上 下
80 / 148
第一章 ブラッドフォード編

朝の話題はなんでしょうか

しおりを挟む
朝の支度が終わり朝食に行く前にオズワルド様はじっくり食い入るように私を見ていた。
まるで狼がウサギを見ているかのようだった。

「…オズワルド様、朝から何ですか?」
「いや…水色のリボンだな…と。」
「それが何か?お気に召しませんか?オズワルド様が気に入らなくても変えませんよ。」

結構気にいっているリボンですからね。

「…レオン様の誕生日パーティーの時のドレスもそんな色だったな…と思って。」
「よく覚えてますね。」
「それはそうだな…綺麗だったし。いつもの花嫁修業の時の服と違っていたしな…。」

朝から何言ってんの?
朝から赤面することを言わないで下さい。

そしてハッと気付いた。
…いつもの花嫁修業の時?

「オズワルド様、もしかして花嫁修業の時見てました?時間が戻る前に…?」
「実は時々見ていた。花嫁修業の授業が押していたのか次の授業に行く時にヒト気のない外廊下を近道に走っているのも見かけていたぞ。」

ストーカー!ストーカーです!
ストーカー疑惑を飛び越えて、ストーカー告白!
オズワルド様にキスされる時のぞくっとするのと違うぞくぞくが背筋を走っていますよ!
しかも、廊下を走るなんてしたらいけないから周りを確認して走ったはずなのに!

「オズワルド様、一体どこで見てたんですか?まさかついてきてました?」
「…木陰でよく昼寝していただけだぞ。」
「一人で?」
「何が言いたい?」

まさか女と木陰でいちゃついていたんじゃないでしょうね。

「何だ?じっと見て。キスして欲しいのか?」
「違います!」

そう言うとすぐにオズワルド様に唇を奪われた。

「…っん…っ」

舌を絡めるようにキスをされるとまた背筋がぞくっとしてきた。

「…朝から舌をいれるのはズルいです。」

力が抜けるようになりオズワルド様にもたれ上を見上げるように背の高いオズワルド様を見ると勝ち誇った顔だった。

「どうせ変なことを考えいたんだろう。これで許してやる。」
「それはどうも。」

変なこととはストーカーですか?それとも女ですか?
とりあえず、なかったことにしよう。

そのままオズワルド様と抱き合っていると、やっぱり私が心配なのか、何かあったらすぐに呼べ、と優しく言ってくれた。

「小さな異変でも呼ぶんだぞ。エルサのことでも何かあれば教えてくれ。」
「といっても、エルサ様とは関わりがないのですよね。…時間が戻る前もお茶会もご一緒してなかったと思いますし、まぁお茶会で多少の噂は聞いたことはありますよ。」
「どんな噂だ?」
「噂と言っても下らないですし、本当には噂にはなってませんけど、エルサ様は気がお強いとか、バーンズ公爵様夫妻とは髪の色も違い似てないとか…公爵令嬢ですから噂にもならなかったと思いますよ。そんな噂をお茶会で流したら大変ですからね。多分エルサ様をお嫌いな方が適当にその場限りで言ったのを聞いた方がたまたま私の行ったお茶会の話題になっただけと思います。」
「バーンズ公爵家はウィンター公爵家と親戚だから髪の色はウィンター公爵家色が出たのかもしれないな。」
「ウィンター公爵家のお名前は聞いたことがあります。親戚でしたか。オズワルド様のお邸みたいにウィンター公爵家は王都ではないのでよく知りませんでした。」

全く役に立つ話題ではないですね。

それにしてもお腹が空いてきた。
早く朝食が食べたい…。
オズワルド様はずっと話しながらも抱擁したままだし。

「オズワルド様…お腹が空きました。」

オズワルド様は、わかったわかった、と言いながら顔を近付けてきた。

「もう一回キスしたら連れて行ってやる…。」

朝から何回するのが正解なのかわからないけど、流されるままオズワルド様を受け入れた。






しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

【完結】愛してるなんて言うから

空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」  婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。  婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。 ――なんだそれ。ふざけてんのか。  わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。 第1部が恋物語。 第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ! ※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。  苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

【1/1取り下げ予定】本当の妹だと言われても、お義兄様は渡したくありません!

gacchi
恋愛
事情があって公爵家に養女として引き取られたシルフィーネ。生まれが子爵家ということで見下されることも多いが、公爵家には優しく迎え入れられている。特に義兄のジルバードがいるから公爵令嬢にふさわしくなろうと頑張ってこれた。学園に入学する日、お義兄様と一緒に馬車から降りると、実の妹だというミーナがあらわれた。「初めまして!お兄様!」その日からジルバードに大事にされるのは本当の妹の私のはずだ、どうして私の邪魔をするのと、何もしていないのにミーナに責められることになるのだが…。電子書籍化のため、1/1取り下げ予定です。

【完結】婚約者が好きなのです

maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。 でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。 冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。 彼の幼馴染だ。 そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。 私はどうすればいいのだろうか。 全34話(番外編含む) ※他サイトにも投稿しております ※1話〜4話までは文字数多めです 注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)

【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。

たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。 その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。 スティーブはアルク国に留学してしまった。 セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。 本人は全く気がついていないが騎士団員の間では 『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。 そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。 お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。 本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。 そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度…… 始めの数話は幼い頃の出会い。 そして結婚1年間の話。 再会と続きます。

さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます

結城芙由奈 
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】 私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。 もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。 ※マークは残酷シーン有り ※(他サイトでも投稿中)

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈 
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。

やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。 落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。 毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。 様子がおかしい青年に気づく。 ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。 ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 最終話まで予約投稿済です。 次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。 ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。 楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

処理中です...