97 / 148
第一章 ブラッドフォード編
披露宴
しおりを挟む
オズワルド様にウェディングドレスのまま横抱きにされ馬車に乗ると、そのまま膝の上だった。
膝の上でオズワルド様は軽く腕を回したままだった。
馬車は屋根がないタイプで、街を通ると街人が花を降らすように馬車に向かって上向きに投げていた。
街にはオズワルド様の店や、土地も沢山あり、資金の援助をしていた為か街人には人気だった。
オズワルド様と呼んで祝福している子供までいる。
「リディア、ノートンの邸が売れたぞ。シャレイド公爵家が高値で買い取ってくれた。内装を整えたら引き渡すことになった。」
「良かったですね。」
かなり高値で買い取ってくれたようで、フェリシア様を助けたことの感謝があったのだろう。
「それにしても、意外と子供にも人気者ですね。」
「あれは森で迷子になった子供だ。助けたことがあった。覚えているんだろう。」
「オズワルド様って意外と優しいですよね。」
「意外ととは何だ。」
邪魔者には容赦ないけど、どこか慈悲がある。レオン様のことも、もう多分殺そうとは思ってないだろう。
しかし、派手にしないでと言ったのに何だか派手になっている気もする。
そして、披露宴はブラッドフォード邸の広い庭でガーデンパーティーだった。
上位貴族も沢山来ており陛下まで披露宴に参加していた。
「陛下はレオン様のことで忙しいのではないですか?」
「だから転移魔法で来たのだろう。」
謹慎中なのにいいのか。それでも陛下もアレク様同様オズワルド様に恨みも何もないのだろう。
陛下に挨拶に行くと、レオン様のことを謝罪された。
ブラッドフォード邸に帰る前には一度謝罪はあったが再度謝罪されたのだ。
しかし、あんな大事になったのは私達が時間が戻ったせいもあるし、本当にもう謝罪はいらない。
時間が戻る前なら私とアリシアの貴族間の揉め事で済ましフェリシア様を巻き込むことはなかったと思う。
レオン様の婚約者がエルサにならなければ、あんな大事にはならなかったのだから。
陛下の次はアレク様とフェリシア様の元へ行った。
フェリシア様はもうすっかり元気でいつもの柔らかい笑顔だった。
「アレク様、何か飲み物をお願いします。」
フェリシア様がアレク様に飲み物を頼むとアレク様は待ってなさい。と甲斐甲斐しい感じだった。
「リディアも何か飲むか?」
「ではお願いします。」
オズワルド様もアレク様と行かれ、フェリシア様はその様子に微笑ましく見ていた。
「リディア、オズワルド様には秘密だけど、買い取ったノートンという方のお邸、実はアレク様も個人的にお金を出して下さったのよ。」
「アレク様が…?かなり高値で買い取って下さったのは…?」
「アレク様のおかげね。」
何となくわかった。
魔法騎士達もあの様子を見ており、アレク様の宮も言い逃れは出来ない。
だから、オズワルド様には罰がやはり必要だったのだ。
表立ってアレク様が見逃しては、納得のいかない者もいるだろうし、だからアレク様はこういう型でオズワルド様を処罰し、ノートンの邸の金も出したのだ。
謹慎だって緩いものだ。
「フェリシア様、ありがとうございます。」
「私が助けられたのよ。エルサは私をどこかに転移させ、混乱させようと企んでいたみたいだし、私への嫌がらせもあったのでしょうね。あまりに突拍子もない企みだけどね。」
将来王妃になるフェリシア様が邪魔だったのか、私達が時間が戻ったことによって起きた、似たようなことが起きる修正力のせいか、私にはわからない。
庭の空をいつもと違い優雅に飛んでいるベルガモットさんの首には私のウェディングドレスと同じ生地で作ったリボンが風になびいていた。
ベルガモットさんが鳴いているその下にはオズワルド様とアレク様が歩いて向かって来ていた。
オズワルド様とアレク様が飲み物を持って来て下さり私達は披露宴を楽しんだ。
そして、レオン様は結婚式に来ることはないが、私達に祝いの花を贈ってきていた。
オズワルド様はため息をついていたが、しょうがないと受け取った。
「…部屋には飾らんが玄関ぐらいには置いとけ。枯れたらさっさと捨てるんだ。」
リンクスにそう指示をして、数日間だけ玄関に飾られていた。
膝の上でオズワルド様は軽く腕を回したままだった。
馬車は屋根がないタイプで、街を通ると街人が花を降らすように馬車に向かって上向きに投げていた。
街にはオズワルド様の店や、土地も沢山あり、資金の援助をしていた為か街人には人気だった。
オズワルド様と呼んで祝福している子供までいる。
「リディア、ノートンの邸が売れたぞ。シャレイド公爵家が高値で買い取ってくれた。内装を整えたら引き渡すことになった。」
