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ハロルド様もメイベルも街からいなくなり、落ち着いた日常が送れていた。
まだ婚約期間だが、クロード様に実家に帰らないでくれ。と言われてクロード様のお邸でお世話になっている。
「おかえりなさいませ、クロード様。」
「ただいま、ラケル。」
クロード様の出勤のお見送りと帰宅のお出迎えは私の日課になっていた。
仕事で疲れているだろうに、クロード様はいつも寄り道せず嬉しそうに帰ってきていた。
「ラケル、俺の父上から手紙が来たんだが、まだ仕事が片付かないらしく、会えないそうだ。ラケルにお詫びがしたい、と書いてあるんだが…。明日ドレスや服を買いに行かないか?母上があのオートクチュールにも手紙を出したらしいし…。」
「あのオートクチュールに…。」
お仕事なら仕方ないのに、何だか申し訳ない。
しかも、オートクチュールに手紙を出したということはそこで買えってことですよね。
「母上はいつもあの店で仕立てるから気にするな。」
「でも…何だか申し訳なくて…」
「気にしなくていい。明日の休みに二人で行こう。」
「はい。」
そして、翌日にあのオートクチュールに行くと、アーヴィン様がいた。
どうやら、ハロルド様がメイベルに買ったドレスの支払いに来たようだった。
「クロード様、ラケル様。兄上がこちらのオートクチュールでも失礼したようですね。重ね重ね謝罪致します。」
アーヴィン様はマダムからクロード様に、冷やかしだ、とか言っていた時のことを聞いてまた私達に謝罪した。
「メイベルのドレス代はお父様も負担すると言われましたが…」
「はい、ジェレマイア伯爵から、半分いただきました。お互いに折半することにしたんです。」
まあ、半分でも負担できたなら良かった。
うちは、ハーヴィ家より資産が少ないから。
それでも、すぐにアーヴィン様が支払いに来られなかったのは、私達に慰謝料や迷惑料を先に準備したからだろう。
それで、オートクチュールの支払いが後回しになったと思った。
「ハーヴィ伯爵のお体はどうだ?まだ休まれているのか?」
「父上は後何日か休んだら領地で過ごします。兄上を見張りたいのでしょう。」
笑顔のアーヴィン様とそんな話をしていると、このオートクチュールに、あのルシール嬢がやって来た。
ルシール様もよくこのオートクチュールを利用するらしい。
さすが公爵令嬢様だ。
「クロード様、ラケル様。こちらの方は…?」
「アーヴィン・ハーヴィと言います。可愛らしい方ですね。よろしくお願いします。」
「まあ、可愛いだなんて…。」
ルシール様…惚れっぽい性格ですか。
顔が赤くなってますよ。
「では、私はこれで失礼します。」
アーヴィン様は何事もなかったようにオートクチュールから出ていった。
残されたルシール様は、アーヴィン様をぽーっと見ている。
「クロード様、ラケル様。あの方はお知り合いですか?」
「ええ、まあ…」
「ご紹介して下さい!私にはあの方がお似合いですぅ!」
「ええっ!?」
惚れっぽいといましがた思ったばかりですよ!
「ラケル…ルシール嬢は一途というか、真っ直ぐなんだ…。押しが強いんだ…」
クロード様の時も押しが強かったと聞きましたね!
「どうしましょうか?」
「何か問題でもありますか?まさか、ラケル様の愛人ですか?」
「違います!」
何を考えているんだ!
隣のクロード様は眉間にシワがよってしまった。
「ルシール嬢、ラケルに愛人はいません。不埒なことを言わないでもらいたい。」
「私にはクロード様だけです!」
愛人なんているわけないです!
思わず、クロード様だけです!と言ってしまった。
「失礼しました。…でもご紹介して欲しいんですの…」
クロード様に言われてルシール様は少し小さくなったが、ひたすら紹介して欲しいと言ってくる。
「紹介だけならどうだ?アーヴィンに婚約者はいるのか?」
「いませんでしたが…そうですね、アーヴィン様にお伝えしましょうか?」
「そうするか。」
「よろしくお願いしますわ!」
何だかルシール様に押され気味で紹介することになり、翌日にはハーヴィ伯爵の見舞いも兼ねて、ハーヴィ伯爵家へと行くことになった。
まだ婚約期間だが、クロード様に実家に帰らないでくれ。と言われてクロード様のお邸でお世話になっている。
「おかえりなさいませ、クロード様。」
「ただいま、ラケル。」
クロード様の出勤のお見送りと帰宅のお出迎えは私の日課になっていた。
仕事で疲れているだろうに、クロード様はいつも寄り道せず嬉しそうに帰ってきていた。
「ラケル、俺の父上から手紙が来たんだが、まだ仕事が片付かないらしく、会えないそうだ。ラケルにお詫びがしたい、と書いてあるんだが…。明日ドレスや服を買いに行かないか?母上があのオートクチュールにも手紙を出したらしいし…。」
「あのオートクチュールに…。」
お仕事なら仕方ないのに、何だか申し訳ない。
しかも、オートクチュールに手紙を出したということはそこで買えってことですよね。
「母上はいつもあの店で仕立てるから気にするな。」
「でも…何だか申し訳なくて…」
「気にしなくていい。明日の休みに二人で行こう。」
「はい。」
そして、翌日にあのオートクチュールに行くと、アーヴィン様がいた。
どうやら、ハロルド様がメイベルに買ったドレスの支払いに来たようだった。
「クロード様、ラケル様。兄上がこちらのオートクチュールでも失礼したようですね。重ね重ね謝罪致します。」
アーヴィン様はマダムからクロード様に、冷やかしだ、とか言っていた時のことを聞いてまた私達に謝罪した。
「メイベルのドレス代はお父様も負担すると言われましたが…」
「はい、ジェレマイア伯爵から、半分いただきました。お互いに折半することにしたんです。」
まあ、半分でも負担できたなら良かった。
うちは、ハーヴィ家より資産が少ないから。
それでも、すぐにアーヴィン様が支払いに来られなかったのは、私達に慰謝料や迷惑料を先に準備したからだろう。
それで、オートクチュールの支払いが後回しになったと思った。
「ハーヴィ伯爵のお体はどうだ?まだ休まれているのか?」
「父上は後何日か休んだら領地で過ごします。兄上を見張りたいのでしょう。」
笑顔のアーヴィン様とそんな話をしていると、このオートクチュールに、あのルシール嬢がやって来た。
ルシール様もよくこのオートクチュールを利用するらしい。
さすが公爵令嬢様だ。
「クロード様、ラケル様。こちらの方は…?」
「アーヴィン・ハーヴィと言います。可愛らしい方ですね。よろしくお願いします。」
「まあ、可愛いだなんて…。」
ルシール様…惚れっぽい性格ですか。
顔が赤くなってますよ。
「では、私はこれで失礼します。」
アーヴィン様は何事もなかったようにオートクチュールから出ていった。
残されたルシール様は、アーヴィン様をぽーっと見ている。
「クロード様、ラケル様。あの方はお知り合いですか?」
「ええ、まあ…」
「ご紹介して下さい!私にはあの方がお似合いですぅ!」
「ええっ!?」
惚れっぽいといましがた思ったばかりですよ!
「ラケル…ルシール嬢は一途というか、真っ直ぐなんだ…。押しが強いんだ…」
クロード様の時も押しが強かったと聞きましたね!
「どうしましょうか?」
「何か問題でもありますか?まさか、ラケル様の愛人ですか?」
「違います!」
何を考えているんだ!
隣のクロード様は眉間にシワがよってしまった。
「ルシール嬢、ラケルに愛人はいません。不埒なことを言わないでもらいたい。」
「私にはクロード様だけです!」
愛人なんているわけないです!
思わず、クロード様だけです!と言ってしまった。
「失礼しました。…でもご紹介して欲しいんですの…」
クロード様に言われてルシール様は少し小さくなったが、ひたすら紹介して欲しいと言ってくる。
「紹介だけならどうだ?アーヴィンに婚約者はいるのか?」
「いませんでしたが…そうですね、アーヴィン様にお伝えしましょうか?」
「そうするか。」
「よろしくお願いしますわ!」
何だかルシール様に押され気味で紹介することになり、翌日にはハーヴィ伯爵の見舞いも兼ねて、ハーヴィ伯爵家へと行くことになった。
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