呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます。~執着王子から助けてくれた旦那様の為に頑張ります!~

屋月 トム伽

文字の大きさ
上 下
17 / 69
第一章 ヘルハウス編

メイド萌えではない!

しおりを挟む

「ギルバード卿、ちょっと来てくれ」
『私は今から遠乗りに行きますがな』
「10日以上も散歩に出掛けてまだ行く気か?…いいからちょっと来てくれ」
『私が散歩に出掛けたのは昨日ですぞ?』
「もうずっといなかったぞ…」

お化けは時間の感覚が乏しい。ギルバード卿にとって、10日前に森に出掛けたのが昨日の感覚らしい。

ギルバード卿と向かい合って座ると、何故かジュリアは横に座る。

「…ギルバード卿、リーファと結婚したんだ。ジュリア達と一緒になって脅かさないでくれ」
『私は何もしてませんがな』
「リーファのドアをガタガタと揺らしていただろ…!」
『しかし、私達はお化けですからなぁ』
「怒るぞ…」
『…ジュリアさん、どうしますか?』
『ガイウスがベッドに入れてくれたら諦めるわ』
「だから、ジュリアは身体がないだろ…」
『あら、身体があれば良いのかしら?』
「妻はリーファだ。どんな事情があれど結婚したんだぞ」

結婚したのに何で俺がジュリアと…と思う。
…こいつらに言っても何だか無駄な気がしてきた。
そもそもこんなに真剣に止めた事は無い。今までも使用人を脅して来たがやっていけないならそれはそれで気にもしなかった。だが今は違う。
ロウはお化けどころか何事にも動じないから、ほっといてもいいがリーファは違う。
せっかく保護したのに、これでいいのだろうか。
ため息が出る。

そこにガラガラとワゴンの音がしてきた。
リーファとロウが晩餐を持って来たのだろう。

「おや、ギルバード卿。お帰りでしたか」
「ふぉっふぉっふぉっ…また、遠乗りに行きますがな…」
「それがよろしいでしょう。ガイウス様はリーファ様とお食事ですからね。さぁ、ジュリアさんも…」
『私はガイウスの膝で食事するわ』
「ジュリアの食事はないぞ。下がれ」
「ジュリアさん、ガイウス様はリーファ様と二人がいいのですよ」

ロウがギルバード卿とジュリアを出そうとすると、三人は井戸端会議のように話だした。

『いやらしいわね』
『何をする気でしょうな』
「ガイウス様もお若いですから…」
『こんなメイド女をどうするのかしら?』
「ジュリアさん…メイド萌えというやつですよ」
『何ですかな?それは…』
「世間ではメイドの姿がいいという者もいるのですよ」
『クローリー公爵にそんな趣味があったとは…』
『きゃー!?ガイウスの変態!』
「いいから出てけ!」

何がメイド萌えだ!
ロウまで一緒になって…!そんな趣味は無い!

「ほら、ガイウス様がお怒りですよ。皆様下がりますよ」

ロウは二人を連れてリーファと食事を置いて出て行った。
リーファを見ると、メイド萌えは本当ですか?と言うようにジッと見ている。

「言っとくがそんな趣味は無いからな!」
「そんな心配はしてませんが…白ちゃんも飛んで行ってしまいました」
「邸内を彷徨っているから、またすぐに戻ってくる」
「はい。では、私もすぐに着替えて来ますね」
「それでは、食事が冷めるだろう。今日はそれで食べればいい…言っとくがメイド姿だから言っているのではないぞ」
「はい」

そう言うと、リーファはクスリと笑った。
そして、二人で食事を始めた。
リーファが起きている時間になるべく一緒に食事はとるようにしている。面倒くさいと思うかと思ったが案外そうは思わなかった。
リーファが一生懸命だからかもしれない。

「料理は楽しいか?」
「はい。まだまだロウさんにはかないませんが…今日のスタッフドトマトはロウさんに教えてもらいながら作りました。ロウさんは包丁さばきが凄くお上手なのですね」
「…ロウは元々陛下に仕えていたんだ。腕も立つから困った事があれば頼ればいい」
「陛下の料理人でしたか?」
「そうではないが…」

ロウの元々の仕事は説明しにくいし、リーファには聞かせられない仕事もある。
リーファは聞かないほうがいいのかと察したように、それ以上聞いてこなかった。

「リーファ、後で庭でも歩くか?一人では歩けないだろう?」

外には、甲冑がいるからな。

「一緒に行って下さるのですか?」
「勿論だ」
「じゃあ、食事が終わればすぐに着替えますね」

リーファは嬉しそうにそう言った。














しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

【完結】愛していないと王子が言った

miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。 「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」 ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。 ※合わない場合はそっ閉じお願いします。 ※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!

夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。 しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。 ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。 愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。 いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。 一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ! 世界観はゆるいです! カクヨム様にも投稿しております。 ※10万文字を超えたので長編に変更しました。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

処理中です...