「良かったですね。」
かなり高値で買い取ってくれたようで、フェリシア様を助けたことの感謝があったのだろう。
「それにしても、意外と子供にも人気者ですね。」
「あれは森で迷子になった子供だ。助けたことがあった。覚えているんだろう。」
「オズワルド様って意外と優しいですよね。」
「意外ととは何だ。」
邪魔者には容赦ないけど、どこか慈悲がある。レオン様のことも、もう多分殺そうとは思ってないだろう。
しかし、派手にしないでと言ったのに何だか派手になっている気もする。
そして、披露宴はブラッドフォード邸の広い庭でガーデンパーティーだった。
上位貴族も沢山来ており陛下まで披露宴に参加していた。
「陛下はレオン様のことで忙しいのではないですか?」
「だから転移魔法で来たのだろう。」
謹慎中なのにいいのか。それでも陛下もアレク様同様オズワルド様に恨みも何もないのだろう。
陛下に挨拶に行くと、レオン様のことを謝罪された。
ブラッドフォード邸に帰る前には一度謝罪はあったが再度謝罪されたのだ。
しかし、あんな大事になったのは私達が時間が戻ったせいもあるし、本当にもう謝罪はいらない。
時間が戻る前なら私とアリシアの貴族間の揉め事で済ましフェリシア様を巻き込むことはなかったと思う。
レオン様の婚約者がエルサにならなければ、あんな大事にはならなかったのだから。
陛下の次はアレク様とフェリシア様の元へ行った。
フェリシア様はもうすっかり元気でいつもの柔らかい笑顔だった。
「アレク様、何か飲み物をお願いします。」
フェリシア様がアレク様に飲み物を頼むとアレク様は待ってなさい。と甲斐甲斐しい感じだった。
「リディアも何か飲むか?」
「ではお願いします。」
オズワルド様もアレク様と行かれ、フェリシア様はその様子に微笑ましく見ていた。
「リディア、オズワルド様には秘密だけど、買い取ったノートンという方のお邸、実はアレク様も個人的にお金を出して下さったのよ。」
「アレク様が…?かなり高値で買い取って下さったのは…?」
「アレク様のおかげね。」
何となくわかった。
魔法騎士達もあの様子を見ており、アレク様の宮も言い逃れは出来ない。
だから、オズワルド様には罰がやはり必要だったのだ。
表立ってアレク様が見逃しては、納得のいかない者もいるだろうし、だからアレク様はこういう型でオズワルド様を処罰し、ノートンの邸の金も出したのだ。
謹慎だって緩いものだ。
「フェリシア様、ありがとうございます。」
「私が助けられたのよ。エルサは私をどこかに転移させ、混乱させようと企んでいたみたいだし、私への嫌がらせもあったのでしょうね。あまりに突拍子もない企みだけどね。」
将来王妃になるフェリシア様が邪魔だったのか、私達が時間が戻ったことによって起きた、似たようなことが起きる修正力のせいか、私にはわからない。
庭の空をいつもと違い優雅に飛んでいるベルガモットさんの首には私のウェディングドレスと同じ生地で作ったリボンが風になびいていた。
ベルガモットさんが鳴いているその下にはオズワルド様とアレク様が歩いて向かって来ていた。
オズワルド様とアレク様が飲み物を持って来て下さり私達は披露宴を楽しんだ。
そして、レオン様は結婚式に来ることはないが、私達に祝いの花を贈ってきていた。
オズワルド様はため息をついていたが、しょうがないと受け取った。
「…部屋には飾らんが玄関ぐらいには置いとけ。枯れたらさっさと捨てるんだ。」
リンクスにそう指示をして、数日間だけ玄関に飾られていた。
28
お気に入りに追加
5,845
あなたにおすすめの小説
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
【1/1取り下げ予定】本当の妹だと言われても、お義兄様は渡したくありません!
gacchi
恋愛
事情があって公爵家に養女として引き取られたシルフィーネ。生まれが子爵家ということで見下されることも多いが、公爵家には優しく迎え入れられている。特に義兄のジルバードがいるから公爵令嬢にふさわしくなろうと頑張ってこれた。学園に入学する日、お義兄様と一緒に馬車から降りると、実の妹だというミーナがあらわれた。「初めまして!お兄様!」その日からジルバードに大事にされるのは本当の妹の私のはずだ、どうして私の邪魔をするのと、何もしていないのにミーナに責められることになるのだが…。電子書籍化のため、1/1取り下げ予定です。
【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる