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警護はいりません 2
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もう日もくれた時間にリュード様は仕事帰りのままやって来た。
その時間はすでにデイジーは帰らせ、いつまでも帰らないリチャードさんとユリシーズさんと夕食中だった。
二人は、私がリュード様の婚約者だから、「敬称はやめてください」というので「さん」付けになっている。
その二人と食卓を囲み温かいシチューを食べていた。
「おかえりなさいませ。リュード様もお食事になさいますか? 私の手料理ですけど」
「それはいただこう」
「では、すぐに支度しますね」
二人も、リュード様に「おかえりなさいませ」と挨拶をしていた。
リュード様にも温かいシチューを出し、食事の続きを摂り始めると、リュード様は意外と美味しそうに食べてくれている。
「リュード様、警護なのですが、私にはいらないと思うのです」
「あんな変な奴が押し入って来たらどうするんだ?」
「今日みたいに追い返しますけど……」
そう言うと、リチャードさんがククッと思い出すように笑い付け加えるように言ってくれる。
「リュード様、アシュリー様が叫んでくる男を魔法で追い返したのですよ」
「……今度からはアシュリーが目に入る前に追い返せ」
「「はい!」」
目に入る前と言っても、あんなに叫ばれたらフレッド様が来たことはすぐにわかるのだけれど……。
大体何故いきなり結婚を迫ってきだしたのかわからないままですし……。
「明日からもこの二人はアシュリーに付けるからな。お前たちは明日も朝に来い」
「夜はどうしますか? リチャードと交代で来ましょうか?」
「夜は俺がいるから来なくていい」
当然のように言っていますけど、今夜も一緒にいる気ですかね。
そう思いおそるおそる聞いてみた。
「リュード様、今夜は……?」
「今夜はここに泊まるぞ?」
「着替えはありませんよ?」
「明日はこのまま出勤するからいらんだろう?」
「明日の夜は帰ってくださいよ。アレックスと出かけるのですから……」
「ちょうど良い。明日は俺も夜に仕事だ」
そう言ってリュード様も部下の方々もシチューを平らげた。
その時間はすでにデイジーは帰らせ、いつまでも帰らないリチャードさんとユリシーズさんと夕食中だった。
二人は、私がリュード様の婚約者だから、「敬称はやめてください」というので「さん」付けになっている。
その二人と食卓を囲み温かいシチューを食べていた。
「おかえりなさいませ。リュード様もお食事になさいますか? 私の手料理ですけど」
「それはいただこう」
「では、すぐに支度しますね」
二人も、リュード様に「おかえりなさいませ」と挨拶をしていた。
リュード様にも温かいシチューを出し、食事の続きを摂り始めると、リュード様は意外と美味しそうに食べてくれている。
「リュード様、警護なのですが、私にはいらないと思うのです」
「あんな変な奴が押し入って来たらどうするんだ?」
「今日みたいに追い返しますけど……」
そう言うと、リチャードさんがククッと思い出すように笑い付け加えるように言ってくれる。
「リュード様、アシュリー様が叫んでくる男を魔法で追い返したのですよ」
「……今度からはアシュリーが目に入る前に追い返せ」
「「はい!」」
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