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伯母様襲来
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今日は昼からクロード様がお休みをとって下さり、実家の私の荷物を取りに一緒に行って下さった。
クロード様の邸の使用人達が荷物を馬車に積んで下さり、とても助かった。
門まで荷物を積んだ馬車を見送り、荷造りが完了したと思うと、一台の馬車がやって来た。
急な訪問者は、別の街に住んでいる伯母様だった。
私達を見た伯母様は門の所で馬車を止めて降りて来た。
「伯母様?どうされたのです?」
「あなたから手紙がきてすぐにこちらに向かったのです。そちらが新しい婚約者ですか?」
「お初にお目にかかります。クロード・アラステアです。」
「ラケルの伯母のシアン・カーフィです。」
いかにも貴婦人らしいお出かけ用の装いで、クロード様に綺麗な礼をする伯母様はさすがと言いたくなる。
「さぁ、ラケル。弟の元に行くわよ。メイベルもいるわね。」
伯母様…笑顔ですが、怒ってませんか?
そして、伯母様の弟であるお父様のいる居間に、私を心配したクロード様と三人で行った。
お父様は今はメイベルがハロルド様にねだったお金の資金繰りでちょっと疲れていた。
「ロベルト。あなたは何をやっているのです。さぁ、詳細を話しなさい。」
伯母様は、ロベルト、と強くお父様の名前を呼んだ。
私は伯母様の手紙に婚約破棄し、メイベルとハロルド様が婚約したこと。そして、ハロルド様の問題で今は新しい婚約者のクロード様の邸にいるから、手紙はこちらに欲しい。と書いていた。
お父様は厳しい伯母様に睨まれて、クロード様もいた為か、隠すことが出来ず、全て伯母様に話した。
隠そうと嘘をついても、私どころかクロード様もあの時いたのだから、隠せないと思っていたのだろう。
「なんて恥さらしな真似を。淑女が自分から毎日ものをねだるなんて恥さらしもいいところです!」
「でも、ハロルド様は小作人になって、私は婚約破棄までされたんですよ…」
メイベルはまた涙ぐましく言った。
可哀想と同情でもして欲しいのだろう。
大体メイベルの性格では小作人に嫁げないでしょう。小作人には小作人の組合もあるのです。
小作人の奥方と上手くやっていけるわけない。
小作人に失礼ですよ。
「婚約破棄は当然です。メイベルは結婚より先にしなければならないことがありますね。」
「…出会いですか?」
そんなわけがない!
伯母様は結婚はまだする資格がないと言いたいんです!
「ジェレマイア伯爵家を潰す気ですか。…大体メイベルは今は何をしているのです?」
「お父様がお部屋にいろ、と言うのでお部屋にいます…」
「部屋で何を?まさか昼寝をしているのですか?」
「…お昼寝もしますぅ…」
伯母様の額に怒りマークが表れてしまった。
「ロベルト!今すぐにメイベルを連れて行きます!私が常識とマナーを叩き込みます!」
「ええっ!?い、いやですぅ!!」
「問答無用です!すぐに準備しなさい。一時間だけ待ってあげます!」
メイベルはお父様と違い、厳しい伯母様が苦手だったのだ。
連れていかれたら、メイベルに休まる暇がないのは、わかっているみたいだった。
「私だって、常識はありますぅ!!マナーも大丈夫ですぅ!!」
「語尾を伸ばさないのです!」
「お父様ぁ…、」
メイベルはお父様に泣きついていたが伯母様には通用しない。
クロード様はついていけないのか、無表情で座っている。
あの甘えたメイベルに引いているのかもしれない。
「あなたの言う常識とマナーを、私がしっかりと見てあげましょう。24時間見てますからね。」
伯母様はそう言うと、ポケットから懐中時計をだした。
「今から一時間です。一時間後に準備ができなくても、連れて行きます。ロベルト、異論はないわね。」
「し、しかし、メイベルはっ…」
「異論はないわね。」
止めようとしたお父様は伯母様の迫力に勝てなかった。
今まで一度も叔母様に勝てなかったのだから、止せばいいのに一応は止めようとしたみたいだが。
しかし、あっさり迫力に負けてしまったのだ。
この伯母様がいたから、いくらメイベル優先の両親でも私の対応はあれくらいで済んだのだと思っていた。
きっと伯母様がいなければ、私はドレス一つ買って貰えない状況だったかも、と思ってしまう。
「…す、すぐに支度しなさい!メイベル!」
「ええっ!?そんな!お父様!?」
伯母様は懐中時計を見ている。
「もうすぐで5分たつわね。後55分…」
「早くするんだ!メイベル!」
「あ、あなたっ!メイベルが…」
「お前も手伝え!」
お父様は焦り、お母様とメイベルを部屋に引きずるように、連れて行った。
「さぁ、待っている間にお茶でもしましょうか?」
伯母様は私とクロード様とお茶を飲みながら待つことになった。
クロード様の邸の使用人達が荷物を馬車に積んで下さり、とても助かった。
門まで荷物を積んだ馬車を見送り、荷造りが完了したと思うと、一台の馬車がやって来た。
急な訪問者は、別の街に住んでいる伯母様だった。
私達を見た伯母様は門の所で馬車を止めて降りて来た。
「伯母様?どうされたのです?」
「あなたから手紙がきてすぐにこちらに向かったのです。そちらが新しい婚約者ですか?」
「お初にお目にかかります。クロード・アラステアです。」
「ラケルの伯母のシアン・カーフィです。」
いかにも貴婦人らしいお出かけ用の装いで、クロード様に綺麗な礼をする伯母様はさすがと言いたくなる。
「さぁ、ラケル。弟の元に行くわよ。メイベルもいるわね。」
伯母様…笑顔ですが、怒ってませんか?
