19 / 29
礼儀正しい婚約者
しおりを挟む
アレックスの元に戻ると、やはり心配はしていた。
最初は、いきなり知らない男に連れられて行ったのかと、思ったらしいが、見るからに私の知り合いにも見えてどうしようかと思ったらしい。
そして、アレックスがお話していた方に、「あの方は、今夜の警備責任者のリュード・エインズワース様ですよ」と、言われたらしい。
それで、連れて行かれた私を心配するも婚約者の方なら、と待っていたらしい。
そんなアレックスにリュード様は丁寧に挨拶をする。
お互いに初めましてだけど、雰囲気は和やかだ。
「いきなり連れ出してしまい申し訳ありませんでした」
「いや、こちらこそすみませんでした。こちらからも、エインズワース殿にお伝えしてから連れてくるべきでした。アシュリーも、まさかお伝えしてなかったとは……」
「リュード様は、今夜はお仕事だと聞いていましたから、ご迷惑をおかけしてはいけないと思いまして……」
そうしおらしく伝えた。
私の行動をリュード様に報告する必要はないと思うが、私と結婚をする予定で、リュード様的には、周りにはお互いに仲良く見えたほうがいいはずだ。
不仲に見えると、また婚約破棄するのか、と疑われてしまう。
しかも、私まで二度目の婚約破棄に突入してしまう。それは、さすがによろしくない。
それとも、リュード様ともしそうなったら街でも出て、やはり仕事を探すか……。
もっと魔法が使えれば、魔法師団に入隊できたかもしれないが、私は多少の魔法しか使えない。
元々魔力が低いから仕方ないといえば仕方ない。
それでも、フレッド様を追い出したり、護身用には役に立っているからこれで良しとするべきなのだ。
「アレックス殿、このままアシュリーを連れて帰ってもよろしいでしょうか? ほかの男に見初められては困りますし、元婚約者は、伯爵家の人間でしたよね。もし、夜会で遭遇してはいけませんので……」
「バーグナ伯爵家ですか……今夜来ますかね? 慰謝料のこともそうですが、少々様子が変なのですよ。バーグナ伯爵は、アシュリーと話したいそうなのだが……新しく婚約をしたことを伝えたら、青ざめて倒れてしまって……どうしたものかと……」
「まぁ、伯爵が? 言ってくれたら良かったのに」
「バーグナ伯爵が倒れてしまって話が進まないから、アシュリーを呼ぶのもどうかと思ってな。何故か、あの高級茶葉専門店のことを気にしていたぞ」
「……どうしてかしら?」
「さぁ?」
以前はフレッド様と婚約していたから、将来のためにと手伝いに行っていたけど、婚約破棄した今はもう、私には関係ないはず。
フレッド様も、いきなり結婚をしようなどと言い出す始末だし、一度バーグナ伯爵とは話す必要はあるかもしれない。
「バーグナ伯爵が落ちつたら、一度お会いしようかしら?」
「行く必要があるのか? あのおかしなフレッドという男もいるのではないのか?」
「いても私には近づけませんよ。私の氷に刺されたくはないでしょうし」
何故かリュード様は、顎に手を当てて考え始めた。
少し不機嫌にも見える。
フレッド様が近づいて来ても、問答無用で氷の魔法を使うから気にすることはないのに……なにか、ほかに気になることでもあるのだろうか。
「……リュード様?」
「……とりあえず、もうすぐで交代の時間だから、送ろう。アレックス殿、申し訳ないがこれで失礼させていただきます」
「こちらこそお会い出来て光栄でした」
アレックスとリュード様はお互いに悪い印象はないようで、握手をして別れた。
本当にリュード様は、紳士にみえる。外面が良すぎる。
そして、一緒に来たアレックスには悪いが、私が夜会に来たことを気にするリュード様に送られて、一足先に自分の屋敷へと帰った。
最初は、いきなり知らない男に連れられて行ったのかと、思ったらしいが、見るからに私の知り合いにも見えてどうしようかと思ったらしい。
そして、アレックスがお話していた方に、「あの方は、今夜の警備責任者のリュード・エインズワース様ですよ」と、言われたらしい。
それで、連れて行かれた私を心配するも婚約者の方なら、と待っていたらしい。
そんなアレックスにリュード様は丁寧に挨拶をする。
お互いに初めましてだけど、雰囲気は和やかだ。
「いきなり連れ出してしまい申し訳ありませんでした」
「いや、こちらこそすみませんでした。こちらからも、エインズワース殿にお伝えしてから連れてくるべきでした。アシュリーも、まさかお伝えしてなかったとは……」
「リュード様は、今夜はお仕事だと聞いていましたから、ご迷惑をおかけしてはいけないと思いまして……」
そうしおらしく伝えた。
私の行動をリュード様に報告する必要はないと思うが、私と結婚をする予定で、リュード様的には、周りにはお互いに仲良く見えたほうがいいはずだ。
不仲に見えると、また婚約破棄するのか、と疑われてしまう。
しかも、私まで二度目の婚約破棄に突入してしまう。それは、さすがによろしくない。
それとも、リュード様ともしそうなったら街でも出て、やはり仕事を探すか……。
もっと魔法が使えれば、魔法師団に入隊できたかもしれないが、私は多少の魔法しか使えない。
元々魔力が低いから仕方ないといえば仕方ない。
それでも、フレッド様を追い出したり、護身用には役に立っているからこれで良しとするべきなのだ。
「アレックス殿、このままアシュリーを連れて帰ってもよろしいでしょうか? ほかの男に見初められては困りますし、元婚約者は、伯爵家の人間でしたよね。もし、夜会で遭遇してはいけませんので……」
「バーグナ伯爵家ですか……今夜来ますかね? 慰謝料のこともそうですが、少々様子が変なのですよ。バーグナ伯爵は、アシュリーと話したいそうなのだが……新しく婚約をしたことを伝えたら、青ざめて倒れてしまって……どうしたものかと……」
「まぁ、伯爵が? 言ってくれたら良かったのに」
「バーグナ伯爵が倒れてしまって話が進まないから、アシュリーを呼ぶのもどうかと思ってな。何故か、あの高級茶葉専門店のことを気にしていたぞ」
「……どうしてかしら?」
「さぁ?」
以前はフレッド様と婚約していたから、将来のためにと手伝いに行っていたけど、婚約破棄した今はもう、私には関係ないはず。
フレッド様も、いきなり結婚をしようなどと言い出す始末だし、一度バーグナ伯爵とは話す必要はあるかもしれない。
「バーグナ伯爵が落ちつたら、一度お会いしようかしら?」
「行く必要があるのか? あのおかしなフレッドという男もいるのではないのか?」
「いても私には近づけませんよ。私の氷に刺されたくはないでしょうし」
何故かリュード様は、顎に手を当てて考え始めた。
少し不機嫌にも見える。
フレッド様が近づいて来ても、問答無用で氷の魔法を使うから気にすることはないのに……なにか、ほかに気になることでもあるのだろうか。
「……リュード様?」
「……とりあえず、もうすぐで交代の時間だから、送ろう。アレックス殿、申し訳ないがこれで失礼させていただきます」
「こちらこそお会い出来て光栄でした」
アレックスとリュード様はお互いに悪い印象はないようで、握手をして別れた。
本当にリュード様は、紳士にみえる。外面が良すぎる。
そして、一緒に来たアレックスには悪いが、私が夜会に来たことを気にするリュード様に送られて、一足先に自分の屋敷へと帰った。
15
お気に入りに追加
1,665
あなたにおすすめの小説
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。
白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
《R18短編》優しい婚約者の素顔
あみにあ
恋愛
私の婚約者は、ずっと昔からお兄様と慕っていた彼。
優しくて、面白くて、頼りになって、甘えさせてくれるお兄様が好き。
それに文武両道、品行方正、眉目秀麗、令嬢たちのあこがれの存在。
そんなお兄様と婚約出来て、不平不満なんてあるはずない。
そうわかっているはずなのに、結婚が近づくにつれて何だか胸がモヤモヤするの。
そんな暗い気持ちの正体を教えてくれたのは―――――。
※6000字程度で、サクサクと読める短編小説です。
※無理矢理な描写がございます、苦手な方はご注意下さい。
初めての相手が陛下で良かった
ウサギテイマーTK
恋愛
第二王子から婚約破棄された侯爵令嬢アリミアは、王子の新しい婚約者付の女官として出仕することを命令される。新しい婚約者はアリミアの義妹。それどころか、第二王子と義妹の初夜を見届けるお役をも仰せつかる。それはアリミアをはめる罠でもあった。媚薬を盛られたアリミアは、熱くなった体を持て余す。そんなアリミアを助けたのは、彼女の初恋の相手、現国王であった。アリミアは陛下に懇願する。自分を抱いて欲しいと。
※ダラダラエッチシーンが続きます。苦手な方は無理なさらずに。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる