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第2章 グリモワールの塔

やり直しをしよう 3 ※

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「……今までにないほど濡れたな」

そう言いながら、緩めていたシャツを脱いでいる。
私の愛液で濡れた指で頬を撫でる手は、優しく熱を確認するようだった。
息遣い荒く、それくらい私の身体は火照っている。

うっすらと開く目でクライド様を見ると、どこか満足そうだった。

ぐったりとしていた私の腰を急に浮かされると、薄衣をはぎ取られ、更に両脚を左右に開かれる。
そのまま待てないと言うように、大きくそそり立ったモノが私を突いた。
また、頭が真っ白になりそうだった。そして、いつもは抑えられていた手が自由で、クライド様の腕を掴んでいた。
自分から、触れたのは初めてだった気がする。

それが嬉しかったのか、肌と肌が密着するように抱いてくる。
耳元には、時々私の名前を囁くように呼び、クライド様の吐息で熱くなってしまう。

秘所への挿入が繰り返されて、肌と肌が音を立てて、その間もしっかりと彼の背中に腕を回してしがみついていた。

「……っあぁん……私……もう……っ……」
「あぁ……イキそうか……本当にいい……っ」

今までにないほど満足気な表情で、いっそう腰を突きだした。
そして、私の甲高い声が出ると共に、温かいものが中で広がった。

「クライド様……私……もう……抜いてください……」

果てたのに、中にはまだクライド様のモノが収まっている。
身体を走った快感のせいか、腰がもぞもぞと動いているのが、堪らなくて早く抜いて欲しくて首を振って訴えた。
ゆっくりと深く唇を重ねられ、秘所からずるッとクライド様のモノが抜けた。

「はぁ……っ……」

それだけでおかしな声が出る。

顔まで火照ったままの私に寄り添うように、「大丈夫か?」と聞いて来る。
目の前のクライド様の身体に手を添えたままで、彼の肌もしっとりとしている。
私と同じように火照っている。

「……プリム。明日はどこかに出かけないか?」

腕枕をしながら、優しく聞いて来る彼は、あの時のようだった。
違うのは、もう私は大人で彼と閨を共にしたこと。

「本当に……?」
「やり直しをしよう、と言っただろう? あの時の約束を果たしたい」
「行きます。連れて行ってください……」

あの時の待ちわびていた気持ちが戻って来るようだった。
ここ数日、怖いと思っていたがっしりとした胸板に頭がコツンと当たると、すっぽりと腕の中に入れてくれる。

「初めてこちらを向いてくれたな……」

いつも抱かれた後は、背中を向けていたから、そう言ったのだろう。

「……どうして最初はあんなに力任せにしたのですか?」
「……誰にも渡したくないから」

少し間が空き、クライド様は考えたようにそう言う。

「誰も私を欲しがる人なんていませんよ? 眠っていたから、出会いなんてありませんでしたし……」
「そう思っているのは、プリムだけだ……近いうちに結婚式もしよう」
「はい……」

そう返事をして彼の無駄な肉のない胸板にそっと顔を埋めた。






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