上 下
14 / 47

14

しおりを挟む

服を脱いだアイゼン様が、座ったまま背後から私を包み込むように抱き寄せていた。彼の逞しい胸板が私の背中から離れない。すでに、私が自分で包まっていたシーツの下は何も付けていなかったために、一瞬で彼の前でラヴィニアの色気のある身体は晒されていた。

「あ、あぁん……もう」

初めてキスをされたあとには、アイゼン様に何度も胸を弄られて、先端が神経が張り詰めそうな感覚があった。今も、左手で私の左胸の先を摘まんだりと弄られている。左胸の上には、アイゼン様の付けた赤い目印のような痕が浮き出ている。でも、それよりもアイゼン様に後ろから抱えられるように陣取られて彼の右手が私の秘所を音を立てて弄られていた。

「どうした? 喜べ。お前は、これが好きだっただろう?」
「……っあ」

(知らん。そんなことを言われても知らん。私はラヴィニアではないのだ。ラヴィニアの好みなど知らないし、知りたいとも思わない……けど)

あまりの感覚に、否定の言葉が出てこない。甘い吐息が出そうになると、アイゼン様が私を片足を持ち上げてさらに両足を開いた。

「アイゼン様っ……ちょっと、待って……」
「何を待つ?」
「この態勢はっ、イヤですよ……っ」

耳元で、アイゼン様の声が聞こえた。低くて少しだけ吐息のような艶めいた息が耳に触れれば、身体が震えた。
必死でアイゼン様の手を押しやろうとするけど、彼の逞しい腕には敵わない。鈍い水音がする。首筋には、アイゼン様の熱っぽい顔があり、彼の髪がさらに私の首筋をくすぐった。

うっすらと目を開くと、アイゼン様が私の蕩けそうな表情を見て意地悪そうに舌なめずりをした。

「……以前は自分から、足を開いていたな。ほら、自分で触ってみろ」

そう言いながら、アイゼン様の手が私の不安定な手を掴んで、私の濡れそぼった秘所に手を伸ばす。思わず、涙目になる。アイゼン様は、気にせずに私の首筋から離れない。

「絶対にイヤ……っ」

(自分でするなんて屈辱そのものです!!)

そして、ハッとした。

「アイゼン様……っもしかして、私の嫌がることをしてますか?」
「今さら気付いたのか? 俺は屈辱を返すと、言ったはずだ」
「で、でも……っ婚約者の方は……っあぁ……っ!」

婚約者の話をすると、アイゼン様の指に力が入り、秘所から官能的な音がした。思わず、身体が弓なりになり、アイゼン様の胸板に触れる。

「……あれとは、婚約破棄だ」
「だから、どうして、ですか……っ」
「男と交わっていた」
「いつ……っ?」

辺境伯邸に帰るまでは、婚約者との結婚に待ちきれないようだったはず。私に「邪魔をするな」まで言い放ったのだ。

でも、飛竜から降りて、アイゼン様の婚約者に会いに行って……すぐに戻って来た。
嫌な予想が頭に浮かぶ。まさか、お外で致していたのではないだろうか。

「アイゼン様? まさか、見たのですか?」
「帰還した時に、庭で見た。ずいぶんと激しく腰を振っていたようだ……鬱陶しいラヴィニアそのものだった」

(庭で!? 貴族様には、羞恥心というものが欠けているのではないだろうか)

今も、喘ぐ声を我慢しながら必死でアイゼン様と話しているのに、彼の愛撫は止まらない。

「聞きたいことは終わりか?」
「ひゃっ……ん。やぁ……!!」

グッと秘所に指を挿れられる。
嫌だという私の声など聞き入れてくれるはずもなく、アイゼン様の手が私の手を包み込むように添えて、自分の浸潤する秘所を音を立てて弄られる。そして、甲高い声が出た。

「なんだ。もうイッたのか……」
「アイゼン様……もうイキましたから……今夜はサヨナラしましょう?」
「……自分勝手は変わらずか? 自分だけイッて、俺は放置か? お断りだ」
「だって……もう、身体が……」

火照った身体は不安定で、背後から抱き寄せているアイゼン様に身を任せてしまう。
そんな私を労わることなく、アイゼン様が私の身体をベッドに押し倒した。優しさなど微塵もない。
押し倒された身体をじっと見つめられる。今さら何が珍しいのかわからない。私がラヴィニアではないと思っているのだろうか。

(でも、そんなはずはない。でなければ、私に屈辱を返そうなど、しないはず……それとも、ただの絶倫なのでしょうか?)

わからないが、ラヴィニアではない私には、柔らかく立派な形の良い豊かな胸を見られていることが羞恥心を増してしまう。慌てて火照った身体を、特に胸を隠そうと両手で覆おうとすると、邪魔だと言いたげな、にこりともしないアイゼン様に両腕を掴まれた。

蕩けそうな表情で視線を上げれば、アイゼン様が私の足を左右に開いた。彼の大きなモノが触れる。すると、腰を掴んで一気に私の中へと入り、抽送を繰り返されている。

「はぁっ……あぁ……」

たどたどしい甘い声が出る。アイゼン様は眉間にシワを寄せて抽送を繰り返している。すると、私に覆いかぶさって来た。潤んだ身体が密着する。人肌が触れるのにアイゼン様にも私にもお互いに情などない。それでも不思議と彼の熱が心地いいと思ってしまった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫の心がわからない

キムラましゅろう
恋愛
マリー・ルゥにはわからない。 夫の心がわからない。 初夜で意識を失い、当日の記憶も失っている自分を、体調がまだ万全ではないからと別邸に押しとどめる夫の心がわからない。 本邸には昔から側に置く女性と住んでいるらしいのに、マリー・ルゥに愛を告げる夫の心がサッパリわからない。 というかまず、昼夜逆転してしまっている自分の自堕落な(翻訳業のせいだけど)生活リズムを改善したいマリー・ルゥ18歳の春。 ※性描写はありませんが、ヒロインが職業柄とポンコツさ故にエチィワードを口にします。 下品が苦手な方はそっ閉じを推奨いたします。 いつもながらのご都合主義、誤字脱字パラダイスでございます。 (許してチョンマゲ←) 小説家になろうさんにも時差投稿します。

【完結】婚約者が好きなのです

maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。 でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。 冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。 彼の幼馴染だ。 そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。 私はどうすればいいのだろうか。 全34話(番外編含む) ※他サイトにも投稿しております ※1話〜4話までは文字数多めです 注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

愛するつもりなぞないんでしょうから

真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」  期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。    ※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。  ※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。  ※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。 ※おまけ更新中です。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

さよなら、私の初恋の人

キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。 破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。 出会いは10歳。 世話係に任命されたのも10歳。 それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。 そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。 だけどいつまでも子供のままではいられない。 ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。 いつもながらの完全ご都合主義。 作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。 直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。 ※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』 誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。 小説家になろうさんでも時差投稿します。

処理中です...