そして、伯母様の弟であるお父様のいる居間に、私を心配したクロード様と三人で行った。
お父様は今はメイベルがハロルド様にねだったお金の資金繰りでちょっと疲れていた。
「ロベルト。あなたは何をやっているのです。さぁ、詳細を話しなさい。」
伯母様は、ロベルト、と強くお父様の名前を呼んだ。
私は伯母様の手紙に婚約破棄し、メイベルとハロルド様が婚約したこと。そして、ハロルド様の問題で今は新しい婚約者のクロード様の邸にいるから、手紙はこちらに欲しい。と書いていた。
お父様は厳しい伯母様に睨まれて、クロード様もいた為か、隠すことが出来ず、全て伯母様に話した。
隠そうと嘘をついても、私どころかクロード様もあの時いたのだから、隠せないと思っていたのだろう。
「なんて恥さらしな真似を。淑女が自分から毎日ものをねだるなんて恥さらしもいいところです!」
「でも、ハロルド様は小作人になって、私は婚約破棄までされたんですよ…」
メイベルはまた涙ぐましく言った。
可哀想と同情でもして欲しいのだろう。
大体メイベルの性格では小作人に嫁げないでしょう。小作人には小作人の組合もあるのです。
小作人の奥方と上手くやっていけるわけない。
小作人に失礼ですよ。
「婚約破棄は当然です。メイベルは結婚より先にしなければならないことがありますね。」
「…出会いですか?」
そんなわけがない!
伯母様は結婚はまだする資格がないと言いたいんです!
「ジェレマイア伯爵家を潰す気ですか。…大体メイベルは今は何をしているのです?」
「お父様がお部屋にいろ、と言うのでお部屋にいます…」
「部屋で何を?まさか昼寝をしているのですか?」
「…お昼寝もしますぅ…」
伯母様の額に怒りマークが表れてしまった。
「ロベルト!今すぐにメイベルを連れて行きます!私が常識とマナーを叩き込みます!」
「ええっ!?い、いやですぅ!!」
「問答無用です!すぐに準備しなさい。一時間だけ待ってあげます!」
メイベルはお父様と違い、厳しい伯母様が苦手だったのだ。
連れていかれたら、メイベルに休まる暇がないのは、わかっているみたいだった。
「私だって、常識はありますぅ!!マナーも大丈夫ですぅ!!」
「語尾を伸ばさないのです!」
「お父様ぁ…、」
メイベルはお父様に泣きついていたが伯母様には通用しない。
クロード様はついていけないのか、無表情で座っている。
あの甘えたメイベルに引いているのかもしれない。
「あなたの言う常識とマナーを、私がしっかりと見てあげましょう。24時間見てますからね。」
伯母様はそう言うと、ポケットから懐中時計をだした。
「今から一時間です。一時間後に準備ができなくても、連れて行きます。ロベルト、異論はないわね。」
「し、しかし、メイベルはっ…」
「異論はないわね。」
止めようとしたお父様は伯母様の迫力に勝てなかった。
今まで一度も叔母様に勝てなかったのだから、止せばいいのに一応は止めようとしたみたいだが。
しかし、あっさり迫力に負けてしまったのだ。
この伯母様がいたから、いくらメイベル優先の両親でも私の対応はあれくらいで済んだのだと思っていた。
きっと伯母様がいなければ、私はドレス一つ買って貰えない状況だったかも、と思ってしまう。
「…す、すぐに支度しなさい!メイベル!」
「ええっ!?そんな!お父様!?」
伯母様は懐中時計を見ている。
「もうすぐで5分たつわね。後55分…」
「早くするんだ!メイベル!」
「あ、あなたっ!メイベルが…」
「お前も手伝え!」
お父様は焦り、お母様とメイベルを部屋に引きずるように、連れて行った。
「さぁ、待っている間にお茶でもしましょうか?」
伯母様は私とクロード様とお茶を飲みながら待つことになった。
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