざわざわします。
「…リーファ、大丈夫か?」
「はい…」
「顔色が悪いぞ…」
「気のせいです」
気のせいと言いながら、旦那様の顔が見れない。
「…ガイウス様、私はすぐに救出に向かいます。しばらく留守にしますが…料理人もこの邸に匿いますが構いませんか?」
「そうだな…すぐに連れて来てくれ。リーファも構わないか?」
「勿論です!すぐにお助け下さい!」
私のせいで、料理人さんが罪に問われるのは困ります。
「ロウさん、留守中にすることを教えて頂けますか?私が出来ることはします」
「はい、レシピなどもご用意致してますよ」
「ではすぐに教えて下さい!急ぎますよね?旦那様、私は先にロウさんと邸に戻ります!」
「一緒に戻らないのか?俺も邸に戻るぞ?」
「急ぎますから!」
そう言って邸に戻ろうとしたところ、旦那様が手を放してくれない。
「旦那様…ロウさんはお急ぎですよ?手をお放しください」
旦那様は無言で手を放してくれた。
白い結婚だとは思っていたし、それで問題は無いと思っていたのに何を動揺することがあるのか。
そのまま私は振り向きもせずに、ざわざわした胸を抑えて邸へと走った。
ロウさんは初老なのに息も切らさずに走る。一体この人は何者なのだろうかと疑問さえある。
いくら公爵家とはいえ、ただの執事に陛下が直々に料理人の救出を頼むのも不思議な事である。
そして、ロウさんはいつものように淡々とレシピや掃除する場所など、私が出来ることを教えてくれた。
「それと、ガイウス様は毎朝起こしてください。低血圧でほっとくと中々起きて来ませんから…」
「…私が部屋に入っても?」
「リーファ様は奥方様ですから問題ありませんよ。お化けは部屋に入れませんからね」
奥方と言っても本当の妻ではありませんよ。ロウさんは知ってましたよね?
それにアーサー様…荒れているからと言って料理人を捕らえるなんて…。
とても証拠があるとは思えない。あるなら解呪の方法、もしくは解呪の条件を聞き出すはず。
陛下が私を旦那様に託したなら、解呪方法がわかれば連絡があるはず。
でも、その話でなく救出の依頼。アーサー様が怖い…。
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「は、はい、玄関までお見送りいたします!」
ロウさんは部屋で早着替えをし、見ると何故か黒いコートが似合いすぎる。
私の時のように迎えに行くだけではないのだろうか。
玄関外には旦那様が馬を出し、待っている。
「ロウ、気を付けて行け」
「はい、すぐに連れて来ますよ」
そうしてロウさんは早馬で出発してしまった。
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