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おかしな夫婦生活 2
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朝食が終わり、別邸へと行くと、すでにティアナの姿はなかった。
部屋に持ってこさせた食事の食器も片付けてあり、きれいさっぱりとしている。
「ルドルフ……ティアナは、どこだ?」
「仕事でしょうか? 毎日出かけていますので……」
呆然と立ち尽くす自分の隣には、ルドルフが別邸に一緒に来ていた。
「俺がいない時も、毎日出かけていたのか?」
「そうですけど……仕事に、行ってましたので……」
ルドルフに聞けば、ティアナは毎日出かけていたという。仕事にしても、毎日出かける必要があるのか……邸に帰ってこない日もあったという。
それに、書庫には誰も来ないはずなのに、ティアナは食事に誘われていた。
あれが浮気相手の一人だろうか……。分からずに、首を傾げてしまう。
「……あの、ティアナ様を探しましょうか?」
「……いい。ルドルフには、別のことを頼む」
そう言って、ルドルフに頼みごとをして別邸を後にした。
♢
仕事に顔を出せば、案の定今日も何も変わりはない。
新しく本が届くこともないから、私のできることはない。つまり、いつも通り、しなければならない仕事がないのだ。
そして、そのまま町へ行き、クッキーの材料を買いに来た。
「……あの、小麦粉がまた高くなっているのですけど」
値段を見れば、普通の値段よりもずっと高い。以前もウォールヘイト伯爵領には、二倍以上の値段で売られていた。
それを、何とか交渉して、少しは下げてくれたのに、また二倍の値段になっている。
「あんた……ウォールヘイト伯爵領の人間だろ。そのピンク色の髪はセルシスフィート伯爵領にはいないからな」
王都では、珍しくもないピンク色の髪。でも、セルシスフィート伯爵領には、そんな髪色の家はなくて、ウォールヘイト伯爵領に多いものだった。
「この値段は、ウォールヘイト伯爵領に向けられた値段なのですね」
「そうだ。嫌なら、自分の領地で買ってくれ」
「……でも、ウォールヘイト伯爵領との値段の交渉で決められた値段と違います」
「なら、ウォールヘイト伯爵領の通行料を少し下げてくれるように、領主様代理にでも、ご指示してくれ。あそこが通れないから、ウォールヘイト伯爵領の向こうへの行商に、時間がかかるんだ。まぁ、下働きのお嬢さんには、無理な相談だな」
がははと笑われても、その領主代理は私です。そう言いたいけど、ここで、争うわけにはいかない。領地をなんとかしたい私には、セルシスフィート伯爵領の人たちとつまらない小競り合いを起こすわけにはいかないのだ。
「でも、この値段は考えものです。もう少し下げてくださっても……」
「だが、宝石店で先日来たウォールヘイト伯爵の人間は、これくらい安いものだと言って買って行ったぞ。ずいぶんと高飛車な態度だったそうじゃないか」
誰がそんなことを……!
