117 / 148
第二章 レオンハルト編
治癒をしよう 2
しおりを挟む
セシルさんの目の前に座ったままのオズワルド様の横に、ライア様が立っていた。
この方は魔法騎士だけど、オズワルド様もヒース様も知り合いみたいだった。
治癒が始まりオズワルド様がセシルさんの顔にそっと手を当てると、その手は優しいんだろうな、と思う。
私の頬を撫でる時もいつも優しいから、セシルさんも優しさを感じてると思う。
これが治癒の為じゃなく他の女に触っていたら、モヤりそうなぐらいオズワルド様が優しく見えた。
しかし、セシルさんはレオン様が好きそうだった。
少し離れた所に立っている私は隣にいるヒース様に内緒話のように小声で話しかけた。
「ヒース様、セシルさんとレオン様はどうなんですか?」
「さぁ、俺は何ともわかりませんが…」
「本当ですか?」
「…レオン様のことに口出すつもりはありませんよ。」
良い感じなんですね!?
その口ぶりと雰囲気は良い感じですね!
やっとまともな女性と出逢ったのですね!
もう地雷女は困りますからね!
私とオズワルド様に危険が及ぶお相手は命に関わりますからね!
ふふふ、と軽く笑みが溢れるとオズワルド様の手からセシルさんの顔の薄黒いものがゆっくり引っ張り出されるように出てきた。
オズワルド様がその薄黒いものを握ると潰されるように消えた。
「ライア、治癒魔法をかけろ。もう闇の魔素はないはずだ。」
「了解です。」
オズワルド様が立ち上がりライア様が交代でセシルさんの前に座ると、水色の光がセシルさんの顔を包むように広がった。
よく見てると段々あの爛れが薄くなっていく。やはり魔法は凄い。
あっという間にセシルさんの顔に痣はなくなった。
「リディア、セシルはもう大丈夫だ。」
オズワルド様が私の隣に来てそう言った。
「オズワルド様、素晴らしいです。」
「後はリンハルトにどう話をつけるか見ものだな。」
「…また、悪巧みですか?」
「まだ手は出さんぞ。しばらくは高みの見物をするか。」
どうやら何か考えているらしい。
しかも、高みの見物って…まさかレオン様に解決させようとしてますか?
「レオン様に出来ますかね?」
「知らんな。」
私達の会話をよそに、レオン様は本当に嬉しそうな表情でセシルさんの前に膝をつき手を取っている。
本当に治したかったのだろうと誰が見てもそう思う。
しかも、あのレオン様が人の為に自分から動いたのだ。
時間が戻る前にレオン様から約束なしで私に会いに来たことはあったが私の為ではなかった。その時はおかげで花嫁修業に遅刻することもあり、講師に迷惑をかけたこともある。
そして、講師に謝罪するのは私だったのだ。
それがどうだ。
セシルさんの為にオズワルド様に頭を下げたのだ。
何だかレオン様の成長を垣間見た感じだった。
この方は魔法騎士だけど、オズワルド様もヒース様も知り合いみたいだった。
治癒が始まりオズワルド様がセシルさんの顔にそっと手を当てると、その手は優しいんだろうな、と思う。
私の頬を撫でる時もいつも優しいから、セシルさんも優しさを感じてると思う。
これが治癒の為じゃなく他の女に触っていたら、モヤりそうなぐらいオズワルド様が優しく見えた。
しかし、セシルさんはレオン様が好きそうだった。
少し離れた所に立っている私は隣にいるヒース様に内緒話のように小声で話しかけた。
「ヒース様、セシルさんとレオン様はどうなんですか?」
「さぁ、俺は何ともわかりませんが…」
「本当ですか?」
「…レオン様のことに口出すつもりはありませんよ。」
良い感じなんですね!?
その口ぶりと雰囲気は良い感じですね!
やっとまともな女性と出逢ったのですね!
もう地雷女は困りますからね!
私とオズワルド様に危険が及ぶお相手は命に関わりますからね!
ふふふ、と軽く笑みが溢れるとオズワルド様の手からセシルさんの顔の薄黒いものがゆっくり引っ張り出されるように出てきた。
オズワルド様がその薄黒いものを握ると潰されるように消えた。
「ライア、治癒魔法をかけろ。もう闇の魔素はないはずだ。」
「了解です。」
オズワルド様が立ち上がりライア様が交代でセシルさんの前に座ると、水色の光がセシルさんの顔を包むように広がった。
よく見てると段々あの爛れが薄くなっていく。やはり魔法は凄い。
あっという間にセシルさんの顔に痣はなくなった。
「リディア、セシルはもう大丈夫だ。」
オズワルド様が私の隣に来てそう言った。
「オズワルド様、素晴らしいです。」
「後はリンハルトにどう話をつけるか見ものだな。」
「…また、悪巧みですか?」
「まだ手は出さんぞ。しばらくは高みの見物をするか。」
どうやら何か考えているらしい。
しかも、高みの見物って…まさかレオン様に解決させようとしてますか?
「レオン様に出来ますかね?」
「知らんな。」
私達の会話をよそに、レオン様は本当に嬉しそうな表情でセシルさんの前に膝をつき手を取っている。
本当に治したかったのだろうと誰が見てもそう思う。
しかも、あのレオン様が人の為に自分から動いたのだ。
時間が戻る前にレオン様から約束なしで私に会いに来たことはあったが私の為ではなかった。その時はおかげで花嫁修業に遅刻することもあり、講師に迷惑をかけたこともある。
そして、講師に謝罪するのは私だったのだ。
それがどうだ。
セシルさんの為にオズワルド様に頭を下げたのだ。
何だかレオン様の成長を垣間見た感じだった。
30
お気に入りに追加
5,845
あなたにおすすめの小説
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【1/1取り下げ予定】本当の妹だと言われても、お義兄様は渡したくありません!
gacchi
恋愛
事情があって公爵家に養女として引き取られたシルフィーネ。生まれが子爵家ということで見下されることも多いが、公爵家には優しく迎え入れられている。特に義兄のジルバードがいるから公爵令嬢にふさわしくなろうと頑張ってこれた。学園に入学する日、お義兄様と一緒に馬車から降りると、実の妹だというミーナがあらわれた。「初めまして!お兄様!」その日からジルバードに大事にされるのは本当の妹の私のはずだ、どうして私の邪魔をするのと、何もしていないのにミーナに責められることになるのだが…。電子書籍化のため、1/1取り下げ予定です。
【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる