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側近がやって来た!!
しおりを挟むグリューネワルト王国では、陛下が病気で他界して、戦で勝利を収めたゲオルグ様が帰還した。
そのゲオルグ様は、グリューネワルト王国に帰還するなり、その日のうちに私のところにやってきて「君を好きになる」と告白してきた。
わけがわからない。
そんな気分で一晩眠ればいつも通りの朝が来たはずだった。
いつも通り、朝にはランドリー籠を持ってランドリー室へと行く。そしたら、メイドが洗濯をしてくれることになっている。そして、テラスに用意された朝食をいただくのが日課だった。
今朝も同じようにランドリー籠を持って部屋から出て廊下を歩いていた。すると、多くの人たちがわらわらとやって来て数々のドレスを運んでいた。
思わず、目がぎょっとして持っていたランドリー籠を落としてしまう。何事だと思えば、一人の若い男性が私の目の前で一礼をした。
「おはようございます。ミュリエル様」
「ど、どなたでしょうか?」
思わず声が上ずる。朝からやって来て挨拶をしてきた男性は若く、細身で筋肉質な感じの方だった。その彼が、ドレスを運ぶ指示していた。
「初めまして。ミュリエル様。ゲオルグ様の側近のリヒャルト・ワグネルと申します」
「初めまして。ミュリエル・バロウです……が、これは……!?」
次から次へと運ばれるドレスに驚愕する。
「ドレスですよ。すべてゲオルグ様からです」
「ゲオルグ様から!?」
「はい。すぐにお選びください。今夜のミュリエル様の披露目に出席していただきます」
「披露目!!」
「はい」
突然の話に思考が止まる。でも、言うことは一つだ。そもそも、リヒャルト様とも話すのは危険だった。
「あの……私は、あまり人前に出られなくて……実はデビュタントもしてないのです。ですから、リヒャルト様も……」
「俺は、気にしなくて大丈夫ですよ。俺も遺物持ちですから」
「リヒャルト様も?」
「ええ、だからミュリエル様の『魔眼』も大丈夫です」
だから、リヒャルト様を私に寄こしたのだという。
「あのっ……でも、披露目の式にはっ……」
必死で言おうするが、リヒャルト様は淡々とドレスを運んでいる使用人たちに話しを進めている。
「ああ、ドレスを置いたら、下がっていい。希望はこちらで聞く。宝石も忘れないように」
「かしこまりました。リヒャルト様」
話を聞いてほしい。困った私など無視してリヒャルト様がどんどんドレスを入れていく。
しかも、全部白い。そして、リヒャルト様が振り向いた。
「ゲオルグ様がミュリエル様を側妃に召し上げられます。ミュリエル様を妾から妃にするための式を執り行いますので……」
「式!? ま、まさか、結婚式なんですか!?」
「結婚式とは、少し違いますが……そのようなものです。披露目の式では、結婚式を彷彿させるために、白いウェディングドレスを着ていただきます」
いや、別れようと考えているのに、妃に昇格してどうするんですか!!
「すぐに結婚式を行います。お好きなドレスをお選びください」
結婚式って言ったぁぁ!!
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