「とにかく下げる気はない。嫌なら、自分のウォールヘイト伯爵領に帰って買うんだな。こちらが買ってくれと頼んでいるんじゃないんだ。だいたい、ウォールヘイト伯爵家は、いつまでセルシスフィート伯爵家と結婚しているんだか……図々しいにもほどがある」
ドンッとカウンターを拳で叩きつける店主。これでは、下げてくれる気はないとわかる。
扉もない店先での会話に、周りにいた人たちからも、「図々しいウォールヘイト伯爵領の人間」だという密やかな声が聞こえ始める。
私が、ウォールヘイト伯爵家からセルシスフィート伯爵家に嫁いだ令嬢だとわからずにぼやく店主や周りの視線が痛い。
「……わかりました。今回はこの値段で買います」
「わかれば、さっさと帰ってくれ」
そう言って、雑に小麦粉を袋に詰めてカウンターに出された小麦粉を受け取って、お礼を言ってペコリと頭を下げて店先を出た。
賑わっているのに、ウォールヘイト伯爵領にだけ冷たい街。私は代々続くウォールヘイト伯爵家の直系だから、ウォールヘイト伯爵家の容姿を色濃く受け継いでいる。そのせいで、すぐにウォールヘイト伯爵領の人間だとわかってしまう。
ただ、令嬢らしいドレスではないから、令嬢だと気付かれないだけで……。
ちらりと横に視線を移せば、じろりと睨まれる。その視線にうんざりするように、着ていたフードを目深に被った。
レモンも欲しかったけど、買うのは諦めるのが良さそうだ。
ルドルフにお願いして、セルシスフィート伯爵邸の菜園のレモンを譲ってもらおう。
居心地が悪くなり、仕方なく小麦粉だけ買って帰ろうと半ばあきらめ気味でそう決意すると嘲笑が静まり返っていた。
「ティアナ」
顔を上げると、ウォルト様が一直線に向かってきている。
「ウォルト様……」
「ここにいたのか……ずいぶん探した。何をしているのだ」
「小麦粉を買おうと思って……」
「何に使うんだ?」
「クッキーを焼くお話をしていたので……」
「それで、一人で街に?」
「そうですけど」
ジッと見下ろされるウォルト様の視線の先には、両手で抱えている先ほど買った小麦粉。それを、ウォルト様が軽く取った。
「用がすんだのなら、帰るぞ」
「はい」
そう言って、小麦粉を抱えたままで颯爽と歩き出すウォルト様のあとに歩き出した。
「それと……なぜ、フードを目深に被っている」
「私は、ウォールヘイト伯爵家の人間ですから……」
セルシスフィート伯爵領では、嫌われ者です。
そう心の中で呟く。
「……フードは下ろせ」
「でも……」
「探すのに苦労する。それに、セルシスフィート伯爵領はティアナを傷つけたりしない」
「それは、無理ですよ……でも、そう言って下さってちょっと嬉しいです」
思わず、くすりと笑みが零れた。居心地が悪かったから、ウォルト様が来てくれただけでホッとしてしまっている。
「ウォルト様。ありがとうございます」
笑顔でお礼を言うと、ウォルト様が口元を手で隠して横を向いてしまっていた。
部屋に持ってこさせた食事の食器も片付けてあり、きれいさっぱりとしている。
「ルドルフ……ティアナは、どこだ?」
「仕事でしょうか? 毎日出かけていますので……」
呆然と立ち尽くす自分の隣には、ルドルフが別邸に一緒に来ていた。
「俺がいない時も、毎日出かけていたのか?」
「そうですけど……仕事に、行ってましたので……」
ルドルフに聞けば、ティアナは毎日出かけていたという。仕事にしても、毎日出かける必要があるのか……邸に帰ってこない日もあったという。
それに、書庫には誰も来ないはずなのに、ティアナは食事に誘われていた。
あれが浮気相手の一人だろうか……。分からずに、首を傾げてしまう。
「……あの、ティアナ様を探しましょうか?」
「……いい。ルドルフには、別のことを頼む」
そう言って、ルドルフに頼みごとをして別邸を後にした。
♢
仕事に顔を出せば、案の定今日も何も変わりはない。
新しく本が届くこともないから、私のできることはない。つまり、いつも通り、しなければならない仕事がないのだ。
そして、そのまま町へ行き、クッキーの材料を買いに来た。
「……あの、小麦粉がまた高くなっているのですけど」
値段を見れば、普通の値段よりもずっと高い。以前もウォールヘイト伯爵領には、二倍以上の値段で売られていた。
それを、何とか交渉して、少しは下げてくれたのに、また二倍の値段になっている。
「あんた……ウォールヘイト伯爵領の人間だろ。そのピンク色の髪はセルシスフィート伯爵領にはいないからな」
王都では、珍しくもないピンク色の髪。でも、セルシスフィート伯爵領には、そんな髪色の家はなくて、ウォールヘイト伯爵領に多いものだった。
「この値段は、ウォールヘイト伯爵領に向けられた値段なのですね」
「そうだ。嫌なら、自分の領地で買ってくれ」
「……でも、ウォールヘイト伯爵領との値段の交渉で決められた値段と違います」
「なら、ウォールヘイト伯爵領の通行料を少し下げてくれるように、領主様代理にでも、ご指示してくれ。あそこが通れないから、ウォールヘイト伯爵領の向こうへの行商に、時間がかかるんだ。まぁ、下働きのお嬢さんには、無理な相談だな」
がははと笑われても、その領主代理は私です。そう言いたいけど、ここで、争うわけにはいかない。領地をなんとかしたい私には、セルシスフィート伯爵領の人たちとつまらない小競り合いを起こすわけにはいかないのだ。
「でも、この値段は考えものです。もう少し下げてくださっても……」
「だが、宝石店で先日来たウォールヘイト伯爵の人間は、これくらい安いものだと言って買って行ったぞ。ずいぶんと高飛車な態度だったそうじゃないか」
誰がそんなことを……!
「とにかく下げる気はない。嫌なら、自分のウォールヘイト伯爵領に帰って買うんだな。こちらが買ってくれと頼んでいるんじゃないんだ。だいたい、ウォールヘイト伯爵家は、いつまでセルシスフィート伯爵家と結婚しているんだか……図々しいにもほどがある」
ドンッとカウンターを拳で叩きつける店主。これでは、下げてくれる気はないとわかる。
扉もない店先での会話に、周りにいた人たちからも、「図々しいウォールヘイト伯爵領の人間」だという密やかな声が聞こえ始める。
私が、ウォールヘイト伯爵家からセルシスフィート伯爵家に嫁いだ令嬢だとわからずにぼやく店主や周りの視線が痛い。
「……わかりました。今回はこの値段で買います」
「わかれば、さっさと帰ってくれ」
そう言って、雑に小麦粉を袋に詰めてカウンターに出された小麦粉を受け取って、お礼を言ってペコリと頭を下げて店先を出た。
賑わっているのに、ウォールヘイト伯爵領にだけ冷たい街。私は代々続くウォールヘイト伯爵家の直系だから、ウォールヘイト伯爵家の容姿を色濃く受け継いでいる。そのせいで、すぐにウォールヘイト伯爵領の人間だとわかってしまう。
ただ、令嬢らしいドレスではないから、令嬢だと気付かれないだけで……。
ちらりと横に視線を移せば、じろりと睨まれる。その視線にうんざりするように、着ていたフードを目深に被った。
レモンも欲しかったけど、買うのは諦めるのが良さそうだ。
ルドルフにお願いして、セルシスフィート伯爵邸の菜園のレモンを譲ってもらおう。
居心地が悪くなり、仕方なく小麦粉だけ買って帰ろうと半ばあきらめ気味でそう決意すると嘲笑が静まり返っていた。
「ティアナ」
顔を上げると、ウォルト様が一直線に向かってきている。
「ウォルト様……」
「ここにいたのか……ずいぶん探した。何をしているのだ」
「小麦粉を買おうと思って……」
「何に使うんだ?」
「クッキーを焼くお話をしていたので……」
「それで、一人で街に?」
「そうですけど」
ジッと見下ろされるウォルト様の視線の先には、両手で抱えている先ほど買った小麦粉。それを、ウォルト様が軽く取った。
「用がすんだのなら、帰るぞ」
「はい」
そう言って、小麦粉を抱えたままで颯爽と歩き出すウォルト様のあとに歩き出した。
「それと……なぜ、フードを目深に被っている」
「私は、ウォールヘイト伯爵家の人間ですから……」
セルシスフィート伯爵領では、嫌われ者です。
そう心の中で呟く。
「……フードは下ろせ」
「でも……」
「探すのに苦労する。それに、セルシスフィート伯爵領はティアナを傷つけたりしない」
「それは、無理ですよ……でも、そう言って下さってちょっと嬉しいです」
思わず、くすりと笑みが零れた。居心地が悪かったから、ウォルト様が来てくれただけでホッとしてしまっている。
「ウォルト様。ありがとうございます」
笑顔でお礼を言うと、ウォルト様が口元を手で隠して横を向いてしまっていた